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miu404 第7話

 トランクルーム内に男性の遺体があると通報があり、初動捜査に駆けつけた伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)。現場で2人が目にしたのは、トランクルームの中で猫砂の山に埋まり、微笑むような穏やかな顔をしている死体。一見、自殺のように見える状況だが、ただの自殺とは思えない2人は、他のトランクルームの利用者であるジュリ(りょう)と、家出少女のスゥ(原菜乃華)とモア(長見玲亜)の聴取を行うことに。さらに、トランクルームに違法に住んでいる男・倉田(塚本晋也)の証言で、死亡した男についてある事実が分かる。

 一方、結婚が決まった長男の両家顔合わせに出席するため会場に向かっていた陣馬(橋本じゅん)は、その道中で偶然にも指名手配犯と遭遇し、急遽後を追うことに…!?(公式HPから)



 関係性の話。登場人物ごとに、さまざまな関係性が見えてくる。ここで大事だったのは、「開かれた関係かどうか、他と繋がれる関係かどうか」だと思った。

 かつて相棒だった犯人と被害者は、お互いに閉じ込め合う関係。トランクルームのドアを閉め切って、お互いが裏切らないように。犯人は暗いトランクルームの中で正の字を書きながら雑誌の表紙の顔を塗り潰し、被害者は「あのとき自首してたら、今頃とっくに罪をつぐなって堂々と生きられた」と相棒を恨む。そして最悪の結果に流されていく。陣馬の言うように「完全に閉じちまった人間の手は掴めない」。

 スゥとモアの二人は、危ういけれどきちんと開かれている。トランクルームの扉も開きっぱなしだ。(そもそも二人にとっては宝物を詰め込んだ、遊ぶための場所だしね。)だからこそ、周りの大人がちゃんと手を掴むことができた。

 九重と陣馬の関係性も良かった。捜査情報が手に入らない陣馬に代わって、九重が周りの大人から聞き出してくれる。通信手段を失った陣馬に代わって、息子と連絡を取り、両家顔合わせが台無しにならないよう繋いでくれる。家族の関係が切れないよう、手を掴んでくれたのだ。

 家族といえば、九重親子も同じだった。父親は自分の地位が息子の「足枷」になることを、ちゃんと理解し、恐れている。「世人が私の息子だということは、ひとつの不幸です」とまで言えるのは、偉大な父親と言っていいと思う。少し切ないけれど。息子の足枷を外すために彼を機捜に送り込み、たぶん今のところ成功している。そしてそれは、陣馬がきちんと彼をキャッチしてくれたからでもある。
 金城一紀の小説「GO」に出てきた、主人公の父親を思い出した。息子が「広い世界を見る」ことができるように、息子の足枷を一つでも取り除くために、家族の国籍を変えた父親。金を積んで朝鮮籍から韓国籍に乗り換え、人間関係を全て失いながら、息子には「ハワイに行きたかったから」とうそぶく。高校生の頃初めて読んで、最高に格好いい父親だと思った。そうなれるといいな。

 親子といえば、陣馬と息子の関係も良かった。顔合わせの席で、息子を褒めながらこう言い切る。「それは俺が教えたんじゃないんです。こいつが悩んで迷って、自分の頭で考えて勝ち取った特性だと思うんです。」自分の子供であっても、別の人格を持った他人として認められる陣馬も、きっと偉大な父親だ。やっぱりちょっと切ないけれど。息子を自分のものだと言い切って、差し伸べられた他人の手をことごとく断ち切っていった映画「mother」の長澤まさみを思い出してしまう。

 そして、ハムちゃんには伊吹が手を差し伸べる。桔梗隊長に匿われて息をひそめるように暮らす彼女を、テレビ電話で外の世界と繋げてくれる。

 気になったこと。「出前太郎」として出てきたお兄さん、King Gnuだった…!

 あと、りょうが演じる弁護士が宝塚の男役みたいで不思議だな〜と思っていたら、解釈してる記事をネットで見つけた。右手中指にブラックリングを嵌めていたけれど、セクシャルマイノリティの人がアピールとしてやっていることが多いらしい。なるほど…!芸が細かい。

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