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神戸大「自由英作文」トレーニング(問題001-005)

◆Preface

毎年、試験本番が近づいてくると、受験生はある問題に直面します。
 
「過去問が残ってない…」
 
自由英作文は、上達するためには特に練習量が必要な分野なのに、国公立大学の前期試験の過去問は年に1種類しか増えない! そこで生まれたのが、この「自由英作文」トレーニングです。神戸大(前期試験)の過去問を参考にした問題を用意したので、練習に活用してください。(※ただし、本番はいきなり形式が変わることもあります。特に神戸大は問題形式が安定しないので、そういう可能性があるという覚悟はしておきましょう。たとえ見たことのない問題が出ても、トレーニングで積み重ねたライティングのスキルを活用して乗り切るだけ!)
 
神戸大は問題形式が多様で、近年は①短い英語のパッセージを読んでそれに関連した自由英作文を書く形式ですが、2020年度入試では②長文問題と融合した形で出題されました。また、③2019・18年度は2つのオプションが提示されてどちらかを選ぶ形式、④2016年度は遭難した2人の会話文を埋めた上で、遭難した経路を地図を参照して説明する問題。⑤その前は英訳問題も出たり…と、非常に多種多様です。
 
今回は001-003が①の形式、004-005が③の形式を参考にしたトレーニング問題です。入試本番まで時間がない場合は特に、自分が練習しておいた方がよさそうなトピックを取捨選択して使ってください。自由英作文の練習は「書いてなんぼ」という側面があります。どんどん手を動かしてトレーニングを積んでください!
 
もう1つだけ。入試の後、神戸大は「出題の意図」を発表してくれています。そこで繰り返し登場するのが ◆論理 という言葉です。答案を書いた後は、論理的に自分の考えを表現できているかという内容面を、◆語彙・文法 に加えて毎回確認してみてください。
 
では、早速始めましょう!





問題001

Read the following passage and answer the questions in English.
 
It is shown that students tend to do well if teachers expect good performance from them. Conversely, teachers’ low expectations could lead to poor performance of their students. This is known as the Pygmalion effect, where some people’s expectations are closely related to others’ performance levels, and this applies to various cases in addition to educational settings. You may expect all teachers to take this effect into account when they teach, but it is also pointed out that teachers today face many problems, so it might be difficult for them to spend enough time with their students and make full use of the Pygmalion effect.
 
(1)    Have you experienced the Pygmalion effect in your life? Write about your personal experience in approximately 40 words. (You can make up a fictional story.)

(2)    What do you think is the biggest difficulty that teachers in Japan face today? What should be done to solve it? Write your opinion in approximately 70 words.





◆問題文の和訳(※意訳することもありえます)◆
 
以下のパッセージを読んで質問に英語で答えなさい。
 
教師が学生に高いパフォーマンス[成績]を期待すると学生は成績が良い傾向にあると示されている。逆に、教師の期待が低ければ、学生のパフォーマンスも悪くなりうる。これはピグマリオン効果として知られており、ある人々による期待が他の人々のパフォーマンスのレベルと密接に関連しているわけだが、これは教育環境に加えて様々なケースに当てはまる。教える際には全ての教師がこの効果を考慮に入れておいてほしいと期待するかもしれないが、今日の教師は多くの問題に直面していると指摘されており、そのため、学生と十分な時間を過ごし、ピグマリオン効果を最大限に活用することは、彼ら教師にとっては難しいことかもしれない。
 
(1) あなたは人生[生活]においてピグマリオン効果を経験したことはありますか。あなたの個人的な経験について約40語で書きなさい。(架空の話を作り上げてもよい。)
 
(2)日本の教師が今日直面する最大の問題は何だと考えますか。それを解決するために何がなされるべきでしょうか。あなたの意見を約70語で書きなさい。
 
 



◆ヒント◆

(1) パッセージを読むと、必ずしも「教師と学生」に限定する必要はないことが分かります。社会人なら仕事の話も書けそうですが、受験生の場合は部活の経験などが思いつきやすそうですね。40語しかないので、簡潔に書くことになります。素直に書けば、「期待された→その結果うまくいった」という流れになりそうです。手を動かして、40語だとどれぐらい書けるのかという感覚もつかんでください。
 
(2) 学校の先生は大変、というのは最近よく取り上げられる話題の1つ。

【例】
◇忙しすぎる
 授業だけでなく、部活指導や保護者対応、会議の出席や書類作成など、
 やることが多すぎる。
 →解決策)教員の数を増やす、部活は外部コーチに依頼、
  テクノロジーの活用...等

◇時代の変化
 変化の激しい時代なので、教えるべき内容も変わったり、
テクノロジーを使いこなす必要が出てきたり。
 →解決策)教員自身がスキルを磨ける機会を充実させる...等
 
他にも「学校以外の社会について知る機会が限られている」等いろんな課題が考えられます。なお、「問題」と「対処」両方に触れるよう指示されているのを見落とさないように注意です! 
 
 




◆(1) 解答例◆
Yes. When I was a member of the tennis team, I didn’t perform well at first. Although I felt disappointed, my coach always told me that she believed in my potential and encouraged me to practice hard. Thanks to her support, I finally became a competent player. (47)
 
◆英語面のアドバイス
◇at first「初めは」→「初めはこうだった、でも後で…」と内容がひっくり返るときに使うことが多い表現
◇disappoint O「Oをがっかりさせる」
→be disappointed「がっかりする」
→このbeがさらにfeelになっています。disappointはスペリングをミスしやすいので注意
◇encourage →「励ます」だけ覚えている人は注意。「奨励する、促す」といった意味も辞書で確認しましょう
◇competent 「有能な、能力のある」
 
◆内容面のアドバイス
◇一応、形式的には “Have you ...?” と “Write about ....” という2つの問いが問題文に含まれているので、冒頭で “Yes.” と1語入れていますが、無くても許されそうではあります。
◇語数が短いので、簡潔にまとめます。the Pygmalion effectの説明になるような経験談になっているか確認しましょう。「高い期待」のおかげで「良いパフォーマンスができた」という内容が入っているかチェックです。
 

 
◆(2) 解答例◆
In my opinion, teachers in Japan are too busy. They not only teach classes but also supervise club activities and deal with parents. As a result, they often do not have enough time to talk with their students, acquire new skills, or relax at home. The best solution is to hire more teachers. This will lighten the burden on each teacher, allowing them to use their time more effectively. (69)
 
◆英語面のアドバイス
◇supervise「Oを監督[管理]する」
◇deal with O「Oに対処[対応]する」
◇lighten 「軽くする、軽くなる」
◇burden 「負担、重荷」
◇allowing ... →この部分は分詞構文を使っています。分詞構文は、自分で使うのが苦手な場合は無理して入れる必要まではないでしょう(分かりにくい文になってしまうことが多い印象です)。

◆内容面のアドバイス
◇問題点・解決策の両方が入っているかどうか、まず自分の答案を確認しましょう。(問題文の指示は丁寧に確認を!ここがずれると、どんなに頑張って答案を作っても評価がかなり下がってしまうリスクがあります。)
◇その上で「論理性」にも注目しましょう。「解決策」の内容が、「問題点」ときちんと対応しているかどうか。途中で矛盾したことを書いていないか。たとえば「教員は忙しすぎる」と言っているのに、まとめの一文で「教員はプライベートの時間を削ってでも学生のためにスキルをより磨いていくべきだ」と書けば、読み手は混乱しますね。(そんなこと書くわけないと思っていても、いざ解いてみるとやってしまったりします。矛盾を感じさせる部分がないか、自分の答案を頭から読み返してみてください。)


【一応お知らせ】
問題001-020まで完成したらAmazonでもペーパーバック版(紙の本バージョン)も販売予定です。ただ、印刷費用等の関係で、noteで購入された方が安価で済むと思います。

問題002

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