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snapshotからpanoramaへ4/24(土)バウハウス在老人 トークショーの日

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キャリア手間取る

2月19日から始まったギャラリーバウハウスのToday Tokyo 1964/2020の過去50数年の東京を撮影した写真展もおかげさまで本日最終日。最終日に恒例のギャラリーバウハウスのトークショーを開催。本日夕方からなのでまだ間に合います。

ところで今回のギャラリーバウハウスでのイベントトークは過去50年にどのように東京を撮影したかと言うストーリーである。それに加えてここが非常に重要なのであるがライカによるスナップショットとパノラマカメラによるパノラマショットと言うのは写真哲学的にどこが一体違うのかと言う今までほとんど踏み込んだことのない写真美学の話をしようと思う。

そのトークはギャラリーバウハウスの会場に譲るとしてここでお見せする写真は次のギャラリーバウハウスのパノラマ写真グループ展のプリントを制作中のショットなのである。使っているのはFocomat 2c である。ライカの35ミリサイズと6センチ× 9センチのサイズをコンバーチブルできる引き伸ばし機だ。

ライカの会社はもともと35ミリカメラ専用にカメラを作ってきた会社であるから企画から外れた6センチ× 9センチと言う引き伸ばし機を作ったのはちょっと理解できないのだがそこが面白い。

ところで現在六本木の禅ギャラリーで都会写真のグループ展があってそこでも私はパノラマ写真を展示しているのである。その写真シリーズは1980年にオーストリアのザルツブルグでプリントされたものである。ちょうど1年前にそのヨーロッパのパノラマシリーズはハードカバーの写真集になった。

そのプリントはザルツブルグカレッジのダークルームで制作された18センチ× 24センチのゼラチンシルバープリントなのであるがこれは引き伸ばし機は学生向きのイタリア製のDurstと言う安い引き伸ばし機で制作されているのである。しかし今プリントを見ると別にクオリティーが悪いと言うわけではない。

一方でここに写っているライカの引き伸ばし機はバブルの頃は1,000,000円近くした非常に高価なものであった。でも学生向きのイタリア製の安い引き伸ばし機と比較してその制作したプリントのクオリティーが違うと言うことでは無いのである。では何が違うのかと言うとやはり何十年も使えると言う事とか長時間のダークルームの作業でもオートフォーカスの引き伸ばし機であるから疲労が少ないとか言うことがメリットになるのである。

20歳の頃からダークルームを始めてすでに半世紀以上暗闇で格闘しているわけであるが思い出したことがある。日大写真学科の建築の専門家渡辺先生が言っていたことだが、先生のお話しによると自分は若い頃真面目にプリントをしなかったのを今に後悔していると言うのである。だからプリントは若いうちにやったほうがいいと言うサジェスチョンであった。

このサジェスチョンが渡辺先生が還暦の頃の話なのだ。渡辺先生の還暦のお祝いを帝国ホテルでやったパーティーの時であったろうか。大変立派なパーティーであって篠山さんとか大倉さんも見えていた。立木さんも見えていた。それで会費が豪華30,000円なのである。

私はあの頃の渡辺先生よりもそれよりも一回り以上歳を食っているからダークルームの疲労と言うのはかなり効いているのである。桑原甲子郎先生が東京シリーズをプリントした時はお年なのでまだ若かった天才写真家荒木がお手伝いをしたと言うストーリーもある。

それでもダークルームゼラチンシルバープリントの制作が面白いのはそこにプリントを制作する生きた冒険体験と言うものがあるからだ。

トーンカーブをいじってお茶飲んでる間に勝手にプリントしてしまうデジタルプリンターはあれはダメだね。冒険がないもの。

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