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配偶者の死

うちはオットが9歳年上なので、いつかはそういうことがあるかもとは思ってた。オットの家系は体が弱くてご両親ももうお亡くなりになっていたし、オット本人も長生きするために節制するタイプではなかったから。

そのことを悔やむのは一旦おいておいて、そう、配偶者の死というのがどんなものなのかを、絶賛味わい中なのだ。

私はオットを好きになって恋愛してせっくすもして結婚した。中身も肉体も大好きだった。
いなくなってしまったときに、肉体がないという事態に、なかなか動揺してしまっているのだ。

それは抱き合えないという直接的なことばかりではなくて、彼の指、足、肩、頭、おなか、おしり、動き、吐息、寝息、声、におい…そんなもの全てがエロい意味ではなくて本当に愛しいものだったな…と再確認してしまうのだ。

傷心の私を慰めるために、自身の最大の辛い思い出である親の死の話を聞かせてくれた人が何人か居たのだけど、いや、親に欲情しないよね?それはそれで悲しかっただろうけどそれ聞かされても今はまったく別の話しに聞こえますけど。と思いながら、お気の毒ですって顔を作って話を聞くのが大変苦痛だった。


そう、親兄弟には感じない、
肉体への執着が。
それがめちゃくちゃつらいのです。

思い出やメールは残ってる、
文字にしてある分もある。
読み返すことはできる。
写真も残ってる。見ることはできる。


でも、肉体は帰らない。
記憶に残っている肌の感触や
声、においを思い返して
こんなんだったかな、って。
すでに妄想、想像になってしまう。

それで今日は最後に着ていてタバコと汗の匂いが残っていた服をジップロックに入れた。
彼が最後の日に飲んでたコップはまだ洗えないし、歯ブラシも捨てられない。

こういう部分は肉親の死とはまた違う
しんどさかもしれないなと思っている。

肉欲って言ってしまえば
それまでなんだけど、
それだけではなくて、
肉体から発するものすべてが
愛おしくて、ほんと困る。

そういう意味ではほんと、
自分の半分を無くしたような気分になる。
半分身体がなくなったみたいに。
夫婦って、もともとは
血の繋がりのない他人なのに、
本当に不思議なことだよね。

だからさ、今ふたりでいるご夫婦やカップルさんはね、いまそこにその人がいるっていう
奇跡を、本当に、大事にしてほしいな。

たくさん触れ合って、
肌の匂いを吸い込んで
撫でたり舐めたり笑
なんでもしておいた方がいいよ。

今夜にでも、どうぞ。

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