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【フランスおいしい旅ガイド】イル=ド=フランスの地方菓子

パリ周辺のイル=ド=フランス地方の郷土菓子をご紹介します。

土地の産物を使ったお菓子


○ガトー・モンモランシーGâteau Montmorency

モンモランシーはパリの北部にある古くからのサクランボの産地であったが、近年生産量が極端に減っている。アーモンドパウダー入りのビスキュイにサクランボのシロップ漬けを加えて型に入れ、オーヴンで焼く。冷ましてからピンク色のフォンダンを全体に塗る。

パリで洗練されたお菓子


○パリのマカロンMacarons Parisiens

マカロンはフランス各地で作られているが、土地によって形や食感が違う。パリのマカロンは、マカロン・リスとも呼ばれ、表面が「lisseすべすべ」である。卵白に砂糖を加えてしっかり泡立ててから合わせるのでふんわりとする。普通、間にクリームやジャムをはさんで2つを合わせる。

パリでマカロンといったら、日本でもおなじみのラデュレでしょうか。ここのマカロンは種類も豊富。そして私が最初に食べて衝撃を受けたのは、ラ・メゾン・デュ・ショコラのチョコレートのマカロン。その周りの軽さと中の濃厚さにパリを感じた。

Ladurée, Paris

★マカロンは、ロレーヌ地方ナンシー、シャンパーニュ地方ランス、ポワトゥー地方モンモリオンやニオール、サントル地方コルムリー、アキテーヌ地方のサン・テミリオンやサン・ジャン・ド・リュズ、ベアルン地方ポーなど、フランス各地で作られるポピュラーな地方菓子である。

○ピュイ・ダムールPuits d'Amour

直訳すると愛の泉。折りパイ生地を泉の形に焼き上げ、中にカスタードクリームや好みのジャムを詰めたもの。1843年、同名のオペラ・コミックの大成功にちなんだ名。ピュイ・ダムールといったら、今はなき「コクラン・エネ」。私は2年ごしでやっと口にすることができたのだが、あの感動をもう一度と翌年訪れたら、閉店していた。 

Stohrer, Paris

○コンヴェルサシオンConversation

折りパイ生地にラム風味のクレーム・フランジパーヌ(アーモンドクリームとカスタードクリームを混ぜたもの)か、アーモンドクリームを詰め、折りパイ生地で覆い、グラス・ロワイヤル(卵白入りフォンダン)を塗り、更に細く伸ばした生地を格子がけして焼いたタルトレット。18世紀末、デビネー夫人による「エミリーの会話」からconversation(会話)と名づけられたとされる。

○オペラOpèra

ビスキュイ・ジョコンド(アーモンドパウダー入りスポンジ)を薄く焼き、コーヒー風味のシロップをたっぷり塗り、間にコーヒーバタークリームとガナッシュをサンドして重ね、上をチョコレートでコーティングしたもの。中央に金箔を飾ることが多い。コルドンブルーで習ったときは、できるだけ薄く仕上げるのがポイントだといわれた。そしてシロップはむらなく染み出るはど塗る。ダロワイヨが考案したとされるが、本当はバスティーユ近くにあるクリシー(現ポールビュガ)が最初とか。同店には今も「クリシー」という名で並んでいるらしい。

Peltier, Paris
Sadaharu Aoki, Paris

○クレープ・シュゼットCrêpes Suzette

バターと砂糖を火にかけてカラメル状にした後、オレンジの搾り汁を加える。この中に小麦粉で作ったクレープを順に並べ、汁を吸わせながら折りたたんでいく。コニャックとオレンジのリキュール(コワントローかグラン・マニエ)をふりかけ、火をつけて燃やす。

パリの地名をつけられたお菓子


○サン・トノレSaint-Honoré

練りパイ生地の円盤形の台のまわりに、クレーム・シブースト(カスタードクリームにメレンゲを混ぜたもの)を詰めた小さなシューを並べ、中央にクレーム・シブーストを絞ったもの。クレーム・シブーストをクレーム・サントノレともいう。今では生クリームで代用されることが多い。

このお菓子の誕生は、今から150年ほど前になる。オーブ県出身の3人兄弟の菓子職人がパリにのぼり、シブーストというお菓子屋さんで働いていた。その中のひとり、ジュリアンがボルドーで見たスイス風フランなるものにヒントを得て、シブーストというその店のパトロンが考案したクリームを使ってサン・トノレを作ったという。シブーストの店が、パリ、サントノレ通りにあったことと、パンと菓子の守護神が聖オノレであるためにサン・トノレと命名した。当初のサン・トノレはシュー生地ではなくビスキュイで作られていた。シュー生地になったのは、1847年トロチエという型職人が口金つきの絞り袋を考案してから。

微妙に違う説もあり、それによると、クレーム・シブストは1846年にジュリアン(August Jullien)が考案したことになっていて、サン・トノーレを考えたのは、1863年。当時はブリオッシュ生地で作られていて、クレーム・シブーストが中央に飾られていたという。またジュリアンはこの少し前にサヴァランも考案している。

Sadaharu Aoki, Paris

○ポン・ヌフPont-Neuf

シュー生地とカスタードクリームを混ぜたものを詰めたタルトレット。現存するパリ最古の橋の名で、タルトレットの上面に、橋を想起させる格子模様を生地でつけることからこの名となったらしい。仕切られた4つの表面に、粉糖とカシスのゼリーで対角線に飾る。

○パリ・ブレストParis Brest

王冠型に焼いたシュー生地に、プラリネクリームを詰めた大型のシュー。今は生クリームを詰めることも多い。1891年、パリーブレスト間自転車競技を記念して、沿道のお菓子屋メゾン=ラフィットの職人、ルイ・デュランが、シュー生地にプラリネクリーム、表面にはスライスアーモンドという形が出来上がった。彼は自転車の車輪を連想して、この大きなリング型のケーキを創作したといわれている。

コンフィズリ


○シュークル・ドルジュ・デ・ルリジューズ・ド・モレSucre d'Orge des Religieuses de Moret

セーヌ・エ・マルヌ県モレ・シュール・ロワンの修道院で作られている、オレンジ色の大麦糖の飴。麦芽の糖液を黄金色になるまで煮つめたもの。ルイ14世の王妃マリア・テレサのお気に入りだった。

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