おや…… 黒いな?
びっしりとかかったハンガーときっちり詰まった引き出しを、とっくりと眺めて、そしてつぶやきました。
うん、黒いね?
コンマリ流のお片づけ、洋服編では、片づけが終わったあとは、季節に関わらず服はクローゼットに入れておく、となっています。ハンガーにかけるか、引き出しに入れるだけ。衣装ケースに仕舞い込んで衣替えはしない、とのことです。
これは、衣替えは実際のところタイミングが難しいのと、すべての手持ちの服を常に一覧できるようにすることで、買いすぎや重複を避けやすくするため、だそうです。
そして、「自分がキュンとする服だけ」が詰まったクローゼットは、開くたびに心をときめかせてくれる、はずです。ときめかないなら、きっとそれはまだいらないものがあるからです。
さて、丸一日かけて、45Lのゴミ袋を3つ出した結果、ベッド下の収納2箱分も含め、すべての洋服がクローゼットに収まりました。やればできるものですねぇ。
そしてその、ときめきばかりが詰まったハズのクローゼットを、改めてうち眺めた感想が、
「黒いな」
でした。黒いです。
コート、スーツ、スカート、ズボン、トップス、その他。
黒い。圧倒的に黒が多いです。これにはちょっとびっくり。
数年前にパーソナルカラー診断を受けました。わたしはウィンターで、これはビビッドな濃いめの色群、ロイヤルブルーとかパープルとか、もちろん黒もグレーも得意です。
パーソナルカラーがわかってから、服を買うのが格段に楽になりました。試着までいく服も限られるようになったし、試着しても似合う似合わないの判断が早くなりました。
似合う色は、総じて好きな色であることがほとんどなので、
「またこの色…… イメチェンした方がいいかなぁ」
から
「やっぱりこの色似合う!好き!!」
になって、悩む時間も減りました。
そうして増えていった服は色鮮やかなものが多くて、派手かなぁと思いつつも、
「まあ似合うから仕方ないね〜」
と思っていたのです。
ところが。
これも一種の思い込みでしょうか。
鮮やかな色の服ばかりを買っていると思っていたのですが、きちんと並べてみると、黒い服ばっかり。派手な色は黒に埋もれて、ほとんど目立ちません。
おかしいなぁ、とじっくり思い返してみれば、確かに黒い服は選びがちでした。それも、「派手な服ばかりだから、たまにはベーシックに黒がいいよね」という思考のもと、黒い服を選ぶこともままあります。そうやって、自分では「脇役のつもり」で買っていた黒が、いつのまにか主役になっていたのです。それも、自分ではいつまでも脇役のつもりなので、あまり記憶に残らないというありさまでした。
片づけはなりたい自分に近づくための手段だと、コンマリは書いていました。
なりたい自分、それはわたしにはどこかぼんやりしていて、掴みにくい概念ですが、でも洋服の整理をしてみて、解ったこともあります。
人は、目に見えることよりも思い込みに支配されやすい、ということです。
クローゼットとベッド下収納にぎゅうぎゅうに服を詰め込んでいるときには、目に入っていても全体像がまったく掴めていませんでした。全体像が掴めないまま、「自分はきっとこういう人間だ」という思い込みで、服を買い足しては「着る服がないなあ」と思っていたのです。
いったん手持ちの服をすべて出してみて、それを一つずつより分けていって、最終的にクローゼットの中だけに完結したとき、「これがわたしか」というのをようやく視界の中に収めることができた気がしました。
黒い服は、もちろん好きです。「黒は女を美しくするのよ」という言葉を、幼い頃に聞いているせいかもせれませんし、結局のところ、黒も似合う色だからかもしれません。
でも、「わたしはもっと、いろんな色で遊びたいな」と思ったのも事実です。
洋服についてはお片づけがひと段落したので、これから服を買うときは、もっと鮮やかな服を選んでいこうかな、と、「なりたい自分」の解像度が少し上がった気がします。
現実問題として、ウィンターが得意な色って、なかなか売られていないんですけどね…… それが黒ばかり買ってしまう原因のひとつでもあります。
今回は、洋服を片づけることで思い込みをひとつ捨てることができました。
コンマリ流お片づけはまだまだ続きます。そして引越の期限が迫ってきます。
さて次は、どんな自分に出会えるのでしょうか。
放っておいても好きなものを紹介しますが、サポートしていただけるともっと喜んで好きなものを推させていただきます。 ぜひわたしのことも推してください!