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【六寸刻文皿】の道行

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2020年に発表した「八寸丸皿 百果刻文」を小さくリサイズした「六寸丸皿 百果刻文」の道行です。様々なフルーツをレリーフ状に彫刻したデザインで、製法である「圧力鋳込」や「石膏型」… もっと読む
本マガジンは「上出長右衛門窯の道行」からの抜粋です。月額500円/初月無料の「上出長右衛門窯の道行… もっと詳しく
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#上出長右衛門窯の道行

【六寸刻文皿】の道行#5「Time Lapse→」

こんにちは。上出惠悟です。 先日仲の良い友人がニューヨークへ旅立ちました。予備校で出会い、大学卒業まで多くの時間を共に過ごした友人です。卒業後は立場も環境も変わり、私たちは違う場所で社会の波にたくさん揉まれました。片時、お互いの姿が見えなくなっても、波が去って気がつけばまた傍にいて、ゆらゆらと揺られているような、彼とはそんな不思議な縁を感じます。40歳という年齢になっても、新しい世界に身を投じようとする彼を尊敬しますし、純粋に羨ましいと思っています。窯元を継いだ私にとって外

【六寸刻文皿】の道行#4「九谷と絵付/先人の道行②」

こんにちは。上出惠悟です。 「九谷焼は絵付を離れて存在せず」という言葉を生んだ先人たちの道行を、前回に続けてお届けします。皆様がきっと知らないであろう九谷焼と絵付についての歩み、今回は近現代編です。 基本的にお皿の絵付には、装飾という美的な価値の他に機能はありません。そしてこの装飾、美しさこそが九谷焼の真髄なのです。絵で埋め尽くされた古九谷がゴッホなどの西洋画に喩えられるのは、古九谷の余白を活かさない美があるのかも知れません(※古九谷の全てが絵で埋め尽くされている訳ではあ

【六寸刻文皿】の道行#3「九谷と絵付/先人の道行①」

こんにちは。上出惠悟です。 「九谷焼は絵付を離れて存在せず」という言葉がこの産地にはあります。なぜこのような言葉が生まれたのか、今回は少し立ち止まって考えてみたいと思います。九谷焼と絵付の歴史について書いているので、少し退屈に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとだけ我慢してお付き合いいただけますと幸いです。 九谷焼の源流となるのは、今からおよそ360年前につくられた「古九谷」という色絵磁器です。古九谷は現在の石川県加賀市にある雪深い山間の村で、大聖寺藩の藩営と