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DKBと私の夏

これは私が非モテだからアイドルを応援できなくなったという話で、アイドル本人は最高!という話ですので、悪しからず。


2023年2月、「PEAK TIME」は始まった。

既にデビューをしているの韓国アイドルグループ達が、賞金とカムバック特典とそのグループ再起をかけてサバイバルし、参加グループの多くが芸達者な面々ばかりでとても見応えのある番組だった。
参加グループの中でも、初回からその抜群のパフォーマンスに目を惹きつけられたのが、私が2023年夏を共に過ごすことになった9人組の「DKB」(ダクビ)だ。
2020年デビューの彼らは、参加グループの中で群を抜いて泥臭く、青春の匂いがするグループだった。
ほぼ、野球部の部活に見えるほどのそれだった。
ダクビにはラッパーのイチャンさんとオールラウンダーなD1さんというリーダーが二人いる。
いや、なんで二人いるのよ…謎。だが、2023年夏にリーダー二人制の力強さにど納得するのだから、ダクビに完全にやられた訳だ。
リーダー二人よりも一つ上に、テオさんという筋肉ボーカリストがいる。
真ん中に、どO型のラッパーのGKさん。と、私の推し骨ストどブルベパフォーマーヒチャンさん、ダクビのビジュアルとブルベ面白え男のルンさん。
マンネラインたちが、日本人の本物の天使である天沼優空(本名)、アイドル界随一のガタイから降り注ぐ歌声と踊りの技術を持つジュンソさん、なんか踊っていたらその可愛さでアイドルになってしまったヘリジュン
の9人組だ。

私とダクビとの時間は濃密だったがあっけなく終わっていった。
グループ自体が気になったから、ライブを見に行き、ライブ中ずっと目で追ってしまうヒチャンくんを見つけた春、本国カムバを経験し音楽番組を追いかけスミンをした梅雨、日本開催のサイン会に参加し、ライブで推しからファンサをもらった夏。
そして、私の経験してきたアイドルとは比較にならない距離の近さからか、その生きている生々しさに少しずつ引いていき、サバイバルで見ていた彼らの勢いを、カムバを通した通常活動の中に見つけられない中、どんどん冷めていると、長兄であるテオが飲酒運転をして脱退した秋。

なんそれ。なんなんそれ。

これが8ヶ月間で起こった。
恋よりも、短かった。目まぐるしく、私の上辺を通り過ぎて行った。
なぜ、冷めてしまったのか、思い当たる瞬間がある。遠征したライブで最前列の端の席を当ててしまった際に、ファンサを貰う事はできたが、自分の横を男の速度で通り過ぎていく推しのヒチャンくんのタオルが、結構ガッツリめに私の頭部を掠めていくという体験をした時だ。

私が冷めたのは、あの瞬間だ。

見えていない。彼には私が全然見えていないんだと、心の底から感じた。私はそういう扱いには慣れていないし、気分の悪さがじんわりと残った。彼は私にとって、「私」あっての「私のアイドル」だった。
パフォーマーとしてとても強く、キャラクターも面白いヒチャンくんは、そのことに気づいたオタクが応援するタイプのめっけもんアイドルだと思う。見た目が華やかなわけではないが、ステージ上の魅せる!!の心意気が半端ない。その心に直接触らせてくれるほどに本気のパフォーマンスをする。そこにあるものを見せてくれてる!と感じるほどヒチャンくん本人のこう表現したい!!!と私のそれはとても合っていた。解釈や表現が私の欲しいところに来てくれる。話すと、なんか訛ってる面白いお兄ちゃんなのも良かった。
どこかで、彼らのことを自分に近しい存在として今までの応援してきたアイドルよりも下に見ていたのだと思う。
私が思う彼らの良さを引き出さない活動に苛立ち、プロデューサーをバカなのかな…と下に見て、日本でビジネスする彼らに私がお金を払っているのだから!!と、どこかで思っていた。
私よりも本気のオタクも大勢いる彼らに対して、私はこう思っていたのだから、怖い。
距離の近さは怖いものだと、私はこの体験で知った。私は対応できない、非モテ女だった。
直接やりとりして、アイドルから信頼されるオタクもたくさんいるだろう。私はそうではなかった。この近さのアイドルを受け止める器がないのだ。話せる機会には、自分の話ばかりしてしまう、アイドルの話が聞けない、自分のことで精一杯で、せっかく手を振られても嬉しさの反面、周囲の目が気になりニタァと笑うしかできず、ファンサもらえたー!!!と陽気に飛び跳ねることができない、そもそもめちゃくちゃ良い席に座っていても目の合わないアイドルの方が多い。私の見た目の弱さと、器の小ささでスルーされる。彼らも反応の弱いものに構っているほど暇ではない。
そして、そのくせ私は分かったように「曲がどうたら、パフォがどうたらと」と分析をする。非モテは分析が大好き。一番好き。でも、自分のことは分析できないし、現場に行くとじっとりとしている。

絶対モテない。ウケる。

アイドルを応援して、自分が今までモテてこなかった日々のことを思い出すという展開を見た。
新しいと思う。

今でも彼らの話題を目にすれば、フェンス越しに野球部の練習を眺めるおじさんくらいの感じで、眩しく感じる。距離感はこっちが測るものだったんだと、今更ながら感じるのだ。
私に合っていたのは、タオルの当たる距離じゃなく、全体を引きで見られる距離だった。人間の生々しさなら、日常生活で間に合っている。


あの夏以降、私は、自分がアイドルに何を求めているのかと、どうすれば人として非モテじゃなくなるのかを考えてみているが、自分のことを分析するのは認知が歪んでおり正解に辿りつかない上に、つまらない。

結局、秋に飲酒運転をして脱退した彼は元気だろうかと、関係ないアイドルのことを無責任に考えているのが一番気楽なのだ。


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