「世界のビーズ」 文化学園服飾博物館
文化学園服飾博物館の企画展「世界のビーズ」、会期ギリギリにすべりこみ。
古代の出土品から現代のオートクチュールまで、さまざまな素材・形のビーズとビーズ作品を見ることができる、楽しい展示でした。
こんなビーズもあったのか!
ビーズといえばガラスやプラスチックが思い浮かびますが、貴石や金属のものもありますし、古くは貝や骨、動物の牙なども使われていたのですね。
思いがけないような素材のビーズも見ることができました。
人骨のビーズはちょっとドキドキしてしまう。
野犬の歯やイノシシの牙もなかなかの迫力。
植物の実や種もおもしろく、中でもメロンの種のネックレスが気になりました。
ごく細い竹を管ビーズとして編んだ下着は、夏に涼しく過ごすために作られたそうですが、工芸品のような精緻さ。
衣類に施されたビーズも、地域によってさまざまな形態です。
古代の人のネックレス、色鮮やかなアフリカのエプロン、ビーズで編まれた王冠。東欧の華麗な民族衣装。
山岳部では貝殻が希少だったために、ガラスビーズが普及してからも白いものが好まれたということも知りました。
1920年代のフランスのドレスや、越路吹雪さんが実際に着用したというイヴ・サンローラン(だったと思う)のスパンコールドレス、特別出展のオートクチュールも眼福でした。
デザイナー名はあっても実際に手を動かした人の名前はないのですが、人の手仕事のすばらしさを堪能し、無名の職人さんたちのことを思いました。
ビーズは、なぜ懐かしい?
私にとってのビーズは、幼児期の記憶に結びついています。
4、5歳の頃、母にせがんでデパートで買ってもらった淡い3色のガラスビーズ。
曾祖母に教えられて実を集めた数珠玉は、中身を抜いて木綿糸でつなぐ。
よそ行きハンドバッグはピンクのサテン地で、きれいな花のビーズ刺繍。
こんな個人的な記憶はさておき、人間は大昔からビーズが大好きだったようですね。
針と糸の発明もすごいと思いますが、穴が開いたものを糸でつなぐ、留め付ける、というのは、なかなかの発見だったのではないでしょうか。
キラキラしたものを身に着けるのは、装飾だけでなく魔除けの意味もあったのだそうです。
「ビーズは良いものである」という感覚は、もしかしたら数千年にわたって先祖たちから受け継がれ、私たちの中に植え付けられているのかもしれません。
どうでもよい感想(おまけ)
展示物、とくにアクセサリーや衣類などは、20世紀半ば以降のものも多くありました。
「これは古いものだな」と思って説明を読んだら、自分が生まれた頃のものだったりして。私と同世代(?)の品物は、もう博物館に資料として並ぶのね……。
展覧会の基本情報(覚書)
展覧会名:世界のビーズ
会場:文化学園服飾博物館
会期:2024年7月19日(金)~ 2024年11月4日(月)