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友達が親切にされていて、ちょっと羨ましかった

心配されている友達が羨ましくなってしまった

この間、数少ない友達と遊びに行った。
その子は、しばらく会わないうちにいろいろ大変な事になっていた。
就活や将来のことで病んでいたらしい。今は多少回復中のようで安心した。

ただ話を聞いていると、バイト先や就職相談相手からは親切にしてもらっているらしい。
最悪の中にも、良いことはあるというやつだろうか。

バイト先のお婆さんから、手作りのお菓子をもらったとか。
相談相手には、とても優しく励ましてもらったらしい。
他にも、電車で気持ち悪くなった時も、色んな人に気にかけてもらえたという。

私はそんな事がないから?

それを聞いてちょっと羨ましくなってしまった。
私も、高校生の頃に電車で気分が悪くなって、しゃがみ込んだことがあった。
その時、後ろに立っていた高校生カップルの彼女の方に
「何あの人、気持ちわる、頭おかしいんじゃない?」
と罵られた。ひどいと思う。
隣に立っている彼氏は引いていた。あの後別れたんじゃなかろうか。
わたしは当時これを聞いて、心の底から「フラれろ馬鹿野郎」と思った。

バイト先で、作ってもらったお菓子を貰うことなどない。そんなに仲良くなる事もない。これは自業自得のような気もする。

怠け者な私はバイトを月一で休む。前日に睡眠に失敗すると、気持ち悪さと頭痛で動きたくなくなる。
たぶん、昔から軽い鬱だった影響もある。朝起きた時、ああ今日ダメだ、という日がある。

すると、同じバイトの人から「時々休む迷惑な人」扱いをされるようになる。
多分仕方のないやつだと思われている。なので一定以上は仲良くなれない。

あまりにも休んでいるから、詫びとしてお土産を置いておいたことがある。物で好感度を稼ごうという浅ましい発想である。
それで会話が発生したことはあったが、優しくしてもらったとかそういうことを感じたことはない。


他の人達は、楽しげに会話したり、ご飯を一緒に食べに行ったりしているらしい。
私はなぜかそうならない。
なぜだ。人に興味がないのがバレているのか?
どこか壁を感じる。まあ常に孤独感に苛まれているのはいつものことといえばいつものことだが。
小学生の頃からそうだから、早晩諦めた方がいい。

きっと私のものの見方が穿っているから

しかしこれは私の世界観がさもしいだけで、彼女の視点から見れば、誰かの善意や好意を見つけることができるのだろう。

例の高校生カップルも、彼氏の方はまだ同情的だったし、バイト先の人と時折楽しく会話することもある。
クリティカルヒット!と表示が出るくらいには稀だが、それをきっと、彼女は優しい人だと考えられるのだろう。

ショーペンハウアーが、人生を面白おかしく過ごせている人を羨むなら、その物事の面白い部分を見出せる知性を羨むべきである、と言っていた。
平々凡々な頭脳からみれば日常の取るに足らない茶飯事であっても、知性のある頭からすれば代え難い価値を見出すことができると。

これに則れば、わたしは彼女の周囲の人間の優しさではなく、彼女自身の善性を羨むべきなんだろう。

彼女と同じ見方で見れば、心配された事もある

出来るだけその子の視点のようにモノを見たいものだ。
と思って遡ってみたら、小学生の頃私を気にかけてくれる近所の人がいたのを思い出した。

私の家は、児相や警察が来るくらい喧嘩が酷かった。

それでマンションの下の階の人が、私が虐待されているんじゃないかと心配してくれた。
「辛かったらうちに遊びに来ていい」とか何とか、言ってくれたような気もする。

実際のところ、児相が来た原因は、わたしが叱られた時に頭を軽く叩かれたことで、パニックになって叫び散らかしただけだった。
大して虐待もされていなかった。
ちょっとズレた心配で、私は返事に困ったのを覚えている。

そして警察のほうは、夫婦喧嘩がエスカレートしすぎて、父親が母の首を絞めた喧嘩の、次の日に来たやつだ。
母はあの日、喧嘩の加熱されきった最終局面と、首を絞められた時に、これ以上ないくらいの大声で叫んだので、誰かが通報したのだろう。

児相も警察も、私が学校に行っている時間に来たので、警察は母にしか会ってない。
来たというのは伝え聞いただけだ。
毎回聞いた後びっくりした。

しかしこんな家庭にいる子供は、夫婦仲の悪さを見せられるという「精神的虐待」の被害者にカテゴライズされるらしい。
下の階の人の心配はあながち間違っていなかった。

なんだ、いるじゃないか。私を心配した人。
何も羨むこともなかった。

こんな嫉妬をしたくはない

というか、今将来に悩んで、鬱になって、辛い中にある人が心配されて羨むなんて、自分の人間性をちょっと疑ってしまう。
私も大概、精神を病んでいる。

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