さくら~シロクマ文芸部
花吹雪の中 神職に結婚の祝詞奏上を賜り
夫婦盃を交わしてから幾年が経っただろう
綿帽子に降り注ぐ花びらに誓いし君への愛は
光のままにまだ此処に
あの日散る花に自己憐憫をのせてしまったのは
なにもかもから逃れ ただ一人になりたかったのです
道の散るさくらが掃かれてまとめられゆく朝
私の中の黒い花も共に掃かれたような気がしました
私にとって替えのきかない かけがえのない君だと
君にとって替えのきかない かけがえのない私だと
あの日堰を切ったようにとめどなく流れた涙と同じように
とめどない光に包まれていることを思い知るのです
春に生まれし 私と君は 春を愛し 春に愛され
永遠に持つ幼さと無垢な心を寄せて
また共に春を迎えに行きとうございます
言い訳がましくも愚かしい私をどうかお許しください
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