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【フランスおいしい旅ガイド】ローヌ=アルプ の都市別食べ歩き方

美食の国フランス。フランスの各地方には、その風土を活かした料理や伝統的なお菓子があります。フランスを20の地方に分けてそれぞれの特徴をご紹介します。今回はローヌ=アルプ地方です。

ローヌ=アルプ Rhone-Alpes

フランス南東部、スイス及びイタリアと国境を接する地方。ヨーロッパアルプスの最高峰モンブラン、レマン湖など、美しく雄大な自然に恵まれている。フランスで最も雪の多い地方であり、冬期は多くのスキーヤーが集まる。一方、フランス第2の都市リヨンは美食の街として知られ、商経済の中心地。ローヌ川とソーヌ川の合流点に位置し、紀元前43年にローマの植民市ルグドゥヌムとして建設されて以来、ガリア地方の中心地として繁栄した。2世紀にキリスト教の進展とともに、フランス最古の教会が建ち、中世には教会の勢力が大きかった。フランス王国に併合されるのは1307年。フランソワ1世治下ではフランス・ルネサンスの一大中心地となる。絹織物業がイタリアから伝わり、絹の町としての名声も高まった。

この地方には、特産豊富な食材を個性豊かな美食へと変える伝説的なシェフが多い。また、東部のサヴォワは11世紀から領主であったサヴォワ家が12世紀から公国を形成し、1860年フランスに帰属するまで存続した独立国家であった。南部のドーフィネは神聖ローマ帝国領であったが、1349年フランス王国フィリップ6世へ譲渡され、以来フランス革命まで皇太子親王領地となる。このためフランス皇太子をドファンdauphinと呼んだ。コート・デュ・ローヌといえば、かつては法王のワインだった上質なワインを産出する地域。リヨンのすぐ北側はボージョレ・ワインの産地。ソーヌ川対岸に広がる平地は養鶏が盛んなブレス地方。

*ローヌ=アルプ地域圏は、2016年にオーヴェルニュ地域圏と統合し、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏となっている。

データ
県名:アンAin、ローヌRhône、オート・サヴォワHaut-Savoie、サヴォワSavoie、ロワールLoire、イゼールIsère、アルデシュArdèche、ドロームDrôme
旧地方名:リヨネLyonnais、サヴォワSavoie、ドーフィネDauphine
主要都市:リヨンLyon、グルノーブルGrenoble

特産品
エヴィアン水、ブレスの鶏、シャロレの牛、ドンブの魚、リヨンソーセージ(ロゼット)、アルデシュ県のマロングラッセ、ニオンヌのオリーブ油(AOC)、ドローム県のトリュフ、グルノーブルのクルミ(AOC)

アルコール
○シャルトリューズ:百種類以上もの薬草の抽出液をブレンドして、ブランデーと共に蒸留したリキュール。ブレンドのレシピは、グルノーブル近郊シャルトリューズ山塊にある修道院の、選ばれた僧侶3人だけに伝えられている。

おすすめのお土産
クッサン・ド・リヨン、赤いプラリネ、リヨンのシルク製品

クッサン・ド・リヨン

■都市別ガイド

ローヌ・アルプは恵まれた自然環境と充実したレジャー施設により、フランス第一の観光地としての地位を築いている。さまざまな交通網が張り巡らされていて、交通の便はよい。リヨンとジュネーブという2つの国際空港とそれに結ばれた7つの国内空港により空路も整備されている。

●リヨンLyon


フランス第2の都市リヨンLyon。フランス南東部、スイスと国境を接するローヌ・アルプ地方の中心である。この地方に独特の景観を与えているローヌ川は、アルプスからレマン湖を経由して下り、リヨンの街でソーヌ川と合流してからほぼ真っ直ぐ地中海へと南下する。この川は中央山地とアルプスを大きく切り裂くように流れているため、南北を結ぶ大動脈として古くから機能してきた。また、フランス料理界の重鎮、ポール・ボキューズの店に代表されるように、美食の街としても知られる。町の中心、リヨンの彫刻家ルモの彫像が立つベルクール広場(Place Bellecour)を通り、色づいたマロニエの木々に小さな秋の訪れを感じながらソーヌ川を渡ると、15~17世紀の黒っぽい建物が建ち並ぶ旧市街。建物の回廊や中庭を伝って他の道へ抜けるトラブール(抜け道)はリヨン独特のもの。

モデルコース
(8:00パリ発TGV→10:06リヨン着)マルシェ→「ベルナション」→(メトロ)→ベルクール広場→お菓子屋さん→旧市街(セント・ジョージ教会、サン・ジャン大司教教会)→ランチ→織物歴史博物館→フルヴィエールの丘

*リヨンにはペラーシュPerracheとパール・デューPart Dieuの2つの駅がある。町中にあるのはペラーシュ。TGVは両方に止まる。まずマルシェに行くのなら、手前のパール・デューで降りるとよい。(所要1日)

観光スポット
□織物歴史博物館(Musee Historique des Tissus)
かつてリヨンが絹産業の町として栄えたことをしのばせる美術館である。18世紀の豪邸を利用しており、世界各国の織物の歴史を紹介している。ペルシャ絨毯やタペストリーや宮廷衣装等の展示が素晴らしい。16~18世紀の家具調度を展示する装飾博物館(Musee des Arts Decoratifs)を隣接。ショップにはシルク製品が置いてあり、職員のおじさんもしているバラの模様のネクタイが人気。

□フルヴィエールの丘(La Colline de Fourviere)
リヨンはガリア・ローマ時代にこのフルヴィエールの丘を中心として栄えた。丘の中腹には国内最大のローマ円形劇場の遺跡がある。丘の上には19世紀建立のフルヴィエール寺院(Basilique de N.D.de Fourviere)があり、横の天使の像の下には、赤い屋根が続くリヨンの町の大パノラマが楽しめる展望台がある。

□サン・ジャン大司教教会(Primatial St-Jean)
ここは12世紀に建てられたロマネスク様式の教会で、壮大な外観の美しさと共に内部の装飾の壮麗さが有名である。17世紀の天文時計は今も時を刻んでいる。

お菓子屋さん
□Bernachon:ベルナション
42, cours Franklin-Roosevelt, 69006 Lyon Tel: 04.78.24.37.98
リヨンの高級チョコレート屋。ポール・ボキューズの娘婿の店。パレ・ドールが有名。ケーキ、パンも充実。隣にサロン・ド・テもある。(2001/9/2)

□Pignol :ピニョル
17, rue Emile-zola, 69002 Lyon Tel: 04.78.37.39.61
お菓子屋で惣菜屋でサロン・ド・テ。ルレ・デセールの店。(2001/9/2)

□Voisin:ヴォワザン
11, place Bellecour, 69002 Tel: 04.78.37.79.41
20以上の支店がある老舗コンフィズリー。リヨン名物クッサンやココンのバリエーションがいろいろ。(2001/9/2)

□Chez Pozzoli:シェ・ポッゾーリ
正面に大きな石のオーブンがある。近所の2ツ星レストラン御用達の、エジプトの麦を使ったというパン"Pain de Kamut"もある。パン・オ・レザンの赤いプラリネ版Pain Praline、ショーソン・オ・ポンムChausson aux Pommes、クルミとレーズン入り田舎パンPain aux Noix Raison、エメンタールパンEmmental、アプリコットのフランなどがおいしそう。(1997/8/25)

□L'Opera:ロペラ
15, place Louis Pradel, 69001Lyon
Tel:04.78.29.96.99
オペラ座近くのパン屋。しっかりした焼きと香ばしさが魅力。(2001/9/2)

□La Minaudiere:ラ・ミノディエール
厨房がガラス張りで作業が見えるようにしたケーキ・惣菜屋。リヨン名物、ロゼット・ド・リヨン(まわりに粉がふいたサラミ)もある。外からじろじろ眺めていたら、中からオーナーのJean Masson氏が出てきて、厨房を案内してくれた。元は小さな店だったが次第に拡張していき、今の大きさになったそうだ。ケータリングの需要もかなりあるとか。パート・ド・フリュイがおいしいとのこと。(1997/8/25)

グルメスポット
□マルシェ
このマルシェは屋内で、3列に店が並んでいる。レストランや立ち食いスタンドもあり、軽くワインを飲みながら、カキかなんかをつまんでいる人もいる。サン・マルセラン、リヨン名物のロゼットというソーセージ、ブレスの鶏、お惣菜のクネルなどがある。お菓子屋さんにはクッサン、赤いプラリネのタルトなどが並んでいる。(2001/9/2)

□Renée Richard
102, cours Lafayette, 69003 Tel:04.78.62.30.78
マルシェにあるポール・ボキューズ絶賛のフロマジュリー。サン・マルセランがスペシャリテ。チーズはとろけるようになめらかで、牛乳がつまっている感じ。真剣においしい。(2001/9/2)

レストラン
□Le Nord:ル・ノール
18, rue Neuve, 69002 Lyon Tel: 04.72.10.69.69
リヨンにあるポール・ボキューズのビストロ(この地方ではブーションという)。本店と同じ色使いという店は、赤と緑の洒落たもの。(1997/8/24&2003/10/24)

□Leon de Lyon:レオン・ド・リヨン
1, rue Pleney, 69001 Lyon Tel: 04.78.28.11.33
リヨンの2ツ星レストラン。リヨンサミットの際、橋本総理(当時)も訪れたとかで、色紙が飾られている。リヨンの伝統料理が味わえる。(1997/8/25)

□Paul Bocuse:ポール・ボキューズ
69660 Collonges-sur-Saône Tel: 04.72.42.90.90
リヨンから車で10分ほどのところにある3ツ星レストラン。川沿いの道をしばらく走っていくと、ひときわ目立つ建物が目に飛び込んでくる。赤と緑のカラフルな建物。ミーハーといわれようが、お上りさんといわれようが、やはり1度は訪れたい。店の中もカラフル。レストランショップもあって、食器やらネクタイやらビデオやらを売っている。(2001/9/3)

□Troisgros:トロワグロ
Place Jean Troisgros 42300, Roanne Tel: 04.77.71.66.97
リヨンから車で1時間ほどのロアンヌという町にある3ツ星レストラン。電車の便もよく、駅の正面。というかこのトロワグロのために駅ができたとか。ホテルもあり、シンプルでモダン。訪れるなら是非宿泊も。(2001/9/2)

□Alain Chapel:アラン・シャペル
01390 Mionnay Tel: 04.78.91.82.02
リヨンから20km。ミオネという町にある2ツ星。ルレ・エ・シャトー。元オーナーのアラン・シャペル氏が亡くなってからも、マダムを中心に星を守っていたが、2012年2月に閉店。(2003/10/24)

●アヌシーAnnecy


アヌシーはローヌ・アルプ地方屈指の美しい水の街。アヌシー湖のほとりにあり、周辺にはアルプ地方の美しい山岳風景が広がる。避暑地としても人気が高い。 ティウ川や運河沿いの道は花があふれ、どこもシャッターポイントだ。ジャン・ジャック・ルソーが、彼の作品「告白」に登場するヴァランス夫人に出会った場所というのが、ちょっとした広場になっていて、夫人を“黄金の囲いでかこいたい”と言ったというところから、黄金の囲い付きのルソーの銅像がある。運河沿いにはジャン・ジャック・ルソー通りなんていうのもある。彼女を思いながら歩いた道なのか。

モデルコース
朝、アヌシー湖畔散策→お菓子屋さんめぐり→「Le Freti:ル・フレティ」でラクレットのランチ→アヌシー城→アヌシー湖(所要1日)

観光スポット
□アヌシー湖
恋人たちが一緒に渡るという“恋人たちの橋(Pont des Amours)”を渡って湖のほとりへ。公園にはメリーゴーランド。

□アヌシー城(Chateau  d'Annecy)
12世紀に建てられた石造りの城。そこから見るアヌシー湖は、さすが透明度ヨーロッパ1というだけあって、吸い込まれそう。正面にアルプスの山々がそびえ、湖にはヨットが浮かび、まわりは赤茶色の三角屋根の建物。照りつける太陽と時折吹く涼しい風に上機嫌で集合写真を撮る。内部はアヌシー湖にいる魚の水族館、アヌシー湖が浄化されてきれいになる様を説明した資料館、昔の漁の道具等がおかれている歴史館、そして美術館になっている。

■お菓子屋さん
□Le Danay:ル・ダネイ
ブリオッシュ生地にクリームをはさんだトロぺジェンヌTorpezienneや、ブリオッシュに赤いプラリネがのったサン・ジェニ Brioche de Saint-Genix、今ではあまり見かけないという噂のビスキュイ・ド・サヴォワが並んでいる。ビスキュイ・ド・サヴォワは、しっとり系。(1997/8/23)

□M et D Boitte:エム・エ・デ・ボワット
35, rue Carnot, 74000 Annecy Tel: 04.50.45.20.56
ビスキュイ・ド・サヴォワと、中にメロンのコンフィが入っているというガレット・サヴォヤードの小さいものGalette Savoyardeを買う。これは予想に反してふにゃとしている。小さいからか中に入っているのは、メロンではなくドライフルーツだった。ビスキュイ・ド・サヴォワは、まわりパリパリ系。(1997/8/23)

レストラン
□Le Freti:ル・フレティ
12, rue Ste Claire, Vieille Ville, 74000 Annecy Tel: 04.50.51.29.52
ホテルで紹介してもらったラクレットが食べられるお店。1階がカフェとチーズを売るコーナーになっていて、2階は個室。店内には昔チーズを作るのに使ったという銅の鍋が飾られている。おもむろにラクレット用のオーブンが用意され、直径40cmもあろうかとういうチーズが半分に切ってセットされる。この切り口に電気を当てて溶かしたところを、ナイフで削って、茹でたじゃがいもやハム類にかけて食べる。(1997/8/23)

□Les Ecuries:レクリーズ
雑誌に紹介されていたので行ったのだが、オーナーが変わったとかで、お目当てのラクレットはなく、タルティフレットTartifletteあり。(1997/8/22)

●シャモニーChamonix


フランスのローヌ・アルプ地方、モン・ブランの麓の村、シャモニー。登山発祥の地でもある。私が訪れたときは、モン・ブラン観光の基点になっているだけあって、観光客で大賑わい。スキー場の麓の温泉街のよう。大通りの真ん中にも屋台が出ていて、セーターやら安そうな登山用品を売っている。ここで必要なものを揃えて、登山ができそうだった。

モデルコース
エギーユ・デュ・ミディ→お菓子屋さんめぐり(所要半日)

観光スポット
□エギーユ・デュ・ミディAiguille du Midi
シャモニーからロープーウェイで行く。途中で1回乗り換えて、標高3842mの地へ。風は冷たいが、超快晴。観光客が多過ぎて帰りの便は2時間以上待つことになった。

お菓子屋さん
□A la Gerbe d'Or:ア・ラ・ゲルブ・ドール
タルト類や、モン・ブランと書かれた、でも栗は使っていない普通のスポンジケーキや、メレンゲをボール状にして焼いたものなどがある。クルミはグルノーブルとケヌシーがAOC(原産地統制名称)に指定されているので、この辺りにはクルミを使ったお菓子が多い。(1997/8/22)

□大通りにビスキュイ・ド・サヴォアをクレープで包んだものを売る店がある。これは中にはさんでいるコンフィの種類(ラズベリーとブルーベリー)によって包み方を変えてある(Coussin:クッション型とPrquet:枕型)。周りのクレープがガサガサしていて、中はジャムが染み込んでいて不思議な食感。

●ペルージュPerouges


ペルージュは城壁の中にあり、中世の雰囲気をそのまま残している町。今では芸術家達が住みついていおり、観光客も押しかける。ここには、この町にしかないという「ガレット・ペルージェンヌ Galette Perougienne」というお菓子がある。町の中心の広場にはホテルとお土産物屋が並び、ペルージュ焼きの食器や銅製のビスキュイの型を売っている。四方に伸びた道沿いには、ガレットを売っている店やアートとおぼしきものをおいているスペースがある。

レストラン
□Ostellerie du Vieux Perouges:オステルリ・デュ・ヴュー・ペルージュ
01800 Perouges Tel: 04.74.61.00.88
クリントン大統領(当時)も訪れた由緒あるホテル・レストラン。ブレスの鶏、元祖ガレット・ペルージェンヌあり。(1997/8/24&2003/6/15)

●ル・ピュイLe Puy


ル・ピュイLe Puyとは"丘"の意味。2つの奇岩の一方には教会、もう一方には聖母子像が立っている。ここは10世紀以来、スペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラに通じる巡礼道の出発点として栄えた。

観光スポット
□ノートルダム大聖堂(Cathedrale Notre Dame)
建物は13世紀に完成したオーヴェルニュ・ロマネスク様式で、荘厳な雰囲気。入口に続く階段で集合写真を撮る。祀られているのは有名な奇跡を起こす"黒いマリア像"。ケープを着たお腹の辺りからキリストが顔を出している。宝物館を隣接している。参道には名産である手作りのレース編みの店が軒を連ねる。店先で女性がレース台を膝の上に置いてレースを編んでいる。

グルメスポット
□参道のお土産物屋さん
食品はハチミツやレンズ豆の粉、くまつづらVerveineのリキュールやハーブティ、きのこの瓶詰(瓶もきのこ型)等がある。(1997/8/26)

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