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良い情報商材は存在するのか

情報商材はマルチ商法やネットワークビジネスのような詐欺まがいの商法で語られることが多く、一般的に良いイメージはない。それどころか悪い印象の方が強く世間からは情報商材屋というだけで批判の対象になることが少なくない。

情報商材屋たちが批判されると必ず言う決まり文句は「良い情報商材だってある」である。もちろん全ての情報商材が悪であるというつもりはない、彼らにとっては良いのかもしれない。だがしかし、それは客観的な評価として良い情報商材の存在を証明することにはならない。

では良い情報商材とはなんであろうか。

今回は「良い情報商材の証明」について哲学してみようと思う。

まずは情報商材の定義からアプローチしていくことにする。

情報商材とは

昨今、電子書籍などのインターネット上で売買されるデジタルコンテンツが広く普及したことにより、情報商材の範囲が曖昧になっており、しばしば詐欺的ではないものも含めて”広義で”情報商材と言われることもある。

私もつい最近、有料noteを売っただけで情報商材屋と言われてしまったわけで。(そこそこ売れてます)

しれっと宣伝おわり

いくつかのWebサイトから引用してみた。

主にインターネットを通じて売買される、金儲 (もう) けの方法などの情報。投資やギャンブルの必勝法やネットビジネスの成功術などと称するが、有用な情報かどうかは購入するまで分からないのでトラブルも多い。

goo辞書

主にインターネットを通じて売買される、金儲もうけの方法などの情報。投資やギャンブルの必勝法やネットビジネスの成功術などと称するが、有用な情報かどうかは購入するまで分からないのでトラブルも多い。

デジタル大辞泉

情報商材とは、インターネットの通信販売等で、副業、投資やギャンブル等で高額収入を得るためのノウハウ等と称して販売されている情報のことです。

情報商材そのものだけでなく、情報商材をきっかけに、電話やWeb会議で高額な副業コンサルティングやサポート契約、ビジネスセミナー等を勧誘されるケースが目立ちます。

国民生活センター

共通するのはお金儲けに関するノウハウと言う点である。販売の形態は様々あり、高額という点も特徴である。情報商材被害の問題を広く扱っている国民生活センターの説明が最も一般的な解釈といっていいだろう。

つまり単にデジタルコンテンツをネットに掲載しただけでは情報商材とは言えない。少額で買える電子書籍まで情報商材と言ってしまったら世の中の物書きは全員情報商材屋ということになってしまうではないか、広義での情報商材という解釈は適切ではないと考える。

※noteについては情報商材の掲載および紹介を禁止しているので情報商材には該当しない。(たまに見かけるけど)

なぜ情報商材は悪なのか

お金儲けのノウハウであれ、本当に稼げるのであれば問題はないのではなかろうか。絶対に100万円稼げるノウハウなら10万円だって安いくらいだ。そんなものが実在すれば日本国民が全員大金持ちになれる。夢のような商品ではないか。じゃんじゃん売って欲しい。しかし日本人の平均年収は増えるどころか減っている。実際には情報商材のトラブルが後を絶たず国民生活センターには毎年多くの相談が寄せられているらしい。

では具体的にどのようなトラブルが起きているのだろうか、いくつかの例を見ていくことにする。

アフィリエイトの情報商材を3,000円で購入後、サポートを受けるために65万円の有料プランを契約したが、もうからない

国民生活センター

SNSをきっかけに情報商材を購入したが、内容が説明と異なるうえに儲からない

京都府ホームページ

副業で儲けるための情報商材を購入後、サポート契約もしたが、説明された内容と違うので解約したい。

国民生活センター

トラブルの原因

上記の例を見ての通り、情報商材のトラブルは購入後に起きている。「期待と違った」「説明と違う」つまり、いずれも買う前と後で商品の情報が乖離しているために起きたトラブルである。売り手と買い手との間に情報の格差がある、これを情報の非対称性という。情報商材のトラブルは主にこの情報の非対称性に起因している。

情報の非対称性は情報商材に限った問題ではない。買うまで中身がわからないのはレモンだって同じことである(情報の非対称性が大きい市場を経済学ではレモン市場という)

優良誤認表示

レモンの場合は生産者とて売り物の皮を剥いて中身を確認することは出来ない、しかし情報商材は売り手の努力次第でいくらでも透明性はコントロールできるはずだ。だが実際には皮を剥くどころかド派手に装飾して不透明さを増して売られている

「誰でも簡単に稼げる」のような過度に期待をさせるようなキャッチコピーで買い手を惹きつけ、自ら成功者を演じて真似すれば自分のようになれると買い手を錯覚させる。実際よりも優れていると見せかけて売るのは情報商材の最大の特徴である。これを優良誤認表示といい、景品表示法で禁止されている行為である。情報の非対称性を都合よく利用していると言っていい、買い手には本当かどうかわからないからといってやりたい放題だ。

具体的には、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為が優良誤認表示に該当します。

消費者庁

闇金ウシジマくん(小学館)の30巻〜32巻で、主人公が親に借金をしてまで高級車に乗り、セルフブランディングをして情報商材を売る話があるが(フリーエージェントくん編)、30巻の初版が発行されたのはなんと2014年である。10年以上も前から情報商材の売り方は変わらない。もはや伝統芸である。

アフィリエイトの弊害

情報の非対称性の解消方法として口コミという方法が一般的である。第三者のレビューにより情報格差を是正する効果がある。しかし、情報商材においてはアフィリエイトがこの効果を無効化してしまっているのが現状だ。情報商材のレビュー者がアフィリエイト報酬を得ることが目的となり良い口コミしか書き込まれなくなってしまうのである。実際にアフィリエイターのブログはいい評価に偏った記事ばかりである。これが優良誤認に拍車をかけている。中には報酬率50%というものもある。あまりに高額な報酬は健全性を損なわせているのではないだろうか。

結論

まとめると、優良誤認表示を排除して第三者により正しいレビューがされた評価の高い情報商材が「良い情報商材」と考える。しかし情報商材がレモン市場である限り本当に優良なのか、レビューが正しいのかは買った者にしかわからない。プラットフォーマー含む売り手がモラルを改善するか法規制でもしなければこの問題は解決しないだろう。

結局のところ、良い情報商材はあるかという議論は今のところ死後の世界について議論するようなものなのだろうか、いや、良い情報商材はもはや情報商材ではないのかもしれない。

おわり

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