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春の苦さをかみしめる

ちょっとしたボタンのかけ違いから、不具合って簡単に生じるものだ。

亭主元気で、とはうまいことを言ったもんだなぁと思うけれど、何も亭主ばかりではない。っていうか亭主の方が手がかからないので、大きくなってくると、お子さまも元気で留守が楽でいいな、と思う。


その日の朝は、いつもの産直で、初めてふきのとうを買った。ふきのとうデビューだ。芽キャベツのようなふきのとう。ビールのホップにも似ているな。キーホルダーにしたいくらいかわいい。とうとうかわいさに負けて買ってしまった。

帰りの車で「ふきのとう、ふきのとう」と鼻歌を歌っていて、ふと、ふきのとうとふきは親戚?え?どうなの??このコロンとした木の芽っぽいものと、筋の通ったふーき、が同一人物とは思えないんだけどー!とわいわいする。

グーグルさんにより、ふきのとうとふきの親子関係が確認された。びっくりだ。親子で全然違う。

家に帰って取り扱い方法を調べる。あく抜きの方法も、冷水にさらすだけとか、さっと湯にくぐらせるとかレシピによって違う。共通しているのは、色が変わるので、切ったら即加熱!ってこと。さすがアレの親だけあって、あくが強そうだな。

ふきのとうはふき味噌にすると決めていた。noteで美味しいという記事を読んだから。

初心者なので、あく抜きは念入りに、茹でこぼした。そして冷水にとり、しぼる。切り刻む前に、鍋にごま油を引いておき、調味料も味噌、みりん、砂糖などまぜまぜして、こっちは準備万端。

まず、ふきのとうを洗うところから。芽キャベツのように、むいてもむいても葉なのかと思っていたら、芽が入ってた。またびっくり。芽だけを食べるのか?外側のガクのようなのは食べられる?どこまでが外葉?可食部がよくわからないままだけど、天ぷらにするくらいだから、きっとまるっと全部行けるっしょ、ってことでそのまま、まな板に。

緑のコロンコロンをザクザクと切り刻む。お花のツボミを切っているみたいで、おままごとの延長のようだ。中心部を切ると、緑以外の色が出てきてびびる。ごぼうが中に入ってたんかいーと思うほどの茶色成分。なにこれ~思ってたのと違う~虫じゃないよねと心配になるけれど、スピードが命のふきのとう調理、えいやーと刻む。

鍋に放り込んでしばし炒める。そして合わせていた調味料、っていうか味噌が多いからほぼ味噌を投入。水分を飛ばす感じでねりねり。

私は好き嫌いが多いので、味見は夫に。

「野性味あふれる味噌、もうちょっとなにかを」というコメントをいただく。

みりんと砂糖を足し、ふき味噌の記事もたどって、一味も追加。

はたと気付いたのだが、私も夫もふき味噌のゴールを知らない。食べたこともないものを作るのは、やめどきが難しい。

毎年つくしも調理するのだが、見た目がグロくて私は食べない。つくしもゴールを知らないままだから何とかなるかもしれない。

いや、でもふき味噌は夫もゴールを知らないんだったー

ゆず味噌は好きだ。ゆず味噌、ふきのとうバージョンと思えば食べられるのでは?と、思い切ってふき味噌、なめてみた。

ほぼ味噌だ。味噌の中にシャリシャリと・・・刻んだ草。野生の味だ。

シャリシャリが、お気に入りのきざみわさびみたいだった。味噌だけど。

このきざみわさびは、わさび漬けみたいで、そのままでも食べたいほどお気に入り。調子に乗ってホンモノのわさび漬けを買ってみたら、それはツーンが強すぎてギブだった。本当のわさび漬けじゃないかもしれないけど、私はこのきざみわさびをわさび漬けと思って生きていく、と思った。

話がそれた。ふき味噌の食感は、きざみわさびの味噌バージョンだと言いたかったのだ。

で、ふき味噌、ゴールはわからないが完成とする。


その日我が家で起こったかけ違いは、夜になっても引きずっていた。ちょっとした確認不足や思い込みで、たやすく起こる。一つ一つは些細なことでも、絶妙に連鎖して起こると、どうにも取り繕えなくなる時がある。そうなってしまったら、触らぬ神に、だ。あちらのことはさて置き、こちらは淡々と粛々と日々のルーティンをこなすことが鉄則。

晩ごはんができたら、出来立てを夫と食べる。あと何年かしたら、それが当たり前になるのだなぁと思う。ご機嫌を損ねている人の分はラップをして並べて置く。

炊きたての白いごはんに、ふき味噌を乗せてみた。味がこれで正解なのかどうなのかわからないふき味噌。春の味は苦い。


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