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嵐の前の静けさ

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[登場人物]

・私 (都会で夫と二人暮らし)
・夫

・お義父さん(夫の父・地方でお義母さん、弟と3人暮らしだったが2023年夏前に他界)
・お義母さん(夫の母)
・弟(夫の弟・無職・実家暮らし)

・叔父さん(3人兄弟のお義父さんの弟・妻と同地方で2人暮らし・子供なし)
・叔父さんの妻(叔母さんが2人出てくるので叔父さんの妻とする)

・叔母さん(3人兄弟のお義父さんの妹・嫁いで同地方で夫と2人暮らし)

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お義父さんが亡くなってからのあらすじ

数十年も無職で親の年金で生きてきた夫の弟が、
自分の身の振り方に悩んだ結果、
信仰している神道に修行に行く予定だったが
不可能(恐らく審査的なものに落ちた)になり、
急に慌てて、お義母さんのお世話になっている介護施設に直談判し、
親切な社長のもと社会復帰に向けて働き出したのはよかったが、
おかげで、介護認定の再調査が出てお義母さんを引き取るまで
弟についていてもらうはずだった予定が、
お義母さんを放って一日中、週5,6日働きに行ってしまうようになり、
その間お義母さんは一人きりで自宅にいて、
叔父さん夫婦にお昼ご飯を用意させて、持ってきてもらうようになったため、
私達は介護認定の再調査の結果が出るまで待ってと話していた叔父さん夫婦に
「これ以上面倒みたくない。これ以上こき使われたくない。はやく引き取れ」
と迫られていた。
そしてお義母さんは一人の時間が増えたことで不安感が増えたのか、
急に私達に引き取られてこちらに引っ越すのが嫌だと言い出したり、
次の日にはやっぱりそちらにお世話になる、と言ったり。
もう気持ちがずっと落ち着かず、散々だった。

全ては弟が勝手に、何の相談もなく働き始めたのが
私達の予定を大きく狂わせた。



お義母さんがこちらに来て、身軽になってから仕事を探すなり、
生き方を決めてくれればよかったし、
直談判して介護施設の社長さんが働きにおいでと言ってくれているのなら、
なぜその時点で相談してくれなかったのか。
弟は叔父さんにはなんでも相談しても、
夫や私には一言も報告、連絡、相談がないのだ。
これまで仲がよくなかった(というか、ほとんど関わってこなかった)のはわかるが、必要な会話はしないといけない、ということを説明しても
その時だけで続かない。

結局、お義母さんとはテレビ電話で意志を再度確認し、
こちらで引き取ることには変わりなかった。
その時、私はとなりにいた弟に伝えたいことを言った。

「〇〇(弟)さんに言っておきたいことなんだけど、
普通はね、同じ家族でも、お義母さんと直接血のつながりのない叔父さん夫婦にお義母さんのお世話をしてもらうのは、
本当はとっても申し訳ないことで気をつかう事なんですよ。
だから介護っていうのは、お義母さんと直接の血のつながりがある、
〇〇(弟)さんと夫、それと私の3人で、普通はお世話をしないといけないんです。だから簡単に叔父さん夫婦がやってくれるからってお任せしないでね、
それはありがたい事だけど、本当はとっても申し訳ない事なんだからね?」

いつものとおり下を向いてちいさく頷く弟。
理解してくれたのかどうかもわからなかった。
でもこれだけは言っておかないとなんでも叔父さん夫婦に頼ってしまって、
頼られて自分達の時間やお金を使わされた叔父さん夫婦のイライラの代償が
もれなく私達夫婦に回ってくるシステムだから。
弟の「あたりまえ」があたりまえでないことに気づいて欲しかった。

その後、数週間私たちとその家族の間には平穏な時間が過ぎた。
嵐の前の静けさではあったが、こちらは対策に追われていた。
この数週間でこちらの暮らしを整えるのに私は必死だった。

来年どう生活が変わるのかわからなかったので来年の仕事の予定を白紙にし、決めかけていた仕事はキャンセルの連絡をした。
しかし直近の仕事はキャンセルできない、というかしたくなかったので、
その期間に長く家を空ける期間だけ、取り急ぎ無理を言って
こちらのケアマネージャーにショートステイできる施設を探してもらい、
都合をつけておいてもらった。

合わせて夫は引き取り時の介護タクシーの手配や列車の手配、
私は車椅子の貸し出しを申し込んだり、夫の部屋をお義母さんの寝室に改造するなど、あっという間にお義母さんを受け入れる日が来てしまった。

私は日が近づくにつれ、軽い緊張感と
「他人と一緒に暮らす」事にあらためて直面していた。
お義母さんの事はきらいじゃないのに、
夫との二人暮らしの時間がなくなってしまう悲しさ
他人と一緒に暮らす不安と、ほんの少しの拒絶感を
今になって感じ始めてしまった。

いよいよ受け入れ日。というのに。

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