読書メモ 『錯覚の科学』第五章 原因の錯覚 第六章 可能性の錯覚

クリストファー・チャブリス, ダニエル・シモンズ『錯覚の科学』文春文庫

五章 原因の錯覚

• 人は統計より、実話に弱い。個人体験は物語的な力があり、私たちに強い影響を与える。

• 神経学者VSラマチャンドラは「私が君の部屋に豚を連れて行き、この豚は言葉をしゃべるといったとしよう。君はおそらく『え、ほんとうかい?ここでやって見せてくれ』と応じる。私が杖を一振りすると、豚がしゃべりはじめる。君はたぶん『すごい!こいつは驚いた!』と言うだろう。『ふむ、だけどこれはただの豚じゃないか、あと何回かやって見せてくれたら信じるよ』とは言うまい。」と実体験の威力について説明。そして、一度信じた人には豚は言葉を話せないという科学的証拠をいくら見せても説得するのは難しい。


六章 可能性の錯覚

• 誰もが、新しいスキルを学びとり、才能を伸ばす可能性を持っている。可能性の錯覚とは、この可能性を解き放つのが簡単である、可能性はすぐに見つかる、あるいは、最小限の努力で手に入ると考える事。

• 天才は、あらかじめ天才として生まれてくるわけではない

• 本章ではモーツァルト効果や脳トレが批判されている


おわりに

• 思考プロセスは二種類にわけられる。すばやい反射的な思考と、ゆっくりした内省的な思考

• すばやい反射的な思考は注意、記憶、因果関係の推理などにかかわるが、かなり限界がある。内省的な思考が注意力がおろそかになったのを見落とし修正できなかった場合、その限界はさらに深刻になる

• じっくり考えて判断を誤る例もある。考えても情報が増えない場合や、ジャムの味の良し悪しように論理的分析ではなく反射的な感覚反応に基づく場合だ。

ここにまとめなかった面白い話がいっぱい載っているのでぜひ一読をお勧めしたい一冊です

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