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『シュンペーター』読書感想文#読書の秋2022

#読書の秋2022に参加します

今回は経済本『資本主義の先を予言した史上最高の経済学者シュンペーター』を読んでみました。

シュンペーターといえば、イノベーションという言葉の生みの親です。この本は、経済学者の名和教授が、シュンペーターの経済理論を、短いセンテンスに分けて丁寧に解説しています。

重要な部分は強調されていて、理解しやすかったです。もっと深く学びたい人のために、オススメの本なども紹介しており、親切で読みやすい一冊でした。

ヨーゼフ・シュンペーター(1883-1950)
オーストリア・ハンガリー帝国生まれの経済学者。企業者が行う不断のイノベーションが経済を変動させるという理論を構築した。経済成長の創案者

ウエキペディア

今期はドラマでも、イノベーションを扱う作品が多いですね。『アトムの童』は、倒産寸前の老舗おもちゃメーカーが、ゲームコンテンツを開発するお話。『ファーストペンギン』は、朝採れのお魚を直販する事業をはじめた実在の女性がモデルのお話。

企業が成熟することと、人が成熟することは似ていて、人が老いれば、企業も老い、顧客も老いるし、時代も変貌していきます。それはドラマが始まる前のアトム玩具や、さんし船団丸の描かれ方でも、見ることができます。

人がひとつのことに、夢中になれる時間は、わりと短い。

正直に言ってしまえば、私はもう、仕事はラクにこなしたかったのです。

目をキラキラさせて、この計画は日本初なんです!とかいうお客様の要望依頼も、ややドン引きなのです。

それなのに、読了後 自分の枯れっぷりに笑ってしまった。

そうだった。仕事は楽しくしないとね。同じことでも、ワクワクに変換したい。

社畜でいれば、つつがないけれど、微塵も楽しくないしね。

イノベーションとは、自らの力で未来をつくること。自分の心の声に耳を傾け、時間や労力を惜しまず努力し、自身の情熱に火をつけること。

ゼロからの創造ではなく、ひとつのプロフェッショナルを展開し、新たな市場や顧客をつくりだすこと。それを社会へ実装し大きくスケールすること。

イノベーションに挑戦することは、経済的に豊かになることだけじゃなくて、人生を豊かにすることなんだよね。

本書では、どのような考えでイノベーションしていけばよいかも、かなり詳細に解説して下さっています。

シュンペーターの思想は、経営者、銀行家、投資家のみならず、働く全ての人に届いてこそ、意味があるものだと思うので、多くの方に読んでいただきたいし、みんな生き生きしながら働いてほしい。

そう 思いました。


もうひとつ、読了後考察した日本経済についても少し書きますね。

シュンペーターは『資本主義が成熟すると終焉を迎え、新しい社会主義の時代がくる』と予想していました。1980年以降、ヨーロッパをはじめとする国々が、資本主義や社会主義でもない『第三の道』を模索しており、北欧諸国などは、社会保障制度の充実、福祉国家を目指し、高い税率をかけるモデルで国民の幸福感を実現しています。

名和教授は日本が『新しい資本主義』を模索するうえで、この北欧モデルは、しっかりチェックする必要があると書かれていました。

シュンペーターの言葉を素直に読むと、バブル崩壊時より、日本の資本主義は、すでに終焉していて、徐々にもう社会主義(共産主義国家)のモデルで、歩みはじめているのかもしれないと、少しモヤモヤしました。

バブルの崩壊を起点に日本国債の発行が年々多くなっています。ネット上での借金時計が示す、普通国債の発行残高は、現在1217兆円で、1秒ごと25万円のペースで日本の借金は増加しています。

国債を買っているのは銀行で、銀行に預金しているのは国民です。
負債は返済されることはなく、国債で借りかえられています。

日本の金融資産総額・・・・1京1375兆円
非金融資産・・・3323兆円
金融資産・・・・8053兆円
負債総額・・・・7689兆円
※資産から負債を差し引いた正味資産(国富)は、
 3689兆円。前年比2.8%増で、4年連続の増加。
※日本の総資産は、個人、企業(金融を除く)、政府、金融機関、非営利団体の金融資産と非金融資産を合わせたものです。

内閣府発表2019年
「国民経済計算年次推計」より

日本は金融資産があるから、円建債券だから、日銀が札を発行すれば破綻することはないからと言っても、負債総額が大きくなれば、やがて社会経済の足枷になることは否めません。

戦前の日本は国債を大量発行し、スーパーインフレのち、国債を紙くず同然にした過去もあるので、昭和の政治家たちは、おいそれとは、国債を使わなかったんじゃないかとうっすら記憶しています。

少子高齢化や災害復興支援など、事情が違うかもしれませんが、負債を持たないことでの、プライマリーバランスを黒字化する姿勢の方が、健全な気がするのは、素人の考えなのでしょうか?

共産主義というものが、財産の私有を否定し、すべての財産を共有することであるならば、国の負債がずっと右肩上がりであるこの状況は、実質、国民の財産を国が共有しているようにも見えてしまうのです。

現在、日本のプライマリーバランスは赤字です。ここを均等にするためには、政策経費の削減か、イノベーションによるGDPの拡大。

政治に委ねっぱなしもいいけど、自分がなってほしいと思う世界を、志を持ってつくっていく方が、カッコイイし、楽しいよね。

そしてなにより、そっちの方が日本人に向いていると思う。

どちらを選ぶかは、わたし次第。
そして、あなた次第です。

最後は都市伝説っぽくなっちゃった。

『資本主義の先を予言した史上最高の経済学者 シュンペーター』
著者 名和高司   日経BP


いつも読んでくださり
ありがとうごさいます。٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

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