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はじめてのZineは、若き日の友人から

Zineのことを考え出したきっかけ


なんでzineに興味を持ったのか。きっかけは、最近初めて観光通訳のお仕事でであった方から勧められたこと。その方はスイスからのお客様で、福岡におひとりで5日ほど滞在していた。たまたまのご縁でご一緒したのに、運命だったかのようにたくさんのことを語って過ごした。観光案内人としてはド素人もいいところで、福岡を心に残る街にしてあげられたのかは皆目見当もつかない。大げさで、勝手な思い込みかもしれないが、でも私と話して彼の何かは響いているような感覚があった。

彼の名前の頭文字をとってM氏と呼ぼう。その方と過ごした最後の日、私はぽつりと「実は詩をずっと書いています」ということを伝えた。M氏は「なぜそれをもっと早く言わないんだ」といった。恥ずかしがりやで、批判されることを恐れる傷つきやすい自分が、かれこれ20年くらい詩を書いているのに誰にも見せたことがないことを語った。彼は私にリルケの「若き詩人への手紙・若き女性への手紙」を薦めてこういった。「いつか心の準備が整ったら、君の詩を翻訳して自分に送るように」。

M氏の帰国後も、時々連絡を取り、最近感じたこと、出会った人のことなどを話し合った。私は、彼から詩を翻訳して送るようにという言葉をちゃんと覚えていたのに、忙しいふりとか、どの詩を翻訳するか迷ったりとか、一番は数日一緒にいて、私のことを素敵な人だと思ってくれたなら、詩なんか送って幻滅されずにいたいという思いのせいで、詩については触れないでいた。

ある時、M氏から「とても今落ち込んでいて、感情的になっている。もしよかったら君の詩を送ってほしい。それだけでとてもうれしい」という殺し文句が届いた。これはもう、送るしかない。急いでノートを開け、薦めてもらっていたリルケの本を読んだ直後に書いた詩を翻訳した。Google Translation でざっと翻訳し、わからないなりに韻を踏んでみたりして、一番は彼と過ごした時間が私をどんなふうに変えたか、それが伝わりますようにと思いながら言葉を選んだ。

送る前のメッセージでなんて言おうか、気に入ってくれたらうれしいです、もなんか違うし、ただ読んでくれたらそれだけでいいですも今更いうのもなんかな~と思いながら、詩だけ先に送って文章を考えていたらすぐに返信が来た。読みながら涙が出たよと。そしてしばらく話しているうちに彼が言った。「本にしてみたら?」

詩集を編みたい


友人のzine。ごはんが食べれるということは最高の娯楽だ。

今まで誰にも見せずに書き溜める、というよりは書き散らしておいて、急にそれを本にするなんて飛躍していない?と思ったが、M氏の生きざまに惚れていた私は、無理と思う前に、どうしたらできるかなと考えた。そういえば留学先で出会った日本人の友達が本を作っているような記事をFacebookで読んだなと思いだして、メッセンジャーを送った。快くいろいろ教えてくれたお友達の実際のzineを購入して、手に取るのを待った。送られてきた包みには、注文していた本と他にも参考になるように2冊同封してくれていた。こんな素敵な友達と、ベストタイミングで彼女のことを思い出せたことに感謝だ。zineの形だったら、私でも自分の詩を外に出せるかもしれない

3冊のうち1冊を読み終えた。感じたことはまた別の記事に書き残しておこうと思う。今回はzineに私が行きついたまでの変遷を残しておく。M氏が私の心の中の小さな詩人に声をかけてくれて、やっとこの臆病者は青白い顔を緊張に引きつらせながら、窓辺に歩いて外を眺める気になった。M氏に送った詩をここにも載せておく。


ノートに書き溜める言葉たち。これらを詩と呼んでいいのだろうか。



心の部屋

私たちは心の部屋でじっと過ごす
孤独な人間だ
見知らぬものが ズカズカ と入り込んでくるような
親しい人がゆっくりくつろいでいったような
そして大事なものが一夜にして盗まれていったような
そんな気がする 一人の家だ
何者も本当の意味で入ってくることはできないのだから
毎日見ているこの部屋を
まるで初めて見るように見て回り
窓辺に座り、日の光を集める

私たちは外に出ることはできない
今世 生まれた時からはなはだ出る気もない
家に入った瞬間から、外のことは一切 忘れ
孤独に生きる
しかしこの部屋は、以前誰かの居場所であった
押し出されるように 面々と
続いてきた 生命の
成長点の細胞である

私たちは光に向かって伸びている
そのことは信じてよい
私たちは孤独でありながら
おぎないあって進む
一つの生命体
そのことを思い出すとき
私の核はエネルギーを放出し
この生命を、前へ前へと推し進めるのだ

Our inner room translated by Miho Cho


We are lonely human
staying still in a room of one's heart
This room is like broken by strangers,
where close friends stayed with chat,
where precious meaning was stolen within a night
Such a kind of house
No one can enter here
Look around in the room like for the first time
Gathering sunlight besides a window

We are not able to go out here
It was not planned since we were born
Once get in, forgot everything
live and repeat on your own
Life is a cell of growth point

We are growing toward the light
believe it, because we are one life which is
lonely, integrated, and complementing each other,
My core releases energy and pushes forward
this life to the light


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