すべてはセロテープと共に

手に収まる自分だけのお宝

 両親の自転車に取り付けられたカセットプレーヤーから流れる童話ミュージックを聞きながら、保育園まで通う日々だった。もう、絶対音感とかあるんじゃない?とか勘違いするくらい聞いていた。もう「ア〜イアイ!ア〜イアイ!おさ〜るさ〜んだよ〜」とか死ぬほど聞いた。もう合いの手とかいらない。

 こんなモノをどこで買ってきたのか今となっては分からないが、ご近所さんから羨望の眼差しで見られていたらしい。ちなみに、STEREO CASSETTE PLAYER(今は絶版のWESTMINSTERの名、当時の輸入商社はホッタコーポレーションだったようだ)は両親の自転車2台に装着され、後に登場するであろう妹の送り迎えにも使われるのだが、もう、ちょっとした騒音家族。

 そんな騒音家族の長男として生まれたボクだが、与えられた遊具で1番古くて覚えているのは手作りのブリキのバスだ。普通この流れなら「楽器じゃない!?」とか思うだろうが、親の思いなんか知らんし、当時は触った記憶もない。ただ、このブリキのバスは今でも実家にあるし、なんなら現役で遊べてしまう。姪っ子達には興味すら持たれなかった、、、

 そんな昔から工作っぽいことが好きな父だった影響はあるのだろう。いつも【何か作りたい衝動】だけが先行した幼いボクは模索しはじめる。

それがこの「セロテープ」との出会いだった。

続く

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