見出し画像

#2 実家の居心地について①

退職して、あっという間に1か月が経ってしまいました。
その間にも、コロナでずるずると薬を飲み続ける羽目になったり、退職金やら個人年金の解約返戻金やらで口座が少し潤ったり、マスターズ水泳の大会に出たりしていたわけですが、この1か月を実家で過ごしてみて感じたあれこれを、ここで少し供養しようと思います。

自己紹介については、前回の記事をご覧ください。

13年間住んでいなかった実家

海上保安大学校へ入学してから先月実家に帰ってくるまでの13年間、実は一度も実家に住んでいませんでした。
実家を出ることになった理由はとても単純で、海上保安大学校が全寮制だったことに尽きます。これは自分の意思というよりは、進路選択の過程で自然とそうせざるを得なかったという感じです。
一方、実家に一度も戻らなかった理由は、いくつか思い当たる節があるのです。以下に、パッと思い浮かぶ理由を挙げてみようと思います。

数年毎に繰り返す引越し

これは、海上保安官の宿命と言えるかもしれませんが、2~3年に1回、必ず訪れるビックイベントが引越しを伴う転勤です。下手をすると1年で引越しということも珍しくありません。こんなスパンで引越しを繰り返すことを考えると、実家に腰を据えて…なんて悠長なことはまず思いつきません。どうせまたすぐ引越しするだろうから…と考えて身の回りの荷物を極力減らしたり、あまり荷物をほどかないままにしておいたりする方が、色々と経済的です。地方と中央の往復をしながら、ゼネラリストの育成を目指す公務員のキャリアアップモデルは、こうした苦労も付帯することになります。今朝の寅ちゃんも、まさに新潟の三条に転勤するなんて話になっていましたね…

生活リズムの相違

私は東京の出身なので、本庁勤務で東京に戻ってきた際に、実家暮らしをするチャンスはあったのですが、これを選びませんでした。その大きな理由の1つが正にこれです。こちらも、連続テレビ小説の寅ちゃんが良い例になっていると思うのですが、残業で帰りが遅い、出張で不在がち、しかもこれらの業務予定は直前になるまで決まらなかったりするなど、生活リズムを自分の裁量でコントロールできないのが公務員あるあるだと思います。今でこそ、コロナ禍のおかげで、フレックスタイム制や時短勤務等の選択肢も増えましたが、残念なことに、これらの選択には必ずと言っていいほど不利益がついて回ります。寅ちゃんのように、優秀な成果を収めようと努力する人ほど、障壁になりかねないのです。そんな職業であるがゆえに、ある程度自分の生活を犠牲にすることは仕方ないと割り切っている人がほとんどかと思いますが、ここに家族のような同居人が加わるとさらにややこしくなります。公務員の生活リズムは不規則になりがちで、同居人の生活リズムと異なることがほとんどなので、食事のタイミングや就寝・起床時間はバラバラ、それゆえに様々なことに気を使い、同居人の生活リズムを尊重しようとするほど、ストレスを抱えることになりかねません。シェアハウスのように、ある程度個人の空間が確保されているような場合はまだマシかもしれませんが、家族のように1日の大半を共有スペースで過ごすようなライフスタイルでは、常に相手を尊重することが求められがちです。
1人暮らしをしていたとはいえ、たまに実家に帰省する機会はあったので、家族の生活リズムと自分の生活リズムが全く異なるものになることは、東京に引っ越す前から一目瞭然でした。

一国一城の主

やはり、一度味をしめるとやめられなくなってしまうのが、1人暮らしでいることの自由です。1人暮らしをするためにそろえた家具・家電の一式、自由な時間で増えていった趣味の道具、好きな人を好きな時に家に招くことかできる自由、これらを手放してまで実家に住むことにメリットがあるのか、と考えてしまうのです。結局、東京で本庁勤務していた時は、実家の近所で1人暮らしをすれば、実家暮らしと1人暮らしの両方のメリットを享受できるだろうと思い、実家から歩いて10分くらいのところにアパートを借りて住みました。今思うと、この選択が一番の良いとこ取りだったような気がします。

結局、実家は居心地が悪い?

実家暮らしを避けてきた理由を3つほど挙げてみましたが、細かいことを言えばまだまだあるかもしれません。そして、最近よく思うのが、実家だからといって居心地が良いとは限らないということです。ある側面から見れば、1人暮らしの時に煩わしく思っていた家事を自分でやらなくても良くなったと言えるのですが、やはり家族と言えども共同生活、1人暮らしの時のように好き放題はできないのです。食事も3食きちんと出てきますが、我が家の場合は、母親の都合の良いタイミングで出てきます。こちらの都合でタイミングが合わなければ、自分で温めなおすのがルールです。また、皿洗いは母も兄も嫌いらしく、私が他人の分も洗う傾向にあります。洗濯もたまにやらされます。ただ、実家では穀潰しの分際ですので、盾突く立場にありません。1人暮らしを経て家事の苦労が分かるからこそ、母の口から出る嫌味や文句にも一定の理解ができます。
結局のところ、私が「実家に帰ったら自分の好きなことに専念できる!」なんて甘い考えを持っていたことが間違いで、いざ飛び込んでみたら、好き放題すれば家族に嫌味を言われ、それぞれの生活リズムの違いに困惑し、新しい生活環境に順応するのに苦労したというのが、現在の率直な感想です。そのせいか、流行りのコロナウイルスにもしっかりと感染して、何だかんだでストレスの多い6月を過ごすことになりました。7月はできるだけストレスフリーで過ごしたいものです。

令和6年7月9日

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?