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記憶に残る文章・記憶に残る写真

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いろいろな方の文章や写真を拝見していて、もう一度読みたいな、もう一度見たいなと思う記事を集めました。 あくまでキータンの独断と偏見です。
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#旅のフォトアルバム

花鳥風月の心咲く金沢へ(友禅工芸品~アート・街歩き)Part2.

1.序文「伝統工芸と現代アート」 旧き時代の面影の中に 「今~未来」の風を感じる金沢。 街を歩きながら、そんなユニークな一面が 気になってくる。 金沢の六大工芸品 (加賀友禅、九谷焼、金沢箔、金沢漆器、加賀仏壇) 藩政とともに、伝統工芸が支えられてきた歴史。 一方で、後継者不足など近代化の煽りを受け、 街は、時代の波にあわせるように、永く息づく伝統と、 新しい時代を感じるテクノロジーとが融合している。 また、その対極のイメージをつなぐように、 今回、街の各所で「花鳥

花鳥風月の心咲く金沢へ(加賀友禅染鑑賞・体験)Part1.

1.序文「花に溢れる春の金沢」 城下町の風情残る街並み 四季折々の自然が織りなす風景。 陽光に包まれた兼六園には、 うす紅色の桜が舞い散り、 この街で生まれた伝統工芸品には、 花鳥風月の心にあふれている。 例えば「手描き加賀友禅」 生花のように写実的な自然の文様を描く、 格調高い着物。 省力化、機械化が進む中、 工芸を重んじる独特の文化から、 今もなお、一人の作家が手描きをし、 多くの工程を様々な職人が関わりながら製作。 その技と心に触れ、その魅力や背景を探求す

プロヴァンス地方?名前からして勝負は既についている

 何故プロヴァンス地方を訪れたのか?  私にとっては、皆目掴みどころのない土地であったからである。  南仏、ラベンダー、ワイナリー巡り、ロマンチックな小説、あるいは映画の舞台、プロヴァンス地方に関する私の蘊蓄はせいぜいその程度であった。  取りあえず、プロヴァンス地方の概要を把握すべき、目的地はこのように選んだ。  公共機関でもアクセスの出来る場所は外す。 景観が類似している場所は外す。 博物館、美術館メインの場所は外す、一つの場所に時間を掛けないため。 観光は

京都へ行こう❣【185】

今回は、足利氏の菩提寺である『等持院』に 行って来ました。見どころは、夢窓疎石が作庭したと伝えられる美しいお庭です。 嵐電『等持院・立命館大学衣笠キャンパス前』より徒歩約6分。 私は『北野白梅町駅』から嵐電に乗ったのですが、一駅だったので乗車時間はたったの1分。 えっ!もう着いたの?という感じ。 今度からは歩けると学習しました。 ※『嵐電』と書いていますが、京福電気鉄道(北野線)が正式名称です。 山門山門をくぐってすぐの所に『鬼瓦』が置かれています。 庫裏達磨図『達磨大

「あの日電話が不意に」 ヘッド・ハンティング体験

 「新入社員の候補としてジョン・ブロム君を推薦したのは、確か君だね」  人事部長から確認を問われた。  「さようですが、何か?」  「推薦された候補者が雇用にまで漕ぎつけたら、推薦した人に臨時ボーナスが出ることは知っているよね?」、人事はそう案内した。  ボーナス?  初耳であった。  スウェーデンの会社においてはボーナスという習慣はあまり聞かない。そもそもそのような代物を戴いたこともない。  困惑のため無言で突っ立っていた私に人事は、ボーナスの金額を述べた。果

雨晴海岸の宵 節目のない十年目

 2011年秋、雨上がりの雨晴海岸の夕暮れ。  車が一台も停まっていない海岸駐車場は、太陽の照り返しを受けて輝いていた。  日本人にしては脚が不調和に長い本庄さんの背を追いながら、私は寿司屋に向かって足早に歩いていた。本庄さんは時々、そのゴルフ焼けした顔にて振り返り、私が付いてきていることを確認していた。  その寿司屋は、注意しながら探さないと民家と間違えるような外見の建物であった。 「この店の寿司はね、雨晴海岸では一番旨いって評判なんだ。オーナーはね、すごいジ