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6月読了本「すみれ荘ファミリア」「ビオレタ」を読んで思う家族の形

今回はちょうど続けて読んだ本で同じことを考えさせられたので一緒にご紹介です。

婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。 そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。 何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。 人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心のすきまにしみこむ温かな物語。 選考委員の満場一致で選ばれた、第四回ポプラ社小説新人賞受賞作。
Amazonあらすじ より
愛ゆえに、人は。

『流浪の月』『滅びの前のシャングリラ』本屋大賞受賞&二年連続ノミネートの著者が描く、家族の物語。

すみれ荘のその後を描く「表面張力」を収録した完全版。

下宿すみれ荘の管理人を務める一悟は、気心知れた入居者たちと慎ましやかな日々を送っていた。そこに、芥と名乗る小説家の男が引っ越してくる。彼は幼いころに生き別れた弟のようだが、なぜか正体を明かさない。真っ直ぐで言葉を飾らない芥と時を過ごすうち、周囲の人々の秘密と思わぬ一面が露わになっていく。
愛は毒か、それとも救いか。本屋大賞受賞作家が紡ぐ家族の物語。
Amazon あらすじ より

二つの本で共通して出ていたのが、「母親は完璧ではないんだよ」と言うことです。

母親は無条件に子供を愛する。母性とはそう言うものだ。

そう言われても、兄弟がいればどちらが合う、と言う好みもあるし、どんな女性でも子供を産みさえすれば母親になれる。

「両親が死んだとき、これからひとりで生きていくのかと思ったら、心細くて。毎日泣きました。毎日、心細くて。ただただ恐ろしくて。だから、こどもを産みたかった。慈しんで、抱きしめて、頬を寄せる相手が欲しかった」
ビオレタ p235
母の愛は海より深いとか、母は強しだとか、そんな風に「母親」を賛美することばを耳にするたび、そんな良いもんじゃないんだと叫びたくなる。母だというだけで、無尽蔵の愛や強さを期待しないでくれ、と。
ビオレタ p236
ー人間同士だから相性があって、ほんの多少なりとも差は出てくるの。
ーうちの両親はわたしよりも桜子をかわいがってた。
ー愛情なんて元々身勝手で不平等なものなんだ。
ーだから世の中事件が絶えない。
すみれ荘ファミリア p285

今、わたしは一人娘がいるだけですが、いつかは兄弟を作ってあげたいなぁと思っています。でも、兄弟ができたら天秤がどちらかに傾いてしまうのかしら、と思うとちょっと怖い気もします。平等に愛してあげれるかしら、と。
でも、子どもを作る、ということがもう親のエゴなのだとしたら。そのエゴを持って精一杯愛していくことが今わたしにできることなのかな。

思えば、子どもの頃に描いていた大人像と母親像は似たような感覚があるかもしれないですね。
子どもの頃に接していた大人は絶対今のわたしのようにちゃらんぽらんではなかったし、母もこんなに適当ではなかった。わたしは昔から何も成長していないんじゃないか、と思うけれども、それでも今一児の母親になっている。

何も変わらない、と思っているのに、母親になった途端母親らしく、母親の努め、と言われると……。そのモヤモヤが、この本にドキッとしたのかしら。

将来今とは全然違う悩みにぶち当たるかもしれない。
今よりもっとよそのお母さんたちと出会い、理想の母親像に悩まされる日が来るかもしれない。

その時には、この2冊を開いて、愛について考えよう。
そして、娘を名一杯抱きしめよう。

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