石の呪い

オットが健診を受けた。

その結果が出た日。

むっちゃ凹んだ様子で、検査結果をワタシに報告したそうにしている。

わかりやすく何かあったことをアピりながらも、なかなか言い出さない。

ん？どうせまた、「痩せましょう」とか「飲みすぎです」とかそういうこと言われたのに「このままでいいですと言われた」というようなわかりやすく見え透いた小学生タイプの嘘250％強を言うんだろうなぁと思いつつも、
「で？どうだった？」と水を向けてみる。

すると・・彼は重々しく口を開いた。

「腎臓に石があるんだって。嚢胞も！」

え？・・・それって？

「そう、チョコと一緒なんだよ～！！！！！」

いやいや、キミ、飼い犬と同じ症状だということに
そんなにショックを受けんでも。（笑）

そう、我が家のチョコパイセンと同じ石持ちになったようである。

それを聞いたとたん、ワタシは思い出した。

その昔、チョコが血尿が出て、検査に行ったら
先生が『後で詳しくご説明しますが、結果だけ先に申し上げますと、
腎臓結石でした』と重々しくわたし達に告げた日のことを。

えぇっ？腎臓結石？犬が結石？

チョコ、どうなるの？！

腎臓摘出しなきゃだめなの？

手術だよね？助かるの？！

一気に疑問が頭の中をぐるぐる回ったワタシ。

とにかく情報を得なくては！！と思い、待合室で順番を待っている間に
ネットで検索しようと、バッグからスマホを取り出した。

すると、隣に座っていたオットも、私とほぼ同時にカバンからスマホを
取り出した。

やっぱそうよね！！

まずは情報が必要だよね！

犬、腎臓結石、治療法…などのワードを打ち込んで検索し、
いくつかの記事を読む。

うーん…いろいろな見解がある。チョコはどのパターンなんだろう・・・。

そうだ！オットはどんな記事を読んでるんだろう？

ワタシと違うワードの検索で、なにか違う記事がヒットしているかもしれない。

そう思って、隣のオットの画面を覗き込むと

そこに検索ワードとして、表示されていたのは・・

『チャーシュー麺』。

え？

この非常事態に、チャーシュー麺？！

「なんでこんな時に、チャーシュー麺なわけっ？！」

ワタシの荒い怒りの鼻息を感じたらしきオットは

慌てて「いや、あのっ、忘れないうちにって思って・・・」と、
しどろもどろで言い訳する。

その当時、レコーディングダイエットをしていたオットは、
お昼に食べたメニューを忘れないうちに入力しようとした、
ということらしい。

なーぜーいーまーやーるーっっ？！？！ヾ(｡｀Д´｡)ﾉ

あまりのことに、思わず待合室の人目を忘れて、

「なんでチャーシュー麺なのよっ！腎臓結石でしょっ！！」

と意味のわからないことを叫んでしまった若き日のワタシ（笑）

どっちかというと、ワタシが不審者。


・・・・てなことが昔あったことをふいに思い出したのである。

そう、あの時チャーシュー麺などを検索していたから、きっとバチが当たったのよ！！石の呪いよ！！と高らかに言い放つ妻。

しかしオットは、そんな過去のことを反省することもなく、ただただ、その石が尿道に落ちてきたときの、悶絶級の痛みのことが気になって
いるようであった（笑）

お医者さまからも、これは落ちてくるかどうかは運しだいですからね～と言われ、そうなった場合は相当痛いということも告げられたようである。

ワタシ自身も、友人のご主人様が実際に石持ちになられ、さらにそれの排出がそれはそれは難産であられたようで、その実況中継を受けた経験があるので、あぁ男性はなかなか大変だろうなぁという感想を述べておいた。

よく陣痛と同じとか言われるけど、陣痛はコドモが生まれるけど、あなたは産んでも石だからね～、と身も蓋もないことを言ったら、

「チョコ～おまえだけだよ～分かり合えるのは～！！」とイッヌにすがりにいってたけど、え？なんで？って顔をしていたチョコに罪はない。

まぁとにかく、何事もないことを祈るばかりである。

前述の友人のご主人様は、あまりの痛みに救急車で病院搬送となり
それでもなかなか出なかったけど、しばらくしてトイレで無事に
ご出産なさったそうで、石がカランカランと音を立てて便器を転がったという話を、まるで完成された昔話のように語り継いでいるらしい。
もはや石の語り部。

オットも語り部になるのかどうか、またそれはいつかのnoteにて（笑）