サクラサク

今日、息子の高校入試の合格発表があった。

結果は、無事合格。


模試での判定結果も問題なかったので、受験自体には、正直ほとんど不安は感じていなかった。

私にとっては、発表より後に、大きな課題が待っていたからだ。


それは、合格発表の後に行われる、入学説明会と物品販売及び制服採寸。

これは、必ず保護者(もしくはその代理人)同伴でなければならない。


私は、過去のある経験から、パニック発作を患っている。

それ以外にも様々なメンタル疾患を抱えているのだけれど、今回もっとも大きな問題が、パニック発作の症状だった。

私の場合、電車や狭い飲食店など、閉鎖的かつすぐに出ることが出来ない場所で、特に発作が起きやすい。

それから、人混みも苦手だ。

これまで何度も電車内や人の多い場所で発作が起こり、すっかりトラウマになってしまってから、私はずっと電車に乗ることを避けてきた。

休日の繁華街や、コンサートやイベント会場など、人が密集する場所も同様。


けれど、ここ最近になって、私は「このままではダメだ」と思うようになった。

先日、愛猫が他界した記事でも書いたけれど、私は最後に愛猫を抱いた日、本来ならコンサートに行く予定だった。

これまでの私なら、「もしも発作が起きたら」という不安の方が先に立ち、そもそも「コンサートへ行きたい」という気持ちにすらならなかった。

結果的に中止にはなってしまったが、ここへ来てやっと、「コンサートへ行きたい」という意思で不安を踏み越えることが出来るようになったのだ。


自分の興味が強ければ、不安に勝てる。

私がこう思えるようになったのは、いつも私に様々な視点からアドバイスをしてくれる友人たちのお陰なのだけれど、その話はまた機会があれば書きたいと思う。


今回は、私が更にもう一歩を踏み出せた話だ。


合格発表はともかく、入学説明会や物品購入などは、いわば『行事』であり、私の興味云々はまったく関係ない。

所要時間は約4時間と知らされていた為、どちらかと言えば、

「うわ、長っ……嫌だなあ……」

というネガティブな気持ちだった。

けれど、保護者同伴であることが必須と言われている以上、行かなければならない。

息子が入学予定の高校は、快速電車で一駅。

時間にして、五分もかからないくらいだ。

日頃から通勤や通学で電車を利用されている人なら、「たったそのくらいで、何を大袈裟な」と思われるかも知れない。

だが私はかれこれもう3年は、一切電車に乗っていなかったのだ。

最後の記憶は、車内で発作が起きてしまい、降車後もホームでしばらく動けなかったというもの。

これまでの私なら、主人に代わりに行ってもらうか、もしくはタクシーを使うという選択をしただろう。


けれど、いつまでもそうやって、甘えて逃げているだけでは前には進めない。

息子はこの春から電車通学をするのに、私はこのままずっと、興味が湧かない限り逃げてばかりで良いのかと自問した。

その結果出た答えが、やはり「このままではダメだ」だった。


私の体調を心配してくれていた主人が、自ら「代わりに行こうか?」と言ってくれたが、私は「何かあったら迎えに来て」とだけ頼んだ。

これでも充分甘えているのだけれど、そこは3年ぶりのプチ浦島太郎状態で電車に乗るということで、見逃して頂きたい。


説明会に参加するにあたって、私がクリアすべき課題は二つ。

・電車に乗って、目的地へ着くこと

・混雑が予想される、物品購入や制服採寸の待機列を乗り越えること


行きの電車は問題なかったものの、説明会はかなりの長丁場で、制服採寸に至っては

最大手サークル並の待機列

だったし、最後に購入した教科書が岩のような重さで、帰路につく頃には完全に

同人即売会帰りの人

と化していた私。

ハッキリ言って、死ぬほど疲れた。マジで疲れた。即座にベッドに倒れ込みたいくらいに疲れた。


でも、クタクタになっていたものの、気づけば私は息子と二人で帰りの電車を降り、自宅まで帰り着いていた。

身体は疲労困憊だったけれど、それ以上に大きな達成感があった。

やっと電車に乗ることが出来た。

人混みの中、長蛇の列に並ぶことも出来た。

やれば出来るやないか、私!!

そして私がこの課題をクリア(というか、チャレンジ?)出来たのは、コロナ騒動の中、無事志望校に合格してくれた息子のお陰だ。

本当にありがとう、そして合格おめでとう。

この春から新しい一歩を踏み出すキミに負けないよう、私も少しずつ前進していきたいと思う。


最後に。

パニック発作の原因や症状は人それぞれであり、なかなか思うように克服出来ず、苦しんでいる人も社会には沢山居る。

私は今回、偶然にも色んなことがプラスに働いて、少し山を越えられただけのこと。

季節が少しずつ春へ移ろいゆくように、これを読んでくれた人の毎日が、少しずつでも幸せへと向かっていきますように。




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