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【窯まつり・絵付】の道行#8「犬も恐れる20代」

こんにちは。上出惠悟です。

現代の「働く」という感覚からは随分ズレているかもしれませんが、職人の仕事は生きることの延長線にあって欲しいと私は考えています。それを教えてくれたのは昨年亡くなった轆轤(ろくろ)師の河田の姿です。河田は何十年も長右衛門窯の敷地内で畑を耕して野菜を育てていました。轆轤仕事を終えれば暗くなるまで畑仕事をし、休日も窯に来てはよく土を触っていました。腕に技術を持っている職人という生き方は、全てがその人の営為の中にあるようで、それはとても理想的で誇り高く見えました。

河田が亡くなってからは畑の世話をする者もおらず、畑には草が生えてしまっていましたが、最近になって絵付師の井上が草を刈り、荒れ放題だった土を耕して野菜を栽培し始めたのです。河田の営為を井上が引き継ぐかのようで私にはとても嬉しい出来事でした。

畑に水を撒く井上。

夏期休業に入った今日も窯に行けば、井上と柴田、そして林が何かをしています。これを読んでいるうちの職人全員がそうであって欲しいとは思いませんが、以前どこかの産地で「腕のいい職人はいつ電話しても工房にいる」と誰かが話しているのを聞いたことがあります。

「持っていって」と井上が
オクラをくれました。

さて話の途中ですが、この度9days Shopが開設3周年を記念した企画「Playback 9days Shop」を開催しています。このオンラインショップとそれに併せたIGライブ、そしてこのnote道行は私が先のコロナ禍で皆様と九谷焼を通して繋がろうと始めた大切な場所です。いずれも兄妹のようなものですので今後とも親しんで頂けると嬉しいです。

この3年間でご紹介した品物の中からご用意できるものを再販売しています。

販売期間
2023/08/09 21:00 〜 2023/08/29 09:00

https://9days.shop

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上出長右衛門窯の道行

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