見出し画像

歩いても歩いても

今まで是枝監督の作品はつまらないと思っていたが、これはなかなかおもしろかった。
演技達者が揃っている。ただし、YOUは自分では上手いと思っているのかもしれないけれど、そんなに上手くないな。正直、鼻についた。

ある家族の1日の話。
兄の命日に集まった家族。
それぞれの立場から家族というものが語られる。

樹木希林がよしおくんを毎年呼ぶときに、自分の息子が親だから、年に1度位苦しい思いをしてもらわなければいけないと語る心が怖い。

夏川結衣も、微妙な立場におかれた妻を好演。
医者として生きてきた原田芳雄は、すでに医者ではなく、過去の幻想に縛られている。いざ患者に頼られると、何もできず、救急車を呼ぶように言ってしまう。そして、救急隊に薬を聞いても無視される。

人は嘘をつく。しかし、自分の中に確固たるものがあるのだ。

最後のシーンは要らなかった気がする。映画のそれまでの流れを壊してしまう。あえてハッピーエンドにする必要はなかった。
阿部寛と娘の会話を聞いていると、阿部寛の中には自分の娘に対しても隠していることがあるのではないかと勘ぐってしまう。

サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!