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デジタルでいくべきかアナログでいくべきか、それが問題だ。

ホテルの業務は意外? とアナログ作業が多くあります。
例えば、インバウンドの団体旅行は、旅行会社とファックスで手書きのコメントを記入して、やり取りをしています(履歴が残るし、日によって手配担当が違う場合、メールだと共有が難しいなど、理由はいろいろあるようですが……)。また、小規模な旅館などでは、オンライン旅行社の予約をファックスで受信しているなんてところも……。

とは言え、宿泊施設を運営するには、大抵いくつかのシステムが導入されています。まず一つ目は、プロパティマネジメントシステム(ホテル基幹システム)という、在庫・予約・顧客情報など、ホテルのデータを管理する大切なシステム。二つ目は、先日の話にも出た、サイトコントローラー。契約旅行会社のプラン・価格・在庫などの設定を行い、販路を一括管理するシステムです。三つ目は、自社のホームページから直接予約を受けるためのブッキングエンジン。主にこの三つが導入され、施設の管理を行っています。
客室の少ない旅館などではプロパティマネジメントシステムを導入せず、エクセルでデータ管理をしているところもありますが、分析するためのデータ量が多いので、なかなか難しいのが正直なところです。
その他にも、レベニューマネジメントシステムや、データ分析ツール、自動精算機、自動チェックイン機など、様々なシステムがあり、施設に合わせて導入しております。

効率的にホテル運営を行うためには、デジタル化が必須とも言えます。

しかし、システムは万能ではありません。
施設がしたいように使えるものになっているかというと、そうでもありません。
チェーン展開をしているようなホテルであれば、自身のホテルにあったスタイルにカスタマイズすることも可能ですが、価格がだいぶ高くなるので、個別のホテルでカスタマイズは正直厳しいです。
多くの施設では既存のシステムで、運用の工夫をして、使用しているというのが現状です。効率化を図るためにシステムを導入するには、きちんと使いこなせる人がいる、ということも大切になります。

データを蓄積したり、業務を効率化したりするには、欠かせないデジタル化ですが、悩ましいのが、サービスとして考えたときの"線引き"です。

自動チェックイン機を導入すれば、無人でいけるのかといえば、そうでもありません。
例えば、インバウンドのお客さまだと、法令でパスポートのコピーを取らせてもらう必要があります。パスポートリーダーもありますが、これらをお客さまに全てご自身でやっていただくのは、ホテルとしてどうでしょう。
また、自動チェックイン機の導入により、フロントの業務は減りますが、ホテルに到着して機械に対応されるのは、味気ないようにも思います。

ホテル側として、どこまでのサービスを提供するか。
ターゲット顧客がどこまでのサービスを求めているか。

システムのメリット、デメリットも理解した上で、在るべき姿をしっかり思い描きながら、デジタル化の推進をどこまですべきか、検討していくことが大切だと思います。

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