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「バンディエラ・ロッサ」を聴き比べる

(ヘッダー画像出典=https://sessantotto68.wordpress.com/indra/

 今日はイタリアの有名な革命歌「バンディエラ・ロッサ」をご紹介します。元歌はイタリア北西部ロンバルディア州の民謡で、そのためか革命歌でありながら悲惨な趣はないのが特徴です。

 まずは一般的なバージョンから。この音源はよく使われていますが、共産党公式のものなのでしょうか。この動画の映像は1970年代のもので、書記長のベルリングェルと、彼の演説に拍手を送る群衆が映っています。党大会の映像を使っているのでしょう。

 元々この曲がどんな背景をもっているのかといいますと、庶民の間で自然と広まった曲なのです。19世紀後半から、イタリアでは急激な工業化により貧富の格差が増え、お百姓さんや工員さんは貧しさに苦しむような社会になりました。そんな人々の思いがイタリア共産党の結成へとつながったのです。こちらのパフォーマンスは、当時の人々の思いをよく描けています。

 続いて、ストリートパフォーマンスで―厳密には路地に面したバルコニーから―演奏される「バンディエラ・ロッサ」です。イタリア社会では、社会主義へのアレルギーは本邦に比べはるかに少なく、共産党はなくなったとはいえ、今もたくさんの人が愛と革命をめざして闘っているそうです。

 イタリアの革命的な風土をうかがうことができるのが、クラウディオ・ビルラという国民的歌手の吹き込んだこちらのバージョンです。バックコーラスが終盤に向けて盛り上がっていくのが好きですね~

 イタリアは社会主義の強い国であると同時にカトリシズムの盤石な国でもあります。共産党とカトリック教会はしばしば衝突していました。しかしながら、二つの組織の下部では、庶民の暮らしを守ろうとするところで互いに共鳴する様子がありました。そういう動きは今もなお続いているようで、それを象徴するかのような映像がこちらです。

 「バンディエラ・ロッサ」からイタリアの社会主義をちょっと見てみようという趣旨でしたが、いかがでしたか。本稿はこの言葉で締めたいと思います。
―赤旗は必ずや勝利するだろう!

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