朝比奈隆が指揮したヴァイオリン協奏曲の映像

藤川真弓とのブラームス:ヴァイオリン協奏曲(新日本フィルハーモニー交響楽団、1990年4月3日、オーチャードホール)

撮影監督は実相寺昭雄。ホルンのゲストに千葉馨が座るなどオーケストラファンには懐かしい人々が並ぶ。藤川真弓の構えが大きく起伏の深いヴァイオリンに対して朝比奈隆はその上をゆく雄大で押し出しのいい響きで応える。起用に合わせているというより俯瞰で音楽を眺めた時に「協奏」しているのが浮かび上がるタイプの日本人同士としては珍しい性質の名演奏。

豊嶋泰嗣とのドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲(新日本フィルハーモニー交響楽団、1989年8月21日、駒ヶ根市文化会館)

珍しい場所での珍しい演目。当時の新日本フィル事務局長で朝比奈隆と深い信頼関係を築いた松原千代繁の発案による演奏会だった。朝比奈隆の実父・田中嘉一の故郷にも近いところらしい。ゴツゴツした質感の中に気迫の漲るサウンドに豊嶋泰嗣も堂々と渡り合う。

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