ワンカップ酒
朝、9時半のコンビニに車を停めて、
酒コーナーへまっしぐら。
おもむろにワンカップ酒を手に取り、
他のものには目もくれず、レジへ。
絶対、ヤバい奴に見えるだろう。
きっと、夜勤明けの父は、
こんな風に酒を買って飲んでいたんだな。
…と思いながら、ワンカップ酒を買って
アル中だった父の墓参りに向かう。
墓石を磨いて、綺麗にした後、
ワンカップ酒を開封して、
てっぺんから流しかける。
墓参りの時はいつもそうする。
子どもの頃、
大嫌いだったワンカップ酒の匂い。
あの忌々しい匂いが、
立ち昇るけれど、もう、何にも
怯える必要も窺う必要もない。
父を許したつもりはないし、
もう、好きなだけ飲んで良いよ、
などと言う優しい気持ちでもない。
この匂いを感じても、
私は平気なのだと、大人になったのだと
確認しているのだ。
最後に、酒の匂いを水で流して、
確認終わり。
40半ばまで、近くに住んでいても、
墓参りなんて、年に一度来るか来ないか
だった。
母が認知症になって、来られなくなり
命日と誕生日に来るようになった。
忘れた頃に、父の夢を見たり、
時々急にお墓のことがよぎる時があって、
お盆とか、お彼岸関係なく、
思い立った時に行くようにしている。
私はワンカップ酒を飲んだことがない。
ラベルの裏には、イラストとか絵が
書かれているの、ご存知?
永谷園のお茶漬けにランダムに入ってた、
富嶽三十六景のカードを彷彿とさせる。
私が子どもの頃は、
セクシーなお姉さんだったような記憶。
変なことばっか、覚えてるなぁ。
誰かご存知の方、いるかしら?
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