絵本イラスト考
絵本向けのイラスト5枚をコンセプトをがっちり固めて現在創意制作中です。今のところ順調&いい感じです。
コンセプトは言語化してあるものの、汚い手書きメモだと忘れちゃいそうなので、投稿の形で残しておきたく思います。それに伴い先に絵本のイラストとは?の考察をしていたのでまとめておきます。個人的な見解で異論もありそうですが、考察の正しさはともあれ自分の作品はとりあえずこの考えをベースにしばらく進められます。
※ 以下、ですます調ではなく、である調になります。
絵本の傾向と要素の考察
まず、一般的に絵本として好まれる絵柄やストーリーに関して考察した。自分の作品がこのままなぞるわけではない。
子供の絵の認知に関して
小さい子供は難しい構図の絵を認識できないらしい。それもあってか絵本のイラストは真横から見た簡単な構図のものが多い。また色彩は原色に近いものを好む。好むというより多分彩度の低い色に鈍感なのではないか。明度差は人間にとって一番大事なので幼いころから認識していると思われる。
色の中でもまず赤(多分血の色だから)を認識、徐々に他の色を覚え、最後に青を覚えるといわれる。ソースは忘れた。
描く絵に立体感がでたり空間としての整合性が出だすのはおおよそ中学生以降。幼年期は世の中をまだ平面構成で認識していると思われる。ソースは忘れた。
※ この投稿をアップデートする際はいろいろな情報ソースも示したい。
絵本イラストの制限と傾向
フルカラーの丈夫な紙での印刷になるためか、枚数が制限される。製本の関係で16枚・32枚といったページ数になるようだ。漫画と違い、コマ割りがなく(コマ割りは慣習的にしないだけかとは思われる・分割程度は見かける)、1枚の大きな絵にたくさんの情報を詰め込む傾向あり。おそらく市場が小さく、個人製作中心になる。工数をかけずイラストの枚数を出すノウハウが必要。
好まれる絵柄
上手い絵よりも味のある・個性のある絵が望まれる。平面的な絵が多い。シンプルな構成でも絵柄としては情報が多いものが良い。パステル・色鉛筆・水彩画などアナログ絵が簡単に情報量が増やせて相性がいい。読み手もそれを好む者が多い。
絵本としての要素の再構成
絵本としての要素は実は物理的な制限や慣習的にそうなっているだけの部分もありそうで考察が必要と感じた。一般的な絵本はこういう物だという枠を著しく外れるとネガティブな反応が多くなりそうだが、今の時代と今後を考えると外して行っても良い要素がありそうだ。
紙の絵を売るゆえの制限は外せるか
デジタル配信かつiPadで本を読むような場面を考える。iPadは小さな子にも好評なようなので、子供向けの絵本(と言えないかもしれないが)の媒体としては最適だろう。のちに紙媒体でも販売するような事は考えない。
触った部分が反応するようなインタラクティブ要素がある、一部アニメーションする、といった止め絵の範疇をはずれる事項は重要だが別考察とする。
ページ数の制限がまず外れる。絵本は少ないページ数でそこそこ値段が高いのだが、丈夫な紙とカラー印刷というコストがかかるものの数がさばけないという面があるのだろう。買う側も高いお金を出して内容が薄いと納得がいかないだろうが、デジタル配布であれば、数百円という安価もしくは無料(広告収入や別の有料作編への誘導)販売が可能となるので今までの絵本のご法度が許される場面がありそうだ。例えば以下は場合によって許されるだろう。
同じような絵が何枚もずっと続く
1枚1枚の絵に労力がかかっていなそうな作品
1場面の説明を数枚の絵にわたって続ける
気になった部分を自由に拡大して見るような行動も考えられるので、紙媒体で実現すると巨大なサイズとならざるを得ず難しい構成をとる事もできる。
子供が望んでいるのか親が望んでいるのか
通常は子供が絵本を買うのではなく、実際に購入するのは親や祖母・祖父であるので絵本の売れる要素・傾向は子供自身の嗜好とは異なる可能性がある。外すと売れなくなる要素ではあるので親の需要を捨てきる事はできないが、場面や作品によってはこれを外したりバランスを調整する事はできそうだ。むしろ親の反応がイマイチでも子供が大喜びするイラストは散らばせていくべきだろう。気になる要素を以下に羅列する。
教育的なストーリー
これは親が望んでいる事そのものに違いない。悪いことをした人が痛い目を見る、世の中の仕組みを解説する、歴史上の人物が登場する、アルファベットや漢字を学べる、宗教的な教育など。悪い意味ではプロパガンダ的な物語もあるかも知れない。これらはおそらく子供の娯楽としてはあまり機能しない。機能する事もある。×国語、×算数、×歴史、×道徳といういうな要素。
図鑑的な要素
様々な生き物や昆虫が登場する、たくさんの乗り物が出る、いろいろな食べ物が出てくる、それらに関連していろいろな職業が登場する、深海・宇宙が舞台であるなどは目の前の知的好奇心を刺激するので子供も楽しめそうだ。
下品な要素、恋愛要素
コロコロコミックのようなコンセプト(具体的にはここにかかない)は子供心、特に男の子をわしづかみにする。反対に親の反応は最悪だろう。友達が登場して活躍する話は対象が誰であれマイナス要素がなさそうだが、恋人・恋愛の要素が色濃くなると親の反応が悪くなっていきそうである。自分は男性なのでわからないが、女児には反応がいいかもしれない。男児はそこまで恋愛に興味がなさそうだ。
温かみのある絵柄
子供が理解できる色合いや構図はあるとして、絵柄にアナログ味があって素朴である事は子供の嗜好とは直接関係がないかもしれない。親自身が小さい頃に見た懐かしさもあり、安心して子供に与えられる判断をするのではないか。だがこれはアナログ絵を子供が好まないという事でも無い。
逆にCGバリバリの絵柄でも適切な要素を押さえていれば子供の反応がいいのではないかと考えている。ここは徐々に切り開いてみたい。音色でも色味でも量子化は感性が育っていない人にも分かりやすいという部分でただレトロなだけでなく魅力のある表現方法だと思うのだが、例えばドット絵風の絵本などは親の反応はともかく子供には受け入れられるのではないだろうか。
子供向け作品のクリエイティブレベル
上手い絵・下手な絵
まず、伝えたいことが伝わらない絵は完全にNGと思う。そこをクリアしたうえで絵本の絵の上手い・下手について考える。
何をもって上手いとするかは判断にいろいろありそうだが、ゆるさを強く感じる絵柄のほうが絵本では好まれる。パースや構図・光と影・色のバランス・立体の整合性とボリューム感・適切にまっすぐな線・情報の正しさ、このような要素すべてが高いレベルでクリアされている絵は上手くはあるが緊張感を生む。隙がある絵の方が親しみを持たれやすい。
特に子供が認識できない要素は絵本として必要がない。ただし、必要ではないがあってもよいと考える。うまい絵の要素が絵本に入れ込まれること自体は問題ではない。全体として高い平均レベルになるのは隙が無くなるので良くない。
現在の絵本の絵の平均をベースとして、何かの要素をレベル高く描いたのなら他の要素をそのままにとどめるか、むしろ他の要素を下手にするなど、全体的なクオリティコントロールが必要と考える。
例えば、光と影を徹底的にこだわって正しく描くとする。それは個性にもなるし、子供もなにかの凄さは感じるので良い、ただしその他の要素はわかりやすさを最優先に冒険は控えめにしないと作品が需要から数歩先にいってしまい受け入れられないのではないか。
子供だましか子供向けか
子供だましと子供向けは違うとの考察が世の中にある。絵本だからこういう絵でいいでしょ、このくらいのストーリーでいいでしょ、といのはその考察で言うところの子供だましにあたる。子供がわからない要素もバランスよく含めて、他の要素で興味をもってもらい視聴しているうちにわからない要素を学習してわかるようになるというのが正しい子供向けコンテンツであるとの考えだ。大人が理解でき楽しめる・味わえる要素を子供にわかるように丁寧に下ろして来ようというのが基本となる。
絵のクオリティコントロールの考察を先にしたが、実際はストーリーの内容もクオリティコントロールの考察に加わる。ちょっと背伸びをした難しいストーリーなのであれば絵柄は冒険を控えるべきだろう。
自分の絵本作品のコンセプト
以上を踏まえて、自分の絵本向けイラスト・ストーリーのコンセプトを決めた。すでに作品は出来上がってきている。詳細はいつかの別投稿(今取り組んでいる5枚が終わったら書きたい)とするが書く前に忘れないようにこの投稿の考察に含まれない要素中心に箇条書きのメモを先に残す。
絵柄のコンセプトと作成技術
個性ある登場要素・キャラやモノのデザインを先行
ゆがんだ空間・誇張しすぎたパース・変わったカメラアングル
空間を感じる 風を感じる 重力を感じる
パースのずれた絵の平面的重ね合わせ
散らばったパーティクルや同じ構成要素の繰り返しで空間を表現
動作の一瞬の切り抜き・ぶれる重心・不安定なバランス
オーバーな感情表現・変顔
感情のキャラクター化・漫符の撤廃
工数をかけない過度な描き込み・線画なし
全体の描きこみの多さを打ち消す要素の粗密
彩度のメリハリ・赤黄と青緑の対比・モノクロ絵でも成立
ストーリーのコンセプトと特記事項
作品種別と関係のない共通娯楽要素(ウォーニャー等
受け取り手の理解度によってかわるストーリーの内容
親向けと子供向けおよび裏設定がわかる人への話を3重に共存
個別の作品の話と複数の作品でつながってわかる話
実はハイティーン以降場合によっては大人に向けた幼児向けパッケージ本
日本以外への展開を考慮
技術面の考察
カラーコレクション(LUT)活用・元絵や原画は色味のブレを入れない
映像向けの高度なツールを一枚絵作成に活用
正方形と長方形の絵のサイズを共存・横長より縦長を優先
(複数メディア対応コンテンツクレデンシャル機能利用
クマ―、クマ―クマ―!