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詐欺師はなぜLINEに誘導するのか

米メタ社が運営するSNS上で、著名人になりすました広告の99%超がLINEに誘導する内容だったという分析結果があります。

X(旧Twitter)でも情報商材屋のプロフィールには必ずと言っていいほどLINEのURLが記載されていますよね。

誘導されたその先では高額な商品の販売や個人情報の抜き取りなどの罠が待っているというのは誰もが想像できることだと思います。

LINEのリンクはもはや「私は詐欺師です」と言っているようなもの、世間からは詐欺師マークとして認識されているのが現実です。

ところでなぜ彼らはこのような回りくどいことをするのでしょうか。今回はLINEのプラットフォームの特性にフォーカスしながら解説していきたいと思います。

誘導先で何が起きているのか

彼らもアホではないのでノコノコとLINEに誘導されてきた鴨に対していきなりチャットで「この壺100万円で買いませんか!?」とか「住所教えて!」とは言ってきません。

そんなことしたらすぐに怪しまれるどころか通報されてLINEのアカウントが凍結してしまいます。

ナーチャリング

マーケティング用語で「顧客の育成」をナーチャリングと言います。詐欺師はLINEへの誘導が成功するとナーチャリングを始めます。

育成ってなんだよって感じしますよね。お前に育てられる筋合いはねぇ!ってお怒りになるのはごもっともです。

しかし顧客育成というのはマーケティング活動において一般的な戦略なのです。

鴨に餌を撒いて興味を持たせて手塩をかけて育てて最後に美味しくいただく、これが彼らの狙いです。

ステップメール

具体的なナーチャリングの方法としてメール配信があります。メールで有益な情報を提供することで顧客の興味・関心を高めることができます。

また顧客のアクションによって準備しておいたシナリオに沿ってメールの配信することをステップメールといい、LINEではLステップというサービスを使うことでステップメールの配信を実装することができます。

ステップメールを配信しながら豪華特典という名のゴミで鴨を誘き寄せるのも情報商材屋の常套手段です。

餌に釣られてノコノコとついてきた鴨は、ステップ配信でどんどん罠まで追い込まれていきます。最終的に極めて頭の悪い鴨だけに絞り込まれて最後は情報商材やサロンなどのサイトへ誘導される仕組みになっています。(確度の高い顧客にターゲットを絞りこんでからクロージングをかけるのは詐欺の手法ではなく一般的な戦略です)

詐欺師たちがLINEを使う理由の一つがこのLステップを利用したマーケティングです。XやインスタなどのSNSには高度なMA(マーケティングオートメーション)機能はありません。botを使ってDMで一斉メールを配信すればアカウント凍結するリスクがありますので理にかなっています。

またLINEはSNSアクティブユーザー数が国内No.1という点も見落とせません。日常的に使うアプリであればメールの開封率はかなり高いでしょう。

そのほかにも、XなどのオープンなSNSではなくクローズドなプラットフォームでアプローチをかけることで炎上リスクを回避する利点もあります。

グループトーク

個別のチャットからグループトークに勝手に追加されるという事例もあるそうです。

これは詐欺グループのメンバーがサクラになって商品を勧めてくるパターンです。密室の勧誘部屋に誘い出して勧誘員たちが臭い演技で鴨を誘惑してくることが容易に想像できます。

「私も買ったけどモノはすごくいいのよ!」とか言ってきそうです。完全にマルチと同じ手口ですね。

古典的な手法がこのようにネット上で再現されているということが大変興味深いです。

参考記事

まとめ

ざっとこんなところでしょうか、戦略的にLINEというプラットフォームを使っていることがわかりますね、プライベートな特性を利用して凍結・炎上リスクを回避しつつ高度なマーケティング機能を使ってロイヤリティの高い鴨を誘き寄せるというのが彼らの狙いというわけです。ただしLINEを詐欺の用途で使うのは当然NGですのでLINEのアカウントが凍結するリスクがあることもお忘れなく。。。

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