見出し画像

つばき

椿の好きな女の子がいた。
小学生のころだ。
彼女は同級生というわけじゃなくて、ときどき空き地で顔を見かける程度。
いつもひとりだった。
ある日、彼女はぼくに近づいてくると、一輪の椿を差し出した。
「私の好きな花なの」
それが、彼女とかわした最初で最後の会話。それ以来彼女とは会っていない。だけど、その言葉は今でもぼくの中に残っている。

サポートいただくと、よりよいクリエイティブにつながります!