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『うた新聞』2024年5月号

①嶋稟太郎「子規と人麻呂」
玉城徹の歌の読み、評論について。
〈(子規の「瓶にさす〜」の歌には)「ある種の『とぼけ』た感じ」があり、そこから狂歌の要素が感じ取れるという。(…)確かに子規の初期の歌には狂歌からの影響が濃く見られる。〉
 これはよく分かる。近代歌人はユーモアというか笑いをあまり重視していない。子規は近世歌人と近代歌人の狭間の狂歌的な面が強いのだなあと再確認。玉城の鑑賞と、茂吉の、子規の生活に分け入った深刻な鑑賞の違いも分かって面白い。後半の玉城の評論を論じた部分もかなり濃い。読み応えがあった。

②松澤俊二「短歌(ほぼ)一〇〇年前 「旧派和歌」再読「亡国の音」一三〇年」
与謝野鉄幹の「亡国の音」に攻撃された旧派の歌を読み直した論。外山且正のアンソロジー『明治より昭和へ』から歌を引いて鑑賞している。
〈本書は(…)昭和初年代にもなお「旧派」和歌に見るべき作のあることを証言する一冊であろう。なお外山は、自分たちの歌を「旧派」と言わない。「古典派」と称し〉
 「旧派」は鉄幹がつけた名前だから。昭和まで残っていた顛末は松澤の他の著書で読んだことがあるが、今、似たことが起こっているのかもしれない。

③川本千栄「作品時評」
歌の評はこちらに書きました。三枝昻之、小島ゆかり、早月くら、木村雅子、城俊行、山中律雄、鈴木加成太、道券はな、各氏の歌を取り上げています。これは4月号の作品についてです。5月号の作品については近日発売の6月号で!

2024.6.4. Twitterより編集再掲