阪大「自由英作文」トレーニング(問題001-005)
◆Preface
毎年、試験本番が近づいてくると、受験生はある問題に直面します。
「過去問が残ってない…」
自由英作文は、上達するためには特に練習量が必要な分野なのに、国公立大学の前期試験の過去問は年に1種類しか増えない! そこで生まれたのが、この「自由英作文」トレーニングです。最近の阪大の過去問を参考にした問題を用意したので、練習に活用してください。(※ただし、本番はいきなり形式が変わることもあります。そういう可能性があるという覚悟はしておきましょう。たとえ見たことのない問題が出ても、トレーニングで積み重ねたライティングのスキルを活用して乗り切るだけ!)
近年の阪大は、①AIやキャッシュレス社会に触れるなど、現代社会の動向や風潮に光をあてた問題を出す傾向が見てとれます。また他方では、②過去の経験から学んだことといった問題のように、個人的な考えを尋ねたり、社会問題と直接的には関係しないトピックが選ばれたりすることも。
この「自由英作文」トレーニングでは、001-005が①、006-010が②の傾向を主に参考にした問題です(あくまで目安ですが)。参考書を購入したからといって、全ての問題を解き切らねばならないわけではありません。入試本番まで時間がない場合は特に、自分が練習しておいた方がよさそうなトピックを取捨選択して使ってください。自由英作文の練習は「書いてなんぼ」という側面があります。どんどん手を動かしてトレーニングを積んでください!
もう1つだけ。入試の後、阪大は「出題の意図」を発表してくれています。それを読むと、自由英作文では ◆語彙力 ◆構文力 そして ◆明確(明瞭)かつ論理的に書く力 あたりを重視していることが分かります。自分で書いた後、その観点で答案を見直してみてください。英語面でのミスだけでなく、「この部分って、初めて読む人には分かりにくいかな?」等の内容面にも注目です。
では、早速始めましょう!
問題001
今日の私たちの生活は、テクノロジーの力なくして成り立たないといっても過言ではないでしょう。人々は必要な情報をインターネットで手に入れ、様々な品物をオンラインショッピングで済ませ、また仕事にAI(人工知能)を活用する企業も増えています。他方で、この風潮のせいで失われたものもあるようです。テクノロジーに依存した今日の社会の負の側面だとあなたが考えるものを1つ挙げ、80語程度の英文で説明しなさい。
◆ヒント◆
インターネットやAIの進展のおかげで大きな便利さを享受している一方で、課題もあるのではという問題提起。負の側面を「1つ挙げ」という指示なので、80語程度の英語で展開できそうなトピックを1つに絞り込む必要があります。
【例】
◇人との密なコミュニケーションが失われた
連絡はLINEやDMで軽く済ませるようになり、対面での(face-to-faceの)人間的な交流は減少した。
◇自分で考える力が弱まった
例えば作文を書くにしても、すぐにネット検索したり、ChatGPT等のAIの力を借りたり。自分自身の頭を使って思考する機会が減少し、能力が衰えてしまった。
◇気が休まる時間がない
常にネット接続されており、いつ誰から連絡が来てもおかしくないONの状態が続く現代。昔のように、学校や仕事場ではON・帰宅すればOFFといった区切り目がなくなり、常に気が張り詰めている状態に。
…等々、複数の候補が挙がりそうです。が、書けるのは1つだけ。「80語の英語で書き切れそうか?」「書けそうな具体例はあるか?」等の基準で、1つ選び出しましょう。(練習時は、書き始める前のこのplanning段階で自分がどれくらい時間をかけているのかも計測しておくのがオススメ。)
◆解答例◆
In my opinion, people’s ability to think on their own has declined. For example, when writing an essay, we used to read books, organize information, and spend time considering the contents. In contrast, people today immediately turn to technology, searching for sample essays on the Internet or seeking advice from AI. In other words, since useful technologies are readily available, we do not use our brains as much as before, which seems to have led to a significant decline in our thinking skills. (83)
◆英語面のアドバイス
◇in contrast「対照的に」→対比するとき物凄く便利なので覚えてしまいましょう
◇turn to O「Oの方を向く」→「Oに頼る」
◇searching for →この箇所は分詞構文ですが、自分で使うのが苦手な場合、分詞構文は無理して使う必要はありません(分かりにくくなることが結構多い印象です)
◆内容面のアドバイス
◇問題の指示に従い、第一文でしっかり「1つ」明確に挙げます。
◇今回はその直後に「過去との対比」を入れました。「以前はこうだったのに、テクノロジー社会のせいでこんな負の側面が…」という流れ。
◇In other wordsの一文の直前までで51語です。短すぎるため最後にまとめの一文をガッツリ書いていますが、ここで「序盤と全く同じ内容を繰り返す」のみだと寂しいですね。例えば「このように自分で考える力が衰えました」だけだと、話が展開している感じがしません。なので、主張としては同じ方向性のことを言っているんだけど、異なった言い方・角度からまとめる…というのができるとベターです。(といってもほとんどの受験生はそこまで余裕がないでしょう。特に自由英作文や和文英訳は、残り時間とも相談して、どこまで“凝る”か決めることになりますね。)
問題002
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