【旅する日本語】常連

ある雑誌の対談記事に書かれていた「たとえ年に一回でも、継続して来てくれるお客さんは立派な常連さんですから」という一節が印象に残っている。

私はここ数年、年に一度、福岡の博多を訪れているのだか、その際に決まってお伺いしているあるお店がある。そのお店を切り盛りされているご夫婦は独り黙ってお料理とお酒をいただく私の名前を初めて伺ったときから何故か覚えていてくれ、少しずつお話しもさせていただくようになって、お伺いする都度、安心と元気を与えてもらうようになっていた。旅がもたらしてくれた貴重なご縁である。

そのお店から最近、実質的な閉店を告げる便りが届いた。このような環境でこれも時代の流れかと思いつつ、そして年に一度しかお伺いしていなかったけれど、どこかぽっかりと心に穴が空いたようでさびしい心持ちになったのであった。

今はお二人のご健康と、いつかの再会を願ってやまない。

#旅する日本語 #福岡県 #喉鼓

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