「獣の国」第1幕 第14場(中介公司)
中介公司
■ モトローラ社製の携帯型無線機を差し出すドルジ。
(ドルジ)これを持っとけ
■ 受け取るレベッカ。
(レベッカ)これは?
■ 街路を歩きながらドルジは答える。
(ドルジ)俺らだけで使っているウォーキートーキーだ
(ドルジ)真紅護社支給のモノと違って これなら他の奴等に聞かれることもない
■ 異質な雰囲気のドルジとアロの姿を目にした他の通行人は左右に避け、道を空ける。
■ ドルジを先頭に歩を進める3人、アロが状況を説明する。
(アロ)これからW4B16Jの地点に向かう
(アロ)16Jの西の封鎖されたエリアにある廃工場で
(アロ)幽霊を見たという男がいる
(アロ)その男は不動産ブローカーで 物件を探し歩いていた時のことらしい
■ アロの横を歩きながらレベッカが質問する。
(レベッカ)幽霊…… ですか?
■ 答えるアロと、まぜっかえすドルジ。
(アロ)そうだ
(ドルジ)こいつはオカルト系の話が好きな変な奴なんだよ
■ ドルジを無視してアロは続ける。
(アロ)数ある与太話の一つとして 気に留める奴は誰もいなかったようだが
(アロ)頭巾を被った真っ白い祭服を見間違えたのだという可能性もある
■ 西4坊16条の地点に到着した3人、ドルジは無秩序に増築された建物を見上げる。
(ドルジ)この辺りじゃねーか?
■ 狭い階段を上がる3人。
■ 3人は散乱する塵を避けながら細い通路を歩いていく。
■ 「中介公司」「Real Estate Office」と書かれた扉がある。
■ レベッカを手で制し、扉の左右に分かれるドルジとアロ。
■ ドルジがしばらく様子を窺う。
■ 一瞬目を合わせるドルジとアロ。
■ ドルジがノックをするが、応答はない。
■ 静かにドアノブを回すドルジ。
■ 錆び付いた蝶番が音を立て、扉が開く。
■ ドルジは音を立てずに部屋の中へ入っていく。
■ その後をアロとレベッカが続く。
■ 先行するドルジの声。
(ドルジの声)留守だね
(ドルジの声)だが ここで何かがあったようだ
■ 床に散乱している書類の一部に血が付着している。
■ しゃがみ込んで血痕を確認しているアロに声を掛けるドルジ。
(ドルジ)さて どうするかね
■ アロが答える。
(アロ)上に捜索許可は取ってある
(アロ)廃工場に向かおう
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