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『うた新聞』2022年5月号

①大辻隆弘「てにをはを読む」〈動詞に「り」がつくと、英語の現在進行形のように状態や動作が継続しているということを表現することになる〉いつも思うのだが、なぜ日本語の古語を説明するのに英語を使うのだろう。体系の違う言語で他の言語を説明するのは誤解の元ではないか。 

②小林幸子「短歌トラベラー!フィンランド」〈ヘルシンキの港から船で4時間ほどでエストニアの首都タリンに着く。日帰りでも行けるので買い物に行く人が多い。〉いいなあ。いつこういう国に行けるようになるのか。
国境のスオミの森の霧のなか異邦の人とすれ違ひたり 小林幸子

③桑原正紀「玉城徹の歌」〈主題意識は自己の発現にほかならず、それこそが近現代の文学の病と見ていた玉城(…)〉〈作歌主体の影をなるべく後退させること、できることなら抹消してしまうことに玉城がいかに腐心したか(…)〉難しい。今のところ、とりあえずメモしておこう。

悪意なきあまたの民の黙認をおもえばかなし復帰祝えず 伊波瞳〈地元うるま市で有機フッ素化合物が基地から流出し(…)大きな反発が起こっているので復帰を祝う状況ではない。〉私自身もこの歌の「あまたの民」に入るのだと思うと忸怩たる思いがする。

2022.6.9.Twitterより編集再掲