「ぽきぃぃん。」

スレイヤーズはあれですね、音からはじまることが多いですね。
（特にすぺしゃるにその気がある。）

先日も「スレイヤーズ、アニメは見てたけど原作は知りませんでした」って方に出会いましたが、スレイヤーズは原作がいいぞ！！
アニメも最高だが原作もいいぞ！！

いつも言っているわたしですが、本当に、原作は第二部からが熱いので（第一部がいいのはあたりまえ）、本当によろしくお願いします。

てなわけで、スレイヤーズ本編第二部の1冊目にあたるこちら、『ベゼルドの妖剣』。

スレイヤーズ9　ベゼルドの妖剣(新装版) スレイヤーズ (新装版) (富士見ファンタジア文庫)

神坂一著　『ベゼルドの妖剣』（KADOKAWA、2011）

あまりにも間抜けな擬音からはじまるスレイヤーズ第二部、『ベゼルドの妖剣』。
ほんと間抜けだよ、伝説の剣を探していたのにこけて寄りかかったら折れちゃうハリボテなんて。

ハリボテ。
見掛け倒し。
外見と中身が全く違う。

これ、ひょっとして第二部を通して言えることなのでは！？
（今気がついた。）

ただ、「見掛け倒しのハリボテ」ではなくて、推し並べて「雑魚かと思ったらやばい」の方向で、外見と中身が全く違うわけですが。

物語としては、8巻（第一部ラスト）で光の剣を失ったガウリイのために、新しい魔力剣を手に入れよう！
という話で、第一部が途中から「リナを中心とした魔族の陰謀」だったのに対し、第二部は「ガウリイのために動いていたらまた陰謀に巻き込まれたよ」なので、リナ主導でありつつも第二部の主役はガウリイと言っても過言ではない。
（ガウリイ激推し勢）

これ、スレクラの古参さんの方たちも考察で散々言っているんですけど、第二部のガウリイほんとやばいのよ。
レベル150(レベル上限99)の超絶凄腕剣士の装備が「普通の剣」(RPG初期装備)になってしまって、結果戦闘力がごっそり削られている。
しかも相棒は魔導士レベル150(レベル上限99)、剣術60、物理防御40、みたいなリナですからね。
ガウリイはひょうひょうとしているけれど（そして魔族さえ関わらなければそれで問題ないんだけど）、ベゼルド以降本当に自分の戦闘力のなさ、みたいのを痛感したと思うんですよ。
のちの巻でリナが言っているとおり、ベゼルド戦でのガウリイは対魔でぜんぜん役に立っていないので。

と、ここまでガウリイに夢を見まくっている者の感想です。
第二部の特徴として、「戦闘描写がめちゃくちゃ繊細になる」というのがあるんですが、それは神坂先生が戦闘描写に慣れてきた、というのとともに、細かな戦術を見せていかないと、何が起こってそうなったのか物語の整合性が取れなくなっていくからだと思います。

ルークとミリーナ、というあらたな二人組の追加があって、この二人はアメリアとゼルとは違って「仲間」ではないんですが、共闘する場面がたくさんあって。
で、連携がだんだんうまくなっていくんですよね。
二人とも「魔法剣士」なので、アメリア（魔法＆肉弾戦）やゼル（魔法剣士防御岩）とは戦い方が違うので。
あと複数対複数で生じる、相手の不意をつく戦略とか、そういうのも。

そもそもリナ視点の一人称小説ですが、戦闘シーンになるとリナ視点よりの三人称になるので、お互いの動きが噛み合って敵を倒す、みたいなことも増えていきます。
そういうのも読み応えがあって好きです。

ちょいと「ベゼルド」単体の話にもどると、村娘Aみたいなシェーラが伝説の剣の噂の根拠を握っている……
っていうところから始まってですね。
（全く関係ないんですけど、今この記事書いているカフェのBGMが第ゼロ感から新時代というコンボでわたしの脳みそをぶん殴ってきているんですが。何も考えられない。）

えーと、なんですっけ？
そう、この正体不明の村娘Aシェーラが今回の鍵を握っていて、その正体も「見かけ倒しの逆」なんですよね。
あー、ほんと第二部いいからアニメ化してほしい。
キャスト変更なしで。

第二部はほんと最高なんですが、出版から20年近くの時を経て、ルークとミリーナにCVがついたのが熱いですよね（「ファンタジア・リビルド」という期間限定ソシャゲ。わたしはルクミリに辿り着く前に挫折した）。
ルークが高木渉さん、ミリーナが沢城みゆきさんですよ！！
パーペキ。
容易に声が想像できる。
最高。
もうアニメ化待ったなしじゃん？
やろうよ第二部、原作準拠で。

そしてまたガウリイに戻ってきますが、超々一流の剣技を持つガウリイが、対魔族戦で無力、というのがポイントなんですよね。
やっぱり光の剣は強かった。
でも戦力にならないことはともかく、ガウリイが光の剣にこだわらないのは、外伝を読むと「だよね」しかならんのが最高にいい。
第二部がはじまってから、だんだんとリナから見るガウリイと、読者が察するガウリイにかなりの差が生じてきている気がするのは、こちらが読み込み型オタクなだけではないはずなんだ……
リナには見えない、ガウリイなりの内面の変化があるんだ……
第二部のガウリイ、まじで熱いですわ。

そんなわけで、アニメ勢は第二部読んでください。
そして角川は全力でアニメ化してください。

よろしくお願いします。