『ライムライト』は魔法の光
音楽劇『ライムライト』を観てきました。
シアタークリエは規模が小さいのでどの席も観やすいですが、3列目センターという神席で堪能しました。
劇場は地下にあります。
チャップリンの同名の映画の初の舞台化で、しかも日本が初演だった2015年。4年後の2019年も拝見し、今年の三度目の上演も待ち遠しかったです。
映画『ライムライト』は超名作なのでご存知の方が多いと思いますが、東宝さんのホームページの言葉をお借りして内容をさらりとご紹介。
とにかく素敵なのが音楽。チャップリン作曲の「エターナリー」が下手奥のオーケストラピットで奏でられると、それだけで切なくてたまらなくなります。『ライムライト』の楽曲すべてが心の奥底にある琴線に触れるように繊細なのです。
出演者は、若いテリーとネヴィル以外の4人は再再演です。
主人公カルヴェロ役の石丸幹二さん。
ますます演技に深みが増し、哀しみや喜びが苦しいほど伝わってきました。波瀾万丈のミュージカルも良いですが、心情を切々と歌われるのが美しくて涙があふれました。
最初に「ロンドンは夏の夕暮れ〜、わたしの好きなメランコリー」と歌で登場される保坂知寿さんは、とにかくキュート。
劇団四季時代からご一緒の幹二さんとの息もぴったりで笑わせてもらいました。私は知寿さんの立ち姿が好きです。
吉野圭吾さんは人を惹きつけるのが本当にお上手で、楽に笑わせてもらえる感じなのです。劇場主が良くお似合いで。また拝見できて嬉しかったです。
見事なのは植本純米さん。とにかく面白い。しかも本編を邪魔しない。役者を輝かせている一人です。
今回初めてのテリー朝月希和さんとネヴィル太田基裕のお二人は、若々しさのなかにしなやかな強さがあり好感がもてました。
この6人にバレエダンサーのお二人(ダンサーといえど、セリフも演技もたくさん)を加えた8名で全ての役をされるのも凄いことだなぁと思います。
ポスターのビジュアルは初演から変わらず、やさしく懐かしく上品な雰囲気です。
セットや照明も美しくて、特に街灯の使い方がおしゃれで、ふんだんにあるダンスシーンも相まって、観客側も芸術への感覚を研ぎ澄まされます。
エターナリーの歌詞「ライムライトは魔法の光」をまさに観せてもらっているのだなと、ありがたくありがたく感じました。