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如意輪観音をめぐる旅⑧石山寺の如意輪観音についての覚書

今年の大河ドラマで、紫式部ゆかりの寺院として盛りあがっている石山寺。平安時代の貴族たちは、しばしば石山寺に足を運んだようです。

滋賀県大津市の大本山 石山寺
西国三十三所第13番札所。奈良時代に創建され、安産・福徳・厄よけ・縁結びに霊験あらたかな観音霊場として信仰を集めてきたお寺です。紫式部が『源氏物語』を起筆した地としても知られています

石山寺は奈良時代より、観音信仰の聖地とされていました。

また清少納言は『枕草子208段』で、「寺は、壺坂。笠置。法輪。霊山は釈迦仏のすみかなるがあはれなるなり。石山。粉河。志賀」と、石山寺をあげています。

また『枕草子210段』には、「仏は、如意輪。千手。すべて六観音。薬師仏。釈迦仏。弥勒。地蔵。文殊。不動尊。普賢。」と、如意輪観音を真っ先にあげています。
*六観音とは、如意輪観音、千手観音、聖観音、馬頭観音、十一面観音、准胝観音

そして、如意輪観音は石山寺のご本尊です。本堂内陣の厨子の中に秘仏として安置されています。日本で唯一の勅封秘仏で、33年に一度の御開扉のときにしか拝観できません。
※ 勅封とは勅命(天皇の命令)によって封印されること

如意輪観音は、通常は六臂(六本の腕)のお姿で表されます。六本の腕には、「六道の衆生を救う」という意味が込められています。ところが石山寺の如意輪観音は、これより古い形で、二本の腕のお姿です。

平安時代後期の作で、大きさは約5m。左手は膝の上で天を仰ぎ、右手は肘を曲げて蓮華の茎を持った状態で、自然石(硅灰石)の上に据えた木製の蓮華台の上に、右足を曲げ、左足を踏み下げて座る姿で、檜の寄木造り(木造)からなっている。肉身は漆箔を施され、着衣は彩色されている。円満な表情や穏やかな衣文線など、全体に温和な作風であり、本堂が再建された永長元年(1096年 平安時代)ころに造立されたとみられている。

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ご本堂は、滋賀県最古の木造建築物とされており、内陣は平安時代中期の建築、外陣(礼堂)は1602年(慶長7年)淀殿の寄進により増築されたといわれています。相の間には、紫式部が『源氏物語』を起筆したことにちなむ「源氏の間」があります。

今年なにかと注目の石山寺。如意輪観音さまにももっと注目が集まるでしょうか。


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