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ちょっと気になったデザイン 2022年7・8月

chot Inc. デザインユニット

※この記事はちょっと株式会社の社員ブログで公開されていたものです。

こんにちは、ちょっと株式会社CDOの久保田です。

毎月更新!って宣言しておきながら手が回らずに2ヶ月分まとめての記事になってしまいました。
インプットは習慣になっているのですが記事を起こすことまで至らず。PCに向かってお仕事してたら夏が終わってました・・・

『The Open 全英オープン』150回記念ロゴ

ゴルフの大会で最も格式が高い全英オープン。
その正式名称も「The Open Championship」となっていることからも、唯一無二の権威あるトーナメントであることが分かります。

そして今年は伝説的名門コースのセント・アンドリュースで開催されることもあってか、30万人近いギャラリーを集めて過去最大の大会となりました。
観戦チケットは2年前にソールドアウトになっていたとか。凄いな・・・

The Openには近年使われている公式の大会ロゴがあるのですが、今年は150回大会だけのロゴも作られてました。
大会サイトや広告、中継内の至るところで使われていて、大会期間中ずっと目にしていた気がします。

白背景でも黒背景でもしっかりと見えるシンプルな配色。
流れるようなアニメーションも計算されたデザイン。

などなどグラフィック的に素晴らしいポイントがたくさんありますが、何よりも要素を完全に省いて「150」って数字だけで成立することが驚愕です。

近代スポーツのビッグイベントと比較すると、オリンピックが2020東京で第32回、今年11月開幕のサッカーW杯カタール大会は第22回。どちらも4年周期の開催なので当然ですが回数は少なめ。

歴史あるスポーツイベントならばテニスのウインブルドンが135回、1ヶ月後にある競馬の凱旋門賞は101回目です。日本の競馬だと5月にあった天皇賞が165回ですが、これは春秋の年2回開催だから回数は多いです。

なので「150」を堂々とシンボル化できる大会はThe Open以外にありません。

その歴史と伝統、凄みを真正面からアピールし、そこに馴染みあるトロフィー(クラレットジャグって名前すらかっこいい)を組み合わせるだけでデザインが成立しています。

他では真似することが出来ない要素を抜き出して表現。
シンプルなロゴタイプですが、そのデザインのバックボーンに思いを馳せると“凄み“が感じられます。


『MOHEIM』WEBサイト

流し見してたSNSで出会った生活雑貨『MOHEIM』のブランドサイト
正直なところ知らないブランドでしたが、その美しいデザインにグッときて一目惚れしてファンになりました。
調べてみると今年の3月にリニューアルされているようです。

ブランドのプロダクトデザインにも通じる「正円」をいろんなところで使っていて、主張しすぎないけど印象に残る見せ方、絶妙・・・と見惚れてます。
こういうデザインアイデアや発想が素晴らしいのは当然ですが、それを突き通してしっかり実現させるデザインワークには脱帽です。

何よりも好きなのが404ページ。(キャプチャ画像のページです)

この大胆なレイアウト、そして遊び心あるアニメーション。何度繰り返し見たか分かりません。
頻繁に目にするページではないところにまで、しっかりと思想やこだわりが行き届いていることは見習いたいです。

シンプルモダンなデザインって簡単に見えて難易度は超絶高いです。
比較的自由にレイアウトできる紙媒体ではなく、色々と制限があるWEBにデザインを落とし込めるデザインスキルには脱帽です。

色々とデザインに悩んでいたタイミングに出会ったこともあって、自分の価値観を変えるくらいの衝撃を与えてくれたデザインでした。


『Stray』

1ヶ月ほど前にリリースされたタイトルで、テレビニュースでも取り上げられてるのを見かけました。

好き嫌いがハッキリするような内容ですが、こういう独創的な作品はもっと増えるべきだと思います。
AAAタイトルがマーケットの中心になることは必然ですが、こういうミドルタイトルがもっと活性化すればいいなって思わせてくれた傑作でした。

その世界観プロット、意外としっかりしてたストーリー、微妙なグロさなどなど素晴らしい点が多いタイトルでした。
独特な雰囲気を壊さないためにも操作を極めて単純化し、押すべきボタンはしっかり表示させつつ、それ以外に画面表示されるUIを極力省いた設計です。

UIは時としてスリル/没入感を損なってしまう邪魔な存在だったりしますが、かといって不用意に減らしてしまうと不親切になってしまうジレンマがあります。

『Stray』をガッツリやり込んだのですが、この世界を探索する体験のためにUIを必要最小限に抑えるってコンセプトを強烈に感じました。
でも不親切さを感じるポイントも少なく、どっぷり退廃世界&ネコアクションを堪能できました。このUI思想は大成功だと思います。

ただ1点。(少しネタバレ気味かもです)
中盤以降にドローンB-12が強化されるんですが、その強化機能のゲージが見にくかったです。

見にくさの原因は色や大きさではなくゲージの位置

ドローン横にゲージを表示するのは設定的には自然ですが、これを発動している時ってドローンを見てる余裕なんてない、うひゃーってパニクってる状態。
そしてゲージなんて見れなくてあっさりオーバーヒートしてしまう。(回復するまで走り回って逃げる逃げる)
ゲーム進行を軽く阻害するポイントになっていて、ここにストレスを感じることがありました。

めちゃくちゃ細かいところですが、かなり気になった部分でした。
しかし、そんな細かい部分なんて気にならないくらいの傑作タイトルでした!


『ちはやふる(49)』の帯

漫画コレクションをデジタルに移行しちゃってるのですが、書籍として全巻集めている数少ないコミックスの一つです。
先月ついに約15年間連載が完結、後世に残る青春スポ根ストーリーの最高傑作になったと思います。

デザインの話。
シンプルに見えるタイトルロゴですが、実は3種類のフォントが組み合わさったタイポグラフィであることが有名ですが、やはり百人一首を扱っていることから平仮名の見え方には強いこだわりがあるんだと思います。

末永先生や編集者のディレクションも多分にあると思われますが、携わっているデザイナーの凄みを感じます。
そんなデザインのこだわりが見えたのが49巻の帯。

「お願い だれも息をしないで」

書店で手に取った際、このコピーにゾクっとしました。そして読後はさらにゾクゾク。

「お願い」と「だれも」の間にある空白。読点ではなく空白。
そして「だれも」が漢字を使わずに開いてます。ちなみにストーリー内でも開いてます。

この帯、たった12文字のコピーに明確な意図を持たせ、そしてそのシーンの空気感をタイポグラフィだけで表現しています。
丁寧な文字詰め、バックグラウンドのキャラクターの構図バランス。

ゾクゾクした帯デザインでした。12月に刊行される最終巻の帯にも注目です。


・・・


先日フラッと入った大型書店で『なるほどデザイン』が平積みされてました。

デザイン入門書のド定番でノンデザイナー向けの書籍ではありますが、「20万部突破!」のPOPも添えられてピックアップされているのを見て感慨深くなりました。
ツール類の進化に伴ってデザインへの敷居が下がっていることには賛否ありますが、こうやって一般向けのジャンルとして認知されて興味を持ってくれる方がたくさんいるって感じて嬉しくなりました。

それでは。

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