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浅草で生まれた虚構 『偽顔虫47』

応援している劇団、カムカムミニキーナの2018年の公演『偽顔虫47』について、個人ブログに書いていたので、これもお引越し。

カムカムミニキーナ作品

劇場が浅草ということで、江戸川乱歩のイメージから舞台は大正時代。上巻・下巻に分けての公演だが、それぞれだけを観ても楽しめるように作られている。

私は上巻を2018年12月15日(土)、下巻を22日(土)、ライブ巻を今日29日(土)に観てきた。上巻も下巻も友人たちが一緒に観てくれて嬉しい限りである。

脚本・演出は座長の松村武さん。難解な内容の長台詞が多いが、韻とリズムが私は好きだ。たまに、笑いを狙っているだろうに、さして面白くないところがあったりするが、それも含めて可笑しみにつながっていく。
友人が「今回は言葉が汚く感じて残念」と言っていたが、私もそれは同意見。人を罵倒する台詞が耳についた。これまでそう感じたことがないので、時代と場所のイメージゆえと思いたい。

虚構を意識した虚構

登場人物が入り乱れるのもカムカムの特徴の一つで、ストーリーもまた簡単に述べられるようなものではない。興味が湧いてきたら是非ご覧いただきたい、というか、ご覧いただくのが一番早いと思っている。

上巻のパンフレットに松村さんがこんな風に書いている。

何はともあれ、この虚構の街、浅草の虚構のほんの一部となって、精一杯の虚構のなんちゃって乱歩的物語をもって、平成最後の年越しを皆さまと過ごせることを大変楽しく思っております。

演劇が虚構なのではなく、虚構を虚構として作り上げるのが演劇なのではないか。そんな風に思った。

スピードを支える道具たち

カムカムの舞台で目を引くのが、大道具小道具の使い方だろう。どれだけ練習したらここまで息が合うのだろうと思うほどのスピードで、場面だけでなく時空まで超えてゆく。時には道具も使わず、人間そのものがピアノやテーブルになる。

『偽顔虫47』では、怪人二十面相を意識して仮面が多用されていた。偽顔=仮面ということだろう。見事なリレーだった。

ライブ巻では、小五郎と小林少年と大家による『仮面舞踏会』が披露され大笑い。何でもありだ。

ライブ巻ってなに?

「上下巻で物語は終わったはず。ではライブ巻は何をするんだろう?」と思いながら向かった三週連続の浅草九劇。

まさにライブだった。

今回出演が無かった八嶋智人さんと吉田晋一さんの寸劇から始まり、『ボヘミアン・ラプソディー』の楽曲に合わせて全編のダイジェストパフォーマンス。ドタバタはしていてもクオリティーはかなり高い。

ゲストで出演している杏子さんが4曲披露。実は私は、一緒に上巻を観た友人が「バービーボーイズの杏子さんの歌が聴けたのも良かったー!」というまで、杏子さんがバービーボーイズの人だと知らなかった。

もっと言うとバービーボーイズ自体がよく分からない。子育て時代の音楽シーンはごっそり抜けていて、B’zの曲を全然知らないほどだ。

知らなくて聴いても上手いものは上手いので、杏子さんの歌に感動。バービーボーイズの『目を閉じておいでよ』は大いに盛り上がった(曲名はyoutubeで調べた)。

劇中歌も二曲。こちらは土屋玲子さんのバイオリン演奏で。グッとくる。
劇で使われる楽曲は、全て玲子さんが作曲している。見た目も美しく、気持ちも優しく、とても素敵な人である。

八嶋さんと吉田さんに松村さんが絡み、ライブ巻は各自の持ち味を押し出しながら進んでいく。ゲストの清水宏さんのスタンダップコメディもあり、笑いながら考えさせられた。



2019年11月の公演のことも書きたいなぁ。

じゃあ、書けばいいのにー。

そう、その通り(でもさー、と言い訳)

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