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「イギリスの首都ロンドンの中央部にあるトラファルガー広場。

イギリス王室、と聞くと、いまだにエリザベス女王を中心とした光景を思い浮かべてしまいます。
もう2年近くになるんですけどね、お亡くなりになってから。
わたしの中でイギリスは「女王の国」だったので、「国王の国」になったイギリスにいまだに馴染めずにおります。

君塚直隆著 『肖像画で読み解く イギリス王室の物語』(光文社、2010年)

歴史上で言えば、有名な女王はほかにふたり。
エリザベス一世と、ヴィクトリア女王ではないでしょうか。

さて、王室の面々はもちろんのごとく肖像画が残されておりまして、それらは国立肖像画博物館に展示されています。
わたしは本館にあたる(と言って差し支えないと思いますが)ナショナル・ギャラリーには数えきれないほど足を運びましたが、こちらのポートレート・ギャラリーには結局入らずじまいでした。
歴史や何やらを知らなければ、肖像画というものを楽しめないからです。
(それに、人の顔だけ見て楽しいともあまり思わないので……)

それはさておき、イギリスには有名な君主が何人もおりまして、この本では有名どころを肖像画とともに紹介してくれる、イギリス王室の大まかな歴史を知るにはとてもいい本です。
もっとも、一人目がヘンリー七世なので、とても古い歴史ではありませんが。
そもそも古くなると肖像画も残ってませんしね。

肖像画を時代ごとに見ていくのは、絵画の歴史をなぞっていくことでもあります。
たとえば、みんながよく知っている(と思われる)エリザベス一世の肖像画は、イギリスが世界の海を支配している様子を、地図やさまざまな小道具を用いて、象徴的に描いていました。
エリザベス一世に関わらず、肖像がというのは、「その人がどのように偉いのか」を衣装や小道具で寓意的に表現したものでした。
写真がなく、ゴシップ紙もなく、王室の権威を表そうと思ったら、絵画にできるだけの情報を詰めるほかなかったのだとおもいます。

時代が下がってエリザベス二世の頃になると肖像画はより写真めいてきます。
誰もが女王の顔を、言動を、テレビや新聞で知ることができる時代には、誇張表現は控えられて、むしろ団欒の様子を切り取ったような、写実的な、そして親しみを感じさせる表現になってきます。
これは、エリザベス二世が「より開かれた王室」を目指していたこととも関係があるでしょう。
より親しみやすく、より身近に感じられるように、肖像画も描かれていたのだと思います。

さて、チャールズ三世の肖像がを、わたしはまだ見ていませんが、どのような出来になっているのでしょうか。
それによって、今後のイギリスの行く道が見えるのではないかと、思ったりするのです。

うーん、でもまだチャールズ三世ってなんだか馴染まないなぁ……
お金はもう全部切り替わったのかな?
イギリスは国家元首が変わるとありとあらゆる国営のものを新しくしないといけないので、なかなか時間はかかるでしょうね。

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