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ナクル湖のフラミンゴはどこに行っちゃったの? フラミンゴ探しの旅

「2百万羽ものフラミンゴが集まり、湖がピンク色に染まる」
というナクル湖の謳い文句は、もはや昔のこと。
2013年、ナクル湖から多くのフラミンゴが姿を消してしまいました。

ナクル湖のメインゲートのオフィスが水没

「フラミンゴはどこに行っちゃったの?」
「ナクル湖は行く価値ないですか?」
――――読者の方々から多くの質問が届きました。

2014年、2015年、フラミンゴ探しの旅
ケニアのフラミンゴの生息地は主にエレメンテイタ湖、ナクル湖、ボゴリア湖です(でした)。この3つの湖は「グレートリフトバレーの湖沼群」として世界自然遺産に登録されています。

同じグレートリフトバレーの湖でも、水質が淡水のためフラミンゴがいないのがナイバシャ湖。

ナイバシャ湖はボートサファリやウォーキングサファリが楽しめる湖です

2014年12月、朝もやがたつ絶景を紹介できないかなと、ナイバシャ湖に取材に行きました。そこで知り合ったサファリ会社のマネージャーにフラミンゴの話をふってみると、
「フラミンゴが見たいなら、オロイディエン湖に行くといいよ」
とのこと。

オロイディエン湖というのはナイバシャ湖のお隣りにあり、地元の人達には“Small Lake”と呼ばれている湖のようです。

カバが生息するオロイディエン湖。後ろにいるのはフラミンゴ

「ナイバシャ湖のキャンプからマタトゥ(小型バス)でコンゴニ・ジャンクションまで行き、そこでバイクタクシーを拾うといい」
とサファリ会社のマネージャー。簡単に行けそう。

オロイディエン湖ではボートサファリでフラミンゴが見られましたが、その後フラミンゴはオロイディエン湖からも姿を消しました

1万羽を越えるぐらい集まっていました。
地元の人達に聞き込みすると、フラミンゴが集まってきたのはここ数年のことだそうです。ナクル湖から避難してきたフラミンゴなのでしょうね。
※その後オロイディエン湖も増水によりフラミンゴはいなくなってしまいました。

ナイバシャ湖からナイロビに戻ると、「週末ボゴリア湖に遊びに行く」という日本人女性を紹介してもらえました。実はフラミンゴの多くがボゴリア湖に避難しているというので、様子を見てみたかったのです。

 ボゴリア湖のフラミンゴ。ナクル湖より多く見られました

でも、
「減っているー。ショック。以前はもっとたくさんいたのに」
と彼女。フラミンゴはいるものの、ボゴリア湖も明らかに増水していました。

水に浸かっているフラミンゴ 

翌年2015年は、ケニア南部のマガディ湖まで行ってみました。ここは1963年までフラミンゴで有名な湖だったのですが、工場建設により壊滅してしまった、かつての繁殖地。工場の排水が原因で3000羽ものヒナが死んでしまい、それ以来飛んで来なくなったそうです。

工場がそびえるマガディ湖。もうここでは産卵、子育てはできません

でももしかしたら、オロイディエン湖みたいに逆に避難してきて増えていないかと、わずかに期待をしてみたものの ――――、やっぱり少ない。
※地元のガイドさんの話ではそもそも数は多くなく、朝早くに飛んでいってしまう。夕方戻ってくるそうです。

世界の75%のフラミンゴがナトロン湖で繁殖している。
「Flamingo kenya」で検索していると、このフレーズに何度も当たります。フラミンゴはジャッカルなどの捕食者から卵を守るため、浅瀬が続くナトロン湖で産卵するのだそうです。
以前はナクル湖でも卵を産んでいたのですが、水かさが増してしまったので、卵を産んだらボッチャンと卵が溺れてしまうのでしょうね。私が取材してきた限りでは、繁殖期になるとナクル湖のフラミンゴは減っています。

政府公式の発信では、
タンザニア曰く「10月にナトロン湖にやってくる」
ケニア曰く「7月頃ボゴリア湖にやってくる」
私がケニアのボゴリア湖を訪れたのは12月。つまり少なかった原因は増水だけでなく、繁殖のためにナトロン湖に行って減っている時期だったのですね。

12月のボゴリア湖。繁殖するフラミンゴはナトロン湖に飛んで行って、ここは少なめ

ナクル湖はもともと繁殖ができた湖だったのですが、現在は増水によって卵を産み落とせなくなったようで、やはり繁殖のシーズンは減ります。孵化直後の季節に訪れても幼鳥の姿は見られませんでした。
※もちろん全てのフラミンゴが産卵する訳ではないので、一部はケニアに留まります。

そんな訳でフラミンゴを見るのなら、
1.多く集まっているのはボゴリア湖、特に7月~9月。雨量によって増減はあるようです。ただしここは哺乳類が少なく、サファリはイマイチ。雨の具合によってはナクル湖に移るようです。
2.ナクル湖はサファリが楽しい所ですが、フラミンゴは減っています。それでも多めなのは7月~9月。

ナクル湖では車を降りて観察できるので、目線がググっと下げられます

3.近年アンボセリ国立公園の湖にもフラミンゴが増えています。私のおすすめはここ。サファリが楽しく、キリマンジャロの眺めも素晴らしい。フラミンゴが多いのは同じく7月~9月。

湖沿いに道路があるため、アンボセリでは近くで見る事ができます

4.ンゴロンゴロクレーター内のフラミンゴも減っています。ただし湖水の量によっては多く戻ってくるようで、条件が揃えばここで繁殖もしているようです。

クレーター内のマガディ湖。卵を産んだ形跡が残っています(赤い丸の部分)

・セレンゲティNPのマガディ湖のフラミンゴは増えているようです。ここは繁殖地ではないので、産卵、抱卵、子育ての時期を外した頃に多いはずですが、なぜか12月は多いそうです。ナミビアのウォルビスベイ(生息地)でも12月に増えるという話を聞いたので、多分理由は同じだろうな。一度確認に行ってきます。

追記:これでフラミンゴ探しの旅は完結したつもりだったのですが、その後、あることをきっかけに再びフラミンゴ探しの旅が始まりました。
詳しくは↓「フラミンゴを追いかけて」を。

<フラミンゴ取材の記事 index>
フラミンゴを追いかけて①|武田ちょっこ*まるまるサファリの本|note
フラミンゴを追いかけて②|武田ちょっこ*まるまるサファリの本|note
フラミンゴは追いかけて③|武田ちょっこ*まるまるサファリの本|note
フラミンゴの飛翔が見たい

取材の裏ばなしの続き
前回の取材の裏ばなし

『まるまるサファリの本』取材の裏ばなしが全部読めるマガジン
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