「ところで、「そのなか」はどんな具合だったかと訊ねられれば、私は言下に「素敵だった。楽園だった」と答えるだろう。」
この書き出し自体は、サルバドール・ダリの著書から抜粋されているもので、なんでこれが使われているかというと、今回の本がこちらだからです。
有栖川有栖著『ダリの繭』(KADOKAWA、1993)
今回は火村シリーズの長編です。
例によって、どんな事件だったか覚えていないやつです。
この程度ならネタバレじゃないよな……という範囲でいうと(文庫のカバー裏にもあるし)、とある男が、フロートカプセル、なんか疲労回復とか系のマシン、の中で死んでいた、という話。
で、その男がダリに傾倒し