見出し画像

ガチの初心者がカバー付き文庫本サイズ小説同人誌を作った話

文庫本サイズ同人誌(カバー付き)の制作における、初心者目線のツールや期間についての記事がなかったので書いてみました。著者はあくまで今でも初心者。

なによりこの記事は、自分自身の備忘録として、そして応援し、かつ物理的に援護射撃をくださった、魂燃やして本作ってる系お姉様たちに捧ぎつつ、自分の反省と自戒も込めて書こうと思いました。

簡単な自己紹介
・これまで本制作の経験はなし。
・支部には50作品くらいアップしてこれまでそこそこ書いてた。
・入稿って言葉は知っている程度
・腐女子の物書き

本エントリーでは腐向け成人向けの本の制作について書き連ねますゆえ、ご了承ください。(内容には一切触れていません。その点はご安心ください。)


1.「イベントに申し込め。さすれば本は出る」

2019年10月、大学時代の友人(腐女子)とともに旅行に行った。この旅行が全ての始まりだった。

友人は私の計画する好き勝手スケジュールにも「金だけ出すわ連れてって!!」と言ってくれるありがた〜〜い菩薩みたいな人である。以下菩薩と称する。

旅行中宿に到着し、さて一息という最中、iPadとBluetoothキーボードを使って宿で原稿を始める菩薩(この時点でめっちゃかっこよく見える)。
同人誌を作っていることは知っていたが、目の前で書かれるのは初めて。

「イベントに申し込めば本はでるよ? 筆が遅いって悩んでるならまずは申し込んでみたら?」

今思い返してみれば、この言葉自体がすでに何言ってんだこの子状態だが、その頃本気で遅筆に悩み、1作産むのに半年から2年かかっていた私は「え、ほんとに!?!?」とこの菩薩の言葉を信じ、耳を傾け始めてしまう。


「でも私本作ったことない…」

「大丈夫カンタン!テンプレート通りに作ればいける!何でも教えるよ!」

「原稿書き切る自信ない…」

「Webに掲載してる原稿が2万字あれば本になる。後日談の書き下ろしちょろっと書けば本人も満足の立派なWeb再録本だよ!」


2万字アレバ本ニナル


「本のサイズとかも何もわからん…」

「今の印刷屋は親切。迷ったら文庫サイズにしなさい。A6だよ」


迷ッタラ文庫サイズニシナサイ


二次創作達者な菩薩にそう言われた上に、全力サポートいただけるのであれば何でも出来そうな気がしていたチョロい私はまんまと乗せられ、イベントに申し込むことをノリと勢いで決めた。


2.イベ決め、合同サークルへ

結論からいうと、イベントは3.5ヶ月後の2月16日に決めた。

既に二万字の原稿はあれど、初めてなので準備期間3ヶ月は欲しいという菩薩の神託を参考にもしたけど、自ジャンルスペースが多いと聞いていたのでこのイベに決定。

初めてで何もわからずサイトから手順通りにやったらなんとなくできた。

サークル参加だとサークル手数料を払う必要があり「b2-online」というサイトに登録し、クレジットカードでサークル参加料をお支払い。大体6000円くらいだった。


あとはぼっち参加が怖すぎたので、日頃仲良くしていただいている同ジャンルの女神に合同サークルを依頼。
私たちの場合は一人ずつ申し込んだ後に「合体」という申請をした。1スペースは長机の半分なので、2人で1つの長机を使いたいというのと同義っぽい。(合同サークルを検討してる人はちゃんと調べてね…)

こうして無事、参加までの手続きは完了。あとはサークルチケットを待つだけとなった。


本を準備する以外は。


3.どんな本にするのか(印刷所やノベルティ等)

「迷ッタラ文庫サイズニシナサイ」という神託を受けていたので、私に文庫本以外の選択肢はもはやなかった。

しかしながら「にゅうこう…?」というレベルの印刷知識皆無民だったので、とにかくネット記事を漁り、文庫本サイズの同人誌とはいかなるものかについて、知識を得なくてはならなかった。

一番参考にしたのはこの記事。

(装丁決める時ずっとChromeのタブに残していたので、もう本当に何度も読んでいます。ありがとうございました!)

この記事のおかげで、少し値は張るかもしれないけど、自分の気持ちとして「カバー付きの文庫本を作りたい」と思うようになったのは確かだ。
よしもとばななの文庫本が大好きだったので、ああいう感じにしたいな〜という気持ちも浮かび、少しずつイメージが湧いてきた。

次に問題になるのは、イメージを形にしてもらう印刷所である。
この時点で未だ「にゅうこう…?」レベル状態。

同ジャンルの神絵師にたまたまオフイベでお会いする機会があり、神絵師と菩薩におすすめの印刷所を聞いたところ、下記の回答を得た。

・ねこのしっぽさん
・ポプルスさん
・STARBOOKSさん

そこからホームページを見て、
・仕様ごとの見積もりがすぐ出る
・入稿の仕方がわかりやすそう
・テンプレートが充実

しているねこのしっぽさんに決定した。


名前も可愛い。あとは最初に検索したからというのも大きい。他の2社が劣っているわけではなく、あんまり読んでいないだけなのだ…

ただ、テンプレートが充実していると言った割に実は小説原稿自体を流し込むWordがなかったので、栄光印刷さんの「Wordテンプレート(小説本)本文用」テンプレートを貸していただきました。

最終的には自分で余白を修正したりページ数(ノンブル)を付け足したりしたが、余白はこのままで良かったかも…とは思っている。
栄光さんさすがです…。

ねこのしっぽさんの話に戻るが、あとは文庫本テンプレートとしてカバーとカバー下の表紙のテンプレートがあるので、こちらを活用させていただく。

あと、ねこのしっぽさんがいいなと思った最初の理由は、文庫本メニューで一緒にしおりも作れるところだ。選択は任意だが、作っても作らなくても費用が同じというところが魅力。ノベルティのしおりについては後述。

こうしてWordテンプレートと、カバー、カバー下表紙、しおりのテンプレをゲットした。この時すでに12月末。


4.原稿環境・ツール

作業環境などのご紹介。


ツイートを見ていただければ分かる通りの原稿環境である。使っていたのはiPhoneとiPad miniとPC(Windows10)。

原稿
文章はスマホで通勤中にぽちぽちiOSアプリ版Evernoteに書き込み、それをWordに流し込む。

Evernoteは機動性に長けていて、一瞬で更新&同期される。別デバイスで書く時に便利だし、新規ノートもすぐに作れる。ただ、Evernoteのアプリでデータを吹っ飛ばしたことがあるので、悪いがGoogledocsへの引っ越しを検討中だ。(みんなデータのバックアップはこまめに取ろう!)

iPadでの作業環境を整えるにあたって参考にしたのは下記の記事。

実際は私はPCがなければイラストデータの最終確認やデータ形式の整え、入稿は無理だったな〜と思ってはいるがiPadだけでやってみるのは魅力的だ。PCとは起動速度がレベチなので、そもそも作業スピードが違ってくる。

ぽちぽち押すのも遅いので、原稿スピードが加速するならと買ったのはBluetoothキーボード。参考にしたのは下記で引用リツイートしてるツイート。

画像13

都内のビックカメラで7000円くらいだったかな…?
私はタッチパネル式のやつを買ったが、今思えばタッチパネル無くても良かったのでは…? iPad本体触った方が早い…
上のツイートに公式さんも反応してくれましたが(!)、こちらが公式サイト。私はNEOって種類を買ったことになる。
https://product.3ec.jp/neo/

上記環境にて物理的に俊敏性をバフしまくった結果、当初3000字程度を想定していた書き下ろしは結果35,000字くらいになった。菩薩の言ってたことは本当だったのだ…。遅漏直った気分(突然の下ネタすんません)


校正
Wordに流し込んだデータの誤字脱字やら推敲する段階。
紙媒体にするので、やはり見開きで一度きちんと見たい…と思ったときに使っていたのがSideBooksというアプリ。

dropboxに保存してあるPDFを「見開き」かつ「右閉じ」(ようは文庫本と同じような体裁)で確認することが可能。これにはかなり助けられた。

↓PCでこういう風に見開き、右閉じを実現する簡単な方法が見つからなかった。。。下のスクショはiPadを横向きにした画面。すごく本っぽい。

画像16


細かいこだわりかもしれないが
「扉絵は必ず奇数ページに持っていきたい」
「ページをめくったら決め台詞がばばんとくるようにしたい」
等々、WEBでは叶えられない希望がそれなりにあるわけだ。

原稿量の流動性が高い校正段階でそのページ数をきちんと定めつつやるのは至難の技で、校正終わったと思ったらこのアプリで面付けの確認→あ、扉絵が偶数ページに…→もう一回校正→PDF化→アプリで面付け確認→あ、誤字脱字発見→もう一回校正…とループ。正直この段階が一番キツかった……

一度紙にも出して見たが、手間もコストもかかるので一回くらいでいいかなって…。

紙に出したのはみんな大好き印刷所キンコーズ。A6設定のPDF原稿を持っていっても受付のお姉さんが優しく指導してくれる。多すぎてホッチキス中綴じを複合機内で出来なくても「手数料いただければこちらでやりますよ?」「お願いします!!!」と課金で問題解決を提案してくださる最高のお姉さんだった。
ちなみに用紙はA4なので、A5サイズの冊子完成…!

キンコーズのコピー本は以下を参考にするのが一番良いです。このやり方だと一度出力しないといけないけどね……。

写真 2019-12-27 19 17 51

非常に同人誌然としていて、これだけでもとても満足度が高かった…初めての製本。-完-


表紙
絵なんて1ミリも書けねぇぜ! 表紙は素材を買うぞ!!!

意気込んだはいいが、こちらは二次創作&BL&18禁…三拍子そろった個人誌に使える素材というのはお金を払ってもなかなか見つからない…

菩薩に聞くと、やはりpixiv内で探すのが良いというのでぽちぽち探して見つけたのが下記のアカウント。

同人誌作ろうとしてる文字書きの神様では…豊富な素材とレイアウト例、そして著作権はほぼ放棄…?
印刷用はBoothにて販売とのことなので、表紙素材を100円で購入。ダウンロード式なのですぐ手に入るよ!

デザインはもちろんてんぱる様のレイアウト例もたくさん見て参考にさせてもらったけど、やはりこっちも参考になったので載せます。

あまりに参考になりすぎた…ありがとうねとらぼ。
こうして表紙の素材を課金ゲットした私。次は編集だッ!

ねこのしっぽさんでダウンロードできるテンプレートがpsdかaiだったので、psd対応のアプリ「メディバンペイント」で手探りで作成。といっても文字入れとかだけだったので、そんなに大した作業じゃなかったけど、お絵かきアプリ初心者には結構大変な作業だった。

一応だけどできた感じの表紙はこちら。

写真 2020-02-23 21 24 51

デザインしなくても表紙はできるよ!!という証明に貼っておく。
ちなみに、一番右のかわいらしいイラストはしおりを書いてくださった女神さま(後述)が書いてくださいました。ぎゃわいい。


お品書き

サークル参加になって初めて意識したが、お品書きを作るというのもサークルにとっては大切なお仕事だ。
pixivに本文サンプルだけあげてもいいかもしれないが、一般参加者はイベント前にお買い物リストをお品書きを見ながらつくるため、どんなものをいくらで、何種類配布するのかというのがまとまっていることこそが非常に大切なのだ。

「サンプル出してるしTwitterとかでもちょくちょく告知してるからいいや〜」と思うかもしれない。でも、人というのは意外と自分を見てくれていない前提で考えた方がいい。どれだけ呟いていたとしても、参加者のためにわかりやすくアピールするというのは、相手に存在を認知してもらうファーストステップだと思う。

ちなみにお品書きについては下記を参考にさせてもらった。

その他はいろんなお品書きをとにかく見た。

ちなみにお品書きはメディバンより操作に慣れていたアイビスペントで作成。別にメディバンでもよかったんだけどなんとなく。


ノベルティのしおり
サークル参加初心者にとっては、ノベルティも憧れの存在であろう。

最近はポーチやバックやアクリルキーホルダーなど企業顔負けのグッズを作っているサークルさんも多い…。ただ、絵が書けない私は単独でノベルティを作る勇気はなく、最後まで結構迷っていた。私が選んだねこのしっぽさんのパックだと、しおりの有無は金額に関係していないので、なくてもいいのでは…いっそ自分で鉛筆書きしたやつを無理矢理psdにしちゃえばいいのでは…と思っていた。

結果的にはオフ会で会った同ジャンルお姉様に「頼めば絶対にやってくれる」と背中を押され、オフ会中に勢いでDMで仲良くさせていただいていた女神絵師さまにしおり制作を依頼(またノリと勢い)。女神絵師は二つ返事でOKしてくださり、無事ノベルティを作ることができた。

原稿あがってきてびっくり、依頼からわずか数日で死ぬほど可愛いイラストを描いていただきました。本当に…本当にかわいい…マジで上がってきてから毎日舐め回すように見ていた。
結果的にはポスターにも同じ絵を使わせていただいたり、同じ絵師さまにカバーにもイラストを描いていただいたりしたので、本当にお願いしてよかった。


5.部数・仕様決め

部数、遅かれ早かれ決めなくてはならない最大の関門。

これは最後までガチで悩んだ…悩んだ時は、経験者に相談だ!

菩薩(友人)は割と旬ジャンルだったし、そもそも菩薩が文豪だったこともあわせ100部刷って3イベント+通販ではけたとか言ってるけど、「同人誌 初めて 部数」とかで検索すると出てくる出てくるわ恐ろしい体験談…もはや一部も配布できないのではと募る不安…

そしてTwitterでアンケートをしようにももし一票も入らなかったらと思うと開設できず…(でも本は刷りたい)

そんな恐怖心まみれの中、最終的には50部に決定。今考えると調子乗ってるな…
理由は、簡単に言うと希望する印刷仕様の最小部数が50だったということである。

私は結局ねこのしっぽさんの「文庫と新書(フルセット)(ハイブリット)」というセットで発注した。
対抗馬は「文庫と新書(フルセット)(オンデマンド)」というセットで、仕様はほとんど同じだがこちらのほうが最小部数が少なく、30部とかでも印刷可能だった上、1.5万円くらい費用が違ったので最後まで悩んだ。

これは違いを相談してみるしかない…!!!

ということで、行ってきたねこのしっぽ(神奈川県川崎市)。

ねこのしっぽさんではデータ入稿以外に直接入稿を受け付けているため、直接入稿受け入れ用のお客様対応デスクがいくつか用意されていた。最寄駅から少し歩いて入店すると、すぐお姉さんが「入稿ですか〜?」と対応してくれる。

「あの…ねこのしっぽさんでの印刷を検討していて…、仕様について相談したいんですが少しよろしいでしょうか…?」
「もちろんです〜! どうぞおかけください!」

まだお金払うかどうかもわからない客に二つ返事でOK。ありがとうお姉さん!!!

相談したのは下記3つ
・印刷仕様(ハイブリットかオンデマンドか)
・表紙をクリアPPにするかマットPPにするか
・余白について


結果
・印刷仕様について
悩んでいた2つ、ハイブリットとオンデマンドだと、ほとんど違いはないそうだが、印刷される字の印象がハイブリットの方がスマートで、私が目指す見た目に近かった。
ちゃんと見本も見せてもらえて「こんな感じなんだ! やっぱりこれにしよう」と納得してから発注できたのでちゃんと目で見るの大事。印刷所によってはサンプル取り寄せとかもやっているみたいなので探してみてね。
ただし、ハイブリットだと最小発行部数が50部なので、部数は自ずと50に決定。

・表紙カバーについて
サンプルを見せてもらい「マットって女子っぽくてオシャレ〜〜〜(  ´ ▽ ` )( ´ ▽ `  )」とお姉さんと盛り上がったのでマットに。
クリアのほうは文字通りつるつるで艶っぽい。マットのほうは細かい傷とか付きやすいけど主張控えめなオシャンな感じだった。次作るならクリアPPで箔押しとかやってみたい。

・余白について
これはわりとアナログに定規で本の余白を測る、ということをお姉さんとやった結果詰めすぎた…。よく開かないと真ん中の行が読みづらい本になったなぁという印象。
ちなみに私が最終的にとった余白や文字数は以下の通り。

画像5
画像10


1ページあたり、もう1行減らし、とじしろをあと5ミリほど取るべきだった…。この詰め具合だと結構開かないと読みづらい。
なんなら1行当たりの文字数ももう少し減らしい(次作るとしたら40文字→37文字くらいにしたい)。まあ一冊目だしこんなものか、という感じ。読めないわけではない。

ちなみに、ねこのしっぽさんが画期的な商品を売り出していたのでこちらでも宣伝。

その名も「文庫本文 文字ポイント/行間ポイントサイズ見本」!!!

行間設定が印刷された本で確認できる!なぜこんな素敵な商品が今までなかったんだ!!というbook。しかも送料込みで380円というお安さ…(2021年5月現在)

画像17
画像18

空白設定に悩んで仕方がない諸兄姉にオヌヌメ。


ということで、若干話はそれたが、そんな感あって印刷仕様を決定。この時点で既に1月初旬。イベントまであと1ヶ月というところだ。
原稿は物理的な俊敏性バフのおかげで既に大体出来上がっていたので、早期入稿10%を目指し入稿目安日を決定。

最後に、こんなど素人質問にも丁寧に答えてくれたお姉さん本当にありがとう!!なんか腐女子の友達と話してるみたいで楽しかったです!!


6.いざ直接入稿

データ入稿も考えたが、不備があって戻されたとき対応がわからなかったらと思うと怖すぎたので早期入稿10%期限の2日前にUSBに一式のデータを格納し、いざ直接入稿へ参らん。ねこのしっぽさんへ2回目の来店。今考えると優秀なせっかちさんだな。
入稿日は忘れもしない、担当者はお兄さんだった。


「確認しますのでこちらでお待ち下さい」


はい。お待ちしてます〜…って、え…?お兄さん私の目の前のMacのデスクトップで原稿確認するんです…? 奥の自席で確認とかじゃなくて…? え??? しかも全ページをじーっと見ていく感じですか? いやお兄さんは慣れてると思いますけどこちとら初の本、腐向け、R18と3拍子そろってるんですぞ??? あ、アーーッ! その次のページから本当、本当に恥ずかし…ヤ、ヤメテーーーーーーー!!!

生き恥を晒しているような気分になった。恥ずかしすぎて顔上げられぬ…


「不備らしき点を2つ見つけました」


顔を上げられずにいると、ふっと顔を上げた。不備が、2点。


「ええええ! ど、どこですか!?」


お兄さんが指摘してくれた不備は以下二つ。

・ノンブル(ページ数)が左上に偏ってる
・表紙(カバー下)の枠線に途切れがある

枠線は私の人為的なミスだが(たぶんメディバンでの作業中に指でシュッと消しちゃった)、ノンブルは正直左に偏ってても支障はないのでは?とお兄さんに言うと「いえ、そうされている本はほとんど無いので偶数ページは右上、奇数ページは左上に統一されるのがいいと思います。それがフッター中央揃えにするか」とわりと強めな押し。

よしもとばななの小説はみんな上にノンブルついてたもん…下中央は嫌だもん…と思い、結局押されて修正することに。

画像14

印刷後、あのときお兄さんが指摘してくれて本当に良かったと思う。偶数ページが左側にノンブルあったら真ん中の折り目に吸い込まれてマジで見づらかったと思う。Wordのデフォルトのページ番号だと当たり前だけど左右どちらかにページ数が偏るので、みんな気をつけよう。

ちなみに途切れがある枠線。指でシュッ!ってしてしまったんやろか…。それにしてもお兄さんよく気づきましたねこんなところ…

画像15

こうして不備を乗り越え、2回目の入稿はファイアストレージにてデータ入稿。2/8までの納品で1/24くらいに入稿した。


7.カバー掛け作業

ねこのしっぽさん優秀すぎて(繁忙期じゃなかったというのもあるらしい)、2/8前に納品電話が来ました。我が家へカモン初同人誌!
初めてだったのでイベント会場直接搬入ではなく自宅に送っていただきました。カバー掛けのことを考えると本当に家に送ってもらってよかった。

ちなみに50部で発注すると
・本52部
・しおり57枚
・表紙カバー57枚

で納品された。世の中には予備という考え方があるのだ…!
(しおりと表紙カバーは後で私が数えたのであくまでそのくらい)

盲点だったが、文庫本サイズ、カバーありで発注した場合、基本的には
カバーは自分で掛けなければならない。カバーが掛かった状態で納品してもらうには課金が必要なのだ。

こんな風にカバーが長いぺら〜とした状態でダンボールに入って納品される。

画像12


ということで、ひたすら52部の表紙カバーを巻き巻き。

すぐに巻き巻きできるものではなく、わりとぴっちり折らないととても読みづらいのでひたすら52冊数日かけて折り巻きしていった。
これはイベ当日の朝会場ではできない…。自宅に納品してもらってよかった…。

画像7

↑わりとしっかりこんな感じに折った。


ちなみにマットは傷が少しつきやすい印象なので手袋をしての作業。手袋は3coinsの保湿グローブを使用。薄くて使いやすかった。


8.完成(ページ数・文字数)

ようやく!! ようやく完成!!!

画像2
画像1
画像3
画像4

わ~~~かわい~~~~~~!!

カバー下には、漫画の単行本みたいに小話を収録してみた(月刊少女〇崎くん的な)。
購入してくれた方には本を買ったときならでなの楽しみというものを体験してもらいたかったのと、「カバー下表紙の絵的なデザインなんて出来ない!! 私は!!! 文字書き!!!」という情けない理由もある。

そんなこと言ってたらカバー下の小話の枠線などのデザインは同ジャンルの文豪女神がしてくださった。さ、さすがすぎる〜〜!! オシャン〜〜〜〜!!!

全体仕様
・130ページ(表紙裏表紙含む)
・本文62,565文字
・配布額 1,000円(通販は+180円)
・厚さ8㎜(ぎりぎり自立する)

厚みはそれほどないが、十分な文庫本と言えよう!
にしても文字詰めすぎたな…まぁいいけど。もうちょいゆったりしてた方がよかった。

こうしてリア友から印刷所のお兄さんお姉さん、同ジャンルの神々の後押し等々のおかげで、無事に私は文庫本サイズ同人誌を作ることに成功した。

9.イベント後の反省

2/16 ビックサイトでのイベントを終え、この記事を書いている。

誰も手にとってくれなかったらどうしようと思っていたけれど、思ったより多くの人にスペースにお立ち寄り頂き手にとってもらうことができた。通販でもぱらぱらとお手にとっていただけていて、本当にうれしい。

最初に面識のない方から「一冊下さい」と言われたときの感動は忘れない。「サンプル読んできました」とか「pixivで読んでます」とか、本当涙が出そうなくらい嬉しかった。
自ジャンルの畑を耕せている、自分の書いた話を読んで消費行動にまで移そうとしてくれる人がいる、と思うだけで嬉しくて仕方がなかった。

ただ、初イベ参加は理由にならないが自分が犯してしまったマナー違反もあった。私は自ジャンルの印象を悪くしたくないし、今後これを読んで同人誌を作ろうと思う人が一人でもいるのであれば、その人の参考になれば嬉しく思う。

頒布時間を破りました
サークル参加は8:00から入場でき、一般は10:00からである。
私は以前買い子として別ジャンルでサークル参加したことが一度だけあり、そのときは10:00より前に買い物に行っている人がおり、それが普通だと思っていた。

しかし、今回参加したイベントのサークルチケット同封の資料に「頒布は10:00から。それ以前は頒布しないように」と明記されていた。
知り合いのスペースとはいえ、頒布をお願いしたり、自らも頒布した。完全にルール違反でした。

ルールとは、守られなければ運営に支障をきたすから作られたものだ。こういう小さな油断が波及し、なあなあになるのが一番いただけない。
個人サークルとしての今後の参加は考えていないが、もし次があるとしたら誓って頒布時間を誤らないようにいたします。

年齢確認の杜撰さ
明らかに年齢が幼そうな人には、こちらは成人向けですとお伝えすると全年齢向けだけの頒布本を購入していってもらえたが、きちんと全員に年齢確認をすべきだったと感じている。
これは一重に反省している。成人しか来なかったのかぁと思っていたが、その後感想を頂いた方で18未満だったので本を買うのはやめたと頂き、深く反省した。


10.おまけのコピー本制作

コピー本もA6の文庫本サイズで作ったのでそのメモ。完全におまけ。

参考にしたのはこの記事

私も同じく秋葉原製作所(http://www.seisakujo.com)に用紙を持ち込み、ホチキスで自力で製本作業をした。

中綴じホッチキス便利や。

用紙は直前で隣町である浅草橋にあるシモジマでA5サイズの紙を購入。リンク先はクラフト紙っぽいが、オフホワイトみたいな色にした。

完成品がこちら

画像12
画像9

文庫本に近くてかなりいい感じ!
最初は無配にしようと思っていたが、紙代と印刷費が思いの外高く、あえなく有配に…。いいプランにしてしまいました…すみません。後悔はしてないけど。


11.最後に

同人誌を作ることは、慣れれば猿でもできる。友人の言ったとおり最近の印刷所はとても親切だった。無料のアプリや既存のプラットフォームを使えば簡単に制作できる。
しかし同人活動にはお金も、手間も、アイデアも、他と関わるためのマナーやエネルギーも必要になる。
二次創作である以上は、マナーや公式への配慮は忘れずにいたいと心から思った。

しかしながら社会人になり早数年。仕事しかしていない生活の中で、何かを作るために誰かの協力を得て一つのものを作り上げるという得難い経験をし、多くの知り合いも増え、自分の知見が増え、色んなことで笑ったり苦しんだりして、こうして人生は豊かになっていくんだなと思えた。
オフで会えた自ジャンルの皆さま、本当にありがとう。

備忘録として書いた記事ですが、私の経験やこの記事のなにかの情報が少しでも役立てば幸いです。

くだらない追記。
note流行ってるなぁと思ってツールに慣れようと使ってみたけど、スマフォでは画像ありTweetを埋め込んでも、その画像が表示されないのがいただけなかった…。もしやり方があれば教えてください…。


2020.3.28更に追記。

無事完売した。結果はイベ2種(赤ブー主催と個人主催のオンリー風オフ会)と通販18冊で完売。手元には一冊だけ記念に残している。お手にとってくださった方、本当にありがとうございました。

次回があるかわからないが、現在某感染症大流行のおかげさまで配布イベントが軒並み延期、中止対応に追われ、印刷所の収入が激減していると聞くため、お世話になった印刷所や、この同人誌業界自体に何か恩返しができないかと思い、本は刷りたいなと思っている。


2020.5.6 更なる追記

印刷所支援のために再印刷しました。私のショボイポケットマネーが印刷所の小さな利益になることを祈っています。

また、文庫本同人誌の入稿の仕方がかなり謎だったので、続きを書きました。データや紙の仕様、発送について細かく書きましたので、この記事を読んで「本格的に同人誌を書こう…!」と思ってくださった方がいればぜひご一読いただければ幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?