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神様と叔母さん

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[登場人物]

・私 (都会で夫と二人暮らし)
・夫
・お義母さん(夫の母・2023年秋から同居開始、要介護3)

・お義父さん(夫の父・地方でお義母さん、弟と3人暮らしだったが2023年夏前に他界)
・弟(夫の弟・お義父さんの死後、長年の無職を経て介護施設に勤務を始める・実家暮らし)

・叔父さん(3人兄弟のお義父さんの弟・妻と同地方で2人暮らし・子供なし)
・叔父さんの妻(叔母さんが2人出てくるので叔父さんの妻とする)

・叔母さん(3人兄弟のお義父さんの妹・嫁いで同地方で夫と2人暮らし)

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お義母さんを連れて帰るため、
夜行バスで前日から移動し、早朝実家に戻った夫。

同居している弟がいるはずと思っていたが、そこに弟の姿はなかった。
受け入れ日当日、早朝に私のLINEが鳴った。

「弟が仕事に行って居ない…」

え、、、
ずっと一緒に暮らしてきた自分の母親を兄に預ける日というのに、
早朝から介護の仕事に出てしまっているというのだ。
なぜ弟は仕事に行ってしまったのかというと、
仕事場に事情を話して休ませてもらう、という事ができないのだ。
そんな事をすると辞めさせられるのでは、や
こちらの都合など言ってはいけない、などと思っている。
それはかつての「夜勤事件」のやりとりで叔父さんと弟共に
そのような考えであるのがわかった。

休むって言えない。
こんな大事な日なのに。
ため息混じりに弟のことは早々に諦め、
弟に頼んでいた荷造りの荷物を確認しようとしたが、
叔父さんが現れ、荷物を差し出したと言う。
夫は中身が何かと聞くと、神様のものだ、と。
神様というのは、実家が代々信仰してきた神道の三種の神器のようなもの。
叔父さんは、実家の神棚をこちらに移そうとしていて、
その荷物を作ったが、夫はこんな荷物重くて持っていけないと拒んだ。

叔父さんはそもそも神様のアイテムを鞄に入れて私達に持ち歩いて欲しくはなかった。
きちんと神道に仕える、先生と呼ばれる人にお金を払って
その先生に三種の神器的なものを両手に抱えて移動させたいと考えていたからだ。
それでないとバチがあたる、と思っている。

私はその場にいなかったのでこの流れでどうなったのかはわからないが、
夫が持ち帰れないのでその場で郵送手配をする、と言い出すと、
結果、実家の神棚は叔父さんの家に移すことになり、
三種の神器的なものをこちらに持ち帰らなくてよくなったそうだ。
お義母さんは自分では歩けない。
車椅子をひいて移動するというのに、持ち帰れるわけがない。
どこまで常識がわからない家族なんだろうか…
私はLINEで連絡を受けながらため息ばかりだった。

これでひとまず「神棚問題」が一旦は解決した。
これに関しては、叔父さんに
「中古でも良いから神棚を作るための一軒家を買え」
と言われていた経験から、
もうこんな事言われないだろうと胸を撫で下ろすことができた。

落ち着いたところで私はその日の夜に食べるご飯の準備をしておかないと、
と午前中から近所の八百屋に行こうと準備をしていた。
夫とのやりとりで時間を少し取られてしまった。急がないと、と少し焦っていた。

が、またLINEが鳴った。連続して鳴った。
それはお義父さんの兄弟の末っ子である叔母さんからだった。
叔母さんには少し前に状況を連絡し、今日お義母さんを引き取るという連絡をしていた。
「今日の電車は○時○分発で間違いないでしょうか?」
叔母さんは夫とお義母さんがこちらに出発する電車の時間を知りたがっていた。
夫にLINEで電車の時間をあらためて確認するためのメッセージを入れている途中で、叔母さんから電話が鳴った。

あー…
一気に嫌な気分になった。
お義父さんの兄弟はみんな揃って話がとても長いからだ。
叔母さんも例に漏れず。
仕方なく電話に出ると、
何もしてあげられなくて申し訳ない。
何もしてあげられないのは自分の持病があるから。
先日持病が原因で起きた災難の話から、
弟の仕事の話、叔父さんの話、などなど…
八百屋に行く格好をしたまま話を聞いて、
1時間が経った。
結局は、電車に乗る前に見送りに行きたい。
という事だった。
私は電車の時間を再度確認して電話を切った。
時間はもう正午手前。
心身ともに早くも疲労の中、私は八百屋へと買い出しに向かった。
しかし八百屋に着いた頃にまた夫からLINEが入る。

「予約していた介護タクシーが来ない」

えー…



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