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元祖はコレ!マンダラチャートとマンダラ思考

大谷翔平選手が高校時代に書いたという目標達成シート「マンダラチャート」。「9マス思考法」とか、原田メソッドでは「オープンウィンドウ64」と呼ばれていたりします。

大谷選手の活躍によりいろいろなところで目にするようになりましたが、元々は、1979年松村寧雄氏によって、“人生とビジネスを豊かにする”ために開発された手法です。

「マンダラチャート」とは、密教曼荼羅図を元に開発された“中心核を持つ3×3のフレーム”で、“全体と部分と関係性が一目で同時に把握できる”という特長を持っています。

※大谷翔平選手が高校1年生の時に書いたマンダラチャート(書き起こし)

https://mandalachart.jp/mandalachart_templateより引用


マンダラ思考

「マンダラチャート」は「マンダラ思考」がベースになっています。「マンダラ思考」とは、松村氏がまとめた人生とビジネスを豊かにする原則で、第1原則から第8原則まであります。その原点はブッダの知恵です。

<マンダラ思考原則>→ <原点 ブッダの知恵>
第1原則:相互依存→「空(くう)」の知恵
第2原則:統合力→「マンダラ」の知恵
第3原則:あるべき姿→「苦集滅道(くしゅうめつどう)」の知恵
第4原則:開発力→「中道(ちゅうどう)」の知恵
第5原則:感謝→「唯識(ゆいしき)」の知恵
第6原則:主体性→「縁起(えんぎ)」の知恵
第7原則:仮説検証→「禅定(ぜんじょう)」の知恵
第8原則:継続改革→「無常(むじょう)」の知恵

第1原則:相互依存ー関わり合いを大切にする

宇宙のルールは「空」=この世のすべてのものは実体がない
だから、人生を構成する8大分野「健康・仕事・経済・家庭・社会・人格・学習・遊び」は、自分が関わらないと出現しないのです。ということは、この8分野のすべてと、バランスよく関わる必要があります。

豊かな環境になる6つの関わり合い方
①相手の幸せを願って、見返りを求めずに差し出す
②決められたルールを守る、まだは自分で持つ
③今を肯定して受け入れる
④不断の努力をする
⑤迷ったり、焦ったりせずに落ち着く
⑥①〜⑤を実践する

第2原則:統合力ー全体と部分と関係性で捉える

人生や仕事において、自分のおかれている位置があやふやだと問題解決できません。全体と部分を捉えるために有効なフレームがマンダラチャートB型です。

amazonサイトより引用

「空」を映像化したものが「胎蔵界マンダラ」(具体的には、六波羅蜜における「空」の実践を表現)。そして、心の構造を映像化したものが「金剛界マンダラ」です。マンダラチャートはこの2つのマンダラから開発されました。

第3原則:あるべき姿ー未来のあるべき姿から今を見る

目標を実現できる考え方は、「プッシュ思考」ではなく、「プル思考」です。先にあるべき姿を想定します。その手順は以下の通り。

最強の問題解決システム
①現状・結果の事実を認識する→Check
②真の原因を解明する→Action
③あるべき姿を描く→Plan
④あるべき姿になるように行動する→Do

ブッダがどのようにしてこの問題解決システムを開発したかというと、ブッダには「生老病死(しょうろうびょうし)」という問題がありました。肉体的な4つの苦悩です。その上に、「怨憎会苦(おんぞうえく)」「愛別離苦(あいべつりく)」「求不得苦(ぐふとくく)」「五蘊盛苦(ごうんじょうく)」という精神的な苦悩がありました。

ブッダの悩み

「生老病死」から解放されるために採用されたのが、先ほどの4つのステップです。
①結果の事実を認識する→苦
②真の原因を解明する→集
③苦から解放された姿を描く→滅
④「滅」に到達する8つの実践行動→道=「八正道

八正道(はっしょうどう)
①正見(しょうけん)ーこの世は縁の法則で成り立っている
②正思(しょうし)ー自分中心でなく、相手の身になって考える
③正語(しょうご)ー嘘をつかないで、真の言葉で話す
④正業(しょうごう)ー殺傷、盗み、邪淫をしない
⑤正命(しょうみょう)ー正しい生活
⑥正精進(しょうしょうじん)ー善いことは実践し、悪いことはすぐやめる
⑦正念(しょうねん)ー正しい思いを貫き通す
⑧正定(しょうじょう)ー正しく心を整理整頓する瞑想をする

第4原則:開発力ー強く念じて行動する

願望を実現するためには、強く念じて行動すること。ブッダは「生老病死」から解放されるために、①快楽の実践 ②ヨガの実践 ③苦行の実践 ④坐禅の実践 という4種類の実践をしています。ちなみに、この悟りへ到達する実践シムテムを「中道」といいます。

中道(ちゅうどう)
「中」とは当たること
「道」とは悟ること
「中道」とは「道(悟り)に当たる(中)」こと

第5原則:感謝ー心を整える

「環境」はすべて「心」の現れです。
「感謝」の心を持つと、強力なパワーと豊かさがもたらされます。「感謝」とは、心に「〇〇のおかげ」「ありがとう」と感じること、気づくこと、それを態度に表すことです。どんな場面でも、感謝という念をもって物事をとらえる訓練が必要のようです。

心を整える4つの考え方
①相手の利益になること、相手が幸せになることを常に考える
②相手が困っていたら手を差し伸べる
③相手の幸せや満足を心から喜ぶ
④相手の役に立ったこと、してあげたことを忘れる

第6原則:主体性ー自分が主人公で生きる

「原因」は「条件(縁)」によって「結果」となります。
自分のまわりは「縁」によって成り立っていることを理解して、「こだわらない・とらわれない・かたよらない」心を持つ主人公として主体的に関わることが豊かさの原則です。

ブッダはこの「縁」を活用して、「生老病死」からの解放を実現しました。これが「十二縁起」です。

十二縁起
無明(むみょう)・行(ぎょう)・識(しき)・名色(みょうしき)・六入(ろくにゅう)・触(そく)・受(じゅ)・愛(あい)・取(しゅ)・有(う)・生(しょう)・老死(ろうし)

十二縁起

第7原則:仮説検証ー絶えず自分を見つめ直す

目標と実績の「わずかな差」をどうとらえるかが、将来に「大きな差」を作ります。

 自分の行動を突き動かしているのは、「自分の思い通りにしたいという強力な欲望」=「我欲(がよく)」です。この我欲のエネルギーを正しい方向で、目標達成のために使えたかどうかを仮説検証します。

ブッダが開発した問題解決システム
①苦「結果の事実」を認識する
②集「真の原因」を発見する
③滅「目標の設定」をする
④道「目標達成実践」をする

第8原則:継続改革ー常にもっとよく!と考える

この世の全てのものは常に移り行くから、怠らず修行に勤めるとよいです。

心の5S
1S 整理=分別 必要なものと捨てるものを分けること
2S 整頓=明示 必要なものがどこにあるかを明確にしておくこと
3S 清掃=行動 自らが行動すること
4S 清潔=維持 1S〜3Sがきちんとできた状態を継続維持する
5S 躾=習慣 他からの指示、命令、規則ではなく自らの習慣として身につける

松村氏は、この「マンダラ思考8原則」を行動に生かすための道具として「マンダラ手帳」を開発されました。8つの原則はマンダラ手帳の内容と対応しています。

マンダラ思考8原則→マンダラ手帳
第1原則:相互依存→人生計画
第2原則:統合力→ビジネス計画
第3原則:あるべき姿→年間先行計画
第4原則:開発力→月間企画計画
第5原則:感謝→週間行動計画
第6原則:主体性→日間実践計画
第7原則:仮説検証→チェックリスト
第8原則:継続改革→100年計画

マンダラ手帳(株式会社クローバ経営研究所)公式サイトより引用

これを書いたからといって、みんなが大谷翔平選手になれるわけではありませんが、「大谷翔平が夢を実現した方法」といわれると、形だけでもマネしてみたくなりますね。

いろいろな方が、あたかも自分が教えたかのように紹介していますが、元祖をたどると、じつは仏教の基礎まで学べてしまうスグレモノでした。やはり、元祖はすごい。

【仏教ー宗教=知恵の体系】という仏教の捉え方も共感できます。

マンダラチャートもマンダラ手帳も、慣れるまでは戸惑うかもしれませんが、なりたい自分の姿を明確にして、人生を俯瞰するためにはいいツールだと思います。

5月末で手帳を新調するには中途半端な時期ですが、まずは手帳から切り替えるのもありですね。

※「マンダラチャート」は一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標です


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