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羅生門

1950年、黒澤明の名作。
2008年に復元された作品。
登場人物の誰に感情移入すればいいかわからない、というのがうまく表現されている。みんななにが起きているのか把握していない感じがうまいのだ。
主観による告白と、それにまつわる人々の困惑。
志村喬の演技が非常に良い。

多襄丸と女のその後について、語られないのも、そこはあまり重要ではないからだろう。この映画において重要なのはそれぞれの人物がそれぞれの記憶をもとに全く別のことを言うと言う部分が重要なのだ。

これはつまり、人は自分に都合の良い解釈をするということ。しかしその中には希望はある。そういうことだと思う。

多襄丸以外の人物の名前が明かされないのも面白い。
それは、この映画において匿名性が大切なのではないかと思う。
どこの誰だかわからない人物にまつわる物語であると言う事はすなわち、自分たち、映画を見ている自分たちにも起こりうる物語であると言う意味であるのかもしれない。

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